第73話ゴブリンは何気に何処でも生息していそう

 壁から出てきてこちらに突撃してくるワームにすれ違いざまに大太刀で切り付ける。


「うーん、ちょっと強いな…一発で沈まないんだ」


 切り付けられた事を感じさせない動きで再度地中へと潜ってくワームを見届ける。

 種族名は【ディープサンドワーム】、ウォーターディスペンサーワームとは違って地上に現れる事のないワームで、常に地中深くに生息してるらしい。


 振動が遠ざかっていってると思ったら、再度振動が強くなってくる…突撃してくるらしい。

 待っていると俺の真下の地面が崩れ、ワームの口が顔を出してくる。


「丸呑みするつもりか、そう言うのは弱ったやつにするべきだろうに」


 霊体化してワームの体をすり抜けると同時に罪氷炎をワームの体内から放つ。

 瞬く間にワームは凍っていき、地中を掘る動きすら出来なくなっていく。


「一発で沈まない奴は久しぶりだったな…」


 実体化して大太刀で一刀両断してワームが死んだ事を確認する。

 故意以外で一発で沈まないやつはいつぶりだろうか…地龍戦以来だろうか?アンデッドは大抵即落ち見たく成仏させていたので多分そうだと思う。


「ここ…ディープデザートとでも言おうかな?ここの敵はちょっと強そうだなぁ」


 そんな事を思いながら歩いて行く。ちなみに滅茶苦茶道が分岐していて今自分が何処を歩いてるか分からなくなってきてる。

 多分ワームのせいだと思う。


 歩いてるうちにちょっとした広間へと出た。ちょっとした広間とは言えど龍型で暴れられるほど広くはない、ほんとにちょっとした空間と言った感じだ。


 そしてそこには…ゴブリン達が居た。


(凄いな、地上に居なかったのに地下に居てやがるぞゴブリンが…環境適応って次元じゃないだろ)


 ゴブリンはサソリやらワームの肉を食べてるらしい。

 鑑定してみると種族は【デザートケイヴゴブリン】、通常種のゴブリンとは違って滅茶苦茶戦闘に特化してるらしい。

 食料を取るには生物を狩るしかないからだろうか。


 とりあえず変形銃をスナイパーライフルへと変形させて、リーダー格っぽい奴を狙撃する。

 ちなみにここで大きい音を出すとヤバそうなのでサプレッサー(発射音を軽減する物)を付けてる。


 ———!


 消音に特化させた為、ほぼほぼ無音でゴブリンの頭を撃ち抜く。これでまずは1匹。

 ただ完全に音が消えてなかったからか、それとも弾が飛んできた方向を見たからか分からないがゴブリンがこちらを視認した。


「グギャッギャァ!」


 ゴブリンが近場にあったナイフをこちらに投擲してきたのでスナイパーライフルを拳銃へと変形させて拳銃で弾く。

 前衛と後衛でしっかりと別れてるらしく、近場に置いてあった剣などの装備を手にとって前衛ゴブリンが迫ってくる。


 近づいてくるゴブリンは三匹、とりあえず一体は近づく前にヘッドショットで処理をして残り2匹は大太刀で首を一刀両断する。


 1匹が一つの通路へと走っていくのが見えたのでそいつを怠惰で行動不能にさせて最後の一匹である後衛ゴブリンが矢を放ってきたのでそれを手掴み。お返しとばかりに矢を投擲して後衛ゴブリンの首に深く刺し、絶命させる。


「ワンショットワンキル…これに限るね」


 多分だがこのゴブリン達は一つの分隊的なのだったのだろう。前衛三匹に後衛二匹、連絡役が一匹と言った感じで。


 と言う事で無力化しておいた連絡役君を色欲の権能で味方化してお仲間さんの所に案内してもらう。

 せっかくの連携をとってくる集団相手を出来るのだ、楽しまなければ損だろう。


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(随分と数が多いな…)


 ゴブリンの巣まで案内してもらい、案内してもらったゴブリンを処理してから巣の状況を見る。

 50匹は超える数が生息しており、それぞれが常に戦えるように武装状態になっている。


(殲滅特化な権能は出来るだけ無しだな、消化不良になりそう)


 相手は集団、アンデッドみたく知能が無いというわけではないので嫉妬でも色欲でも怠惰でもとりあえず権能を使えばそれだけで終わるだろう。

 ちょっとアンデッドの時と同じく消化不良になりそうなのだ。


(まっ、普通に戦うか)


 変形銃をショットガンへ、大太刀は収納して代わりに片手剣を装備する。この片手剣も集中錬成武器であり、氷炎魔技のおかげで非常に厨二心がくすぐられそうな見た目になっている。


(いくか)


 巣の中央にいるボスっぽい者の真上に傲慢の権能で移動をし、脳天目掛けてショットガンを放つ。


「これで1匹…じゃないな」


 咄嗟に武装していた大剣で防いだらしい。大剣にヒビが入っているがそれでも本体のボスゴブリンは無傷だ。


「ゴギャアオ!」


 ボスゴブリンが短く吠えると同時に即座に他ゴブリンが即座に飛び掛かってくる。

 だが焦らずに集団戦という事でまずは頭を潰す。


 ボスゴブリンへと切り掛かるがもちろんボスゴブリンは大剣で受け止めるが、そこが狙い目。ステータス差の関係上俺は片手でも相手は両手を使わなければならない。


 となればあとはガラ空きの頭にショットガンを撃ち込むだけだ。

「ダァァン」と大きい銃声が鳴ると共にボスゴブリンのでかい図体が倒れる。

 死生判別でしっかり死んでる事を確認出来たので即座に周りを把握する。


 周囲はゴブリンに囲まれており、ボスの死に怯まずにしっかりと包囲網が出来ているのであった。

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