第76話忘れ去られた機械人形

 廃砦からさらに地下に降りた俺は一直線に続く洞窟を歩いて行く。


 この地下は相当頑丈に作られたようでしっかりと道が残ってるし、所々の横道の奥には小部屋らしきのがある。


「うーん、気になるなぁこれ…でも流石に復元なんて出来ないしなぁ」


 そう言って見るのは壁画。確かにこの地下は頑丈だし道もしっかり残っているが壁画らしき物は流石に劣化してほぼほぼ何が描いてあるか分からなくなっている。


 強いて読めるなら神・XXI・造くらいだ。ただ地上と文字が明らかに違う…やはり滅び、忘れ去られた文明なのだろう。


『ヴェア〜〜』


 背後から襲いかかってきたゾンビの首を掴み、地面に叩き付ける…勿論罪氷炎を纏いながら。

 この地下に入ってからはアンデッドばっかり出てくるのだ。


 虫系魔物よりもアンデッドが多いのはあの墓地に近づいてる証拠なのだろうか?

 …何故地下に下るほど近づいてるのかは分からないが。


 まぁそんな事はさておいてこの地下の構造は基本一本道に時々横道があるくらいで、その横道の奥には小部屋がある感じだ。そしてそれがずっと続いているのだ。


 一応横道の奥にある小部屋も調べながら先へと進んでいく。正直リアがここに送るために下に落としたと思うのだが、此処に何があるか分からないし何処にあるかも分からないのだ。徹底的に調べるしかないだろう。


「ん?ここで終わりなのか?」


 進み続けると一つの大きなドアへと辿り着く。ちなみに小部屋には大体朽ちた家具や壁画だけであり、ほぼほぼ何も無かった。

 だからこそ大きな扉が出てきたのはありがたい…あんまりにも何もなさすぎて虚無になりかけていたのだ。


「体力も魔力も問題無し…なんかボス戦感凄いから念入りに行かないとな」


 一本に続く道の奥に大きな扉…うん、凄くボス戦っぽい。

 翼脚に罪氷を纏わせ、腕輪型にした銃も腕に付ける。大太刀も背負って準備完了だ。


 一応即座に霊体化出来る様にしながら扉へと向かう…

 扉を押すと同時にビックリする。この扉は一切朽ちてないのだ…ひたすらに頑丈な扉だ。


 ステータスでゴリ押して扉を開いてから中に入る。扉の先はこれまたどデカい空間。龍型でも問題レベルの大きさだ…何処にこんな空間があったのだろうか。


「なんだここ…ここを探索しろってか?大変そうだなぁ」


 そう思っていると急に俺の頭に向かって何かが飛んでくる。一応霊体化は出来たから問題無いが…普通の人間なら頭始め飛ぶぞ…


 流石に暗いので怠惰の権能で暗視を付与し、何かが飛んできた方向を見る。そこには人型の何かが居た…


「アレは…ゴーレム?にしてはメカメカしすぎじゃないか?」


 言うならば機械化人形。ゴーレムと言うよりサイボーグに近いかもしれない…

 そんな存在がこちらをしっかり認識している。…今は霊体化して完全透明になってるはずなのだが。


(うぅわ、完全にこっちを認識してるよこれ…霊体感知はやっぱりするのねぇ)


 動いてみてもしっかりこちらを視線で追いかけている…攻撃をしてこないのは俺が霊体化してるからか。


 霊体化したまま近付いて見ても一定の距離を保ちながら後退していく…うん、完全にこちらを認識しているようだ。


(とりあえず鑑定してみるか…そもそもアレは生物なのかも分からないしな)


 見た目は完全に機械人形だ…とても生物には見えない。


 --------------------

 種族:エレメントゴースト

(憑依:創造物・名称無し)

 lv:473

 体力:4524/4524

 魔力:4634/4734

 攻撃力:2073(—)

 防御力:4931(—)

 魔法抵抗力:6834


 スキル

 憑依lv0

 死生判別 

 武器術lv56

(全属性魔法lv85)

(超速魔力回復lv95)

 義体術lv0


 耐性

 全属性共通耐性lv58

 精神耐性lv84

 -------------------

 なるほど、霊が憑依してるがゆえにこちらを見据えているらしい。

 そして憑依してる間は魔法が使えないのだろうか…魔法が使えるならば霊体の俺に攻撃してきても良さそうなのだが。


(まぁ、まずは様子見だよな)


 正直名称無しの謎の人形がどう動くか分からないため、身長に行く。機械人形を見つめながら霊体化を解く…と、その瞬間機械人形からレーザーが放たれる。


「ルミナに続きまたレーザーかよ!」


 即座に横へと飛ぶと同時に腕輪型にしてた銃を拳銃へと変化させ、罪氷の弾を撃つ。

 エレメントゴーストこと機械人形は軽々しく弾を避けると、俺に肉薄してくる。


 機械人形の腕が剣へと変化し、切り掛かってくるのでそれを大太刀で受け止める…が、機械人形はもう片方の手で殴り掛かってくる。


「随分と好戦的な様で!」


 一旦後ろへと飛びながら機械人形に向かって罪氷炎を放つ。

 …だがそれを物ともせずに突っ込んでくる。


 殴りかかってくる機械人形を背負い投げの容量で地面へ叩きつける…はずだったのだが、機械人形が人の身では有り得ない動きをして体制を立て直すと同時にカウンターとばかりに俺を思いっきり地面へと叩き付ける。


 そして俺の首を片手で抑えた機械人形が腕を大きく振り上げるのが見えたので、即座に霊体化する…すると機械人形は猛速度で俺から距離を取る。


(いや…コイツヤバくね?)


 遠距離攻撃はレーザーで、近距離はその身体に物を言わせた体術で応戦してくる…しかも知能が高いと思えるエレメントゴーストが憑依してるのだ。


 しかもゴーストが憑依してるせいで霊体化で奇襲も出来ないときた。

 どうやら実体化で戦わなければいけないらしい…


(まぁ、多分大丈夫だけれども)


 銃と大太刀を仕舞ってから機械人形を見る。武器はむしろ無い方が戦いやすいかもしれないのだ。


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