第71話昔は苦戦したが今ではもう…
近づいて分かったが、昔は同じ大きさであったが今ではかなり小さく見える。
アレから何度も進化をしたのだ、そりゃ大きさが変わって当然だろう。
同じ個体…同じ魂かは知らないが種族名は【リビングデッドフォレストドラゴン】、元種族が同じである以上力量は大体同じだろう。
『—————!』
フォレストドラゴンが声にならない咆哮を上げながら突撃してくるので突っ込んで来たところを片方の翼脚で頭を押さえつけ、地面にめり込ませる。
(やっぱり昔とはステータス差が違うな、今じゃ翼脚一本で制圧出来てしまう)
フォレストドラゴンが抵抗とばかりに翼脚で殴ってきたり、起きあがろうとしているが今ではステータス差が大きいのだ…全く抵抗になっていない。
そのまま罪炎で焼いて未練値を削ってもいいが、どうせならもっと身体を動かそうと思う。
押さえつけている頭部をしっかりと掴み、俺ごと回転しながらフォレストドラゴンを地面に擦り付けて一周の3/4ぐらい引き摺らせたところで思いっきり上空へと投げる。
フォレストドラゴンはやはりゾンビ故だろうか、知能も低く翼を使おうともしていない。
もしくは腐った身体の翼は使えないのかもしれない。
落ちてきたフォレストドラゴンに向かって罪氷炎ブレスを吐き、ガリガリと未練値を削っていく。
そしてフォレストドラゴンが地面へと到達する頃には未練値は削れ切っており、消滅してるのであった…
ちなみにアンデッドは倒すと跡形もなく消滅する。アンデッドの器である身体はどうやら魂にある記憶を元に不浄の魔力が作り上げてるらしい。未練値が無くなれば魂は完全に輪廻へと帰り、身体は不浄の魔力へと即分解されるっぽい。
(こう見ると強くなったもんだな、俺も…昔は割と強さが同じくらいだった奴も今じゃ押さえつけれるんだもな)
そんな風に思いながらも、罪氷炎を辺りに放出させながらどんどんと流れてくる魔物達を見る。
そこにはAランク魔物達のアンデッドがわんさかと出てきているのだった。
(せっかく巣の外に出たんだし、色々試させてもらうぞ!)
俺に突撃してくる魔物達の最前線に居るのはキマイラ、もしかしたら王都へ行く途中に狩った個体かもしれない。
収納から取り出した集中錬成武器である大太刀…それを思いっきり横凪に振るう。
龍型用の馬鹿デカい大太刀だ、キマイラ諸共近くにいた奴らを一刀両断する。身体が切断されて動けなくなった生き残りアンデッドを巻き込む様に罪氷炎を解き放ち、未練にまみれたその魂を解放していく。
(流石にAランクの群れなら多少は戦いになってくれるだろ)
背後に来たデカいニワトリ…多分アンデッドコカトリスの顔面を翼脚で鷲掴みにし、思いっきり上空へ投げる。
投げたコカトリスの更に上空へと傲慢の権能で移動をし、そこから思いっきり罪氷炎ブレスをアンデッドの群れに向かって吐きつける。
時々遠距離攻撃が飛んでくるが、装甲だけで簡単に防げる程度なので全く問題がない。
ブレスだけでは撃ち漏らしが出る…そう思うだろうがこちらには氷炎魔技がある。ブレスで出した罪氷炎を操り、満遍なく行き渡らせることでほぼ俺の近くにいるアンデッド全員に当たるようにしている。
ある程度アンデッドを消滅させれたところで地面へと着地すると同時に最後の締めとばかりに霊化罪氷炎を全方位に放出して撃ち漏らしを消滅させる。
(うん…いくら元がAランクと言えど知能がなかったらな…ブレスだけで終わっちまったや)
あとは適当に殲滅をしていたら何故か急にアンデッドの進行が止まった。狩り尽くした…訳ではなさそうだが。
(一体何が?段々数が減ってくのなら分かるがピタリと止まるのはおかしくないか?)
不思議に思ってるとふと、背中に重量を感じる。
…背中に?
「霊力使えるなんて私以外に見るのは初めて。流石はゼノ君」
(なんでリアが此処に居るんだ?)
背中に当然の如く乗っていたのは帝国で出会った神格者ことリアだった。
マジで気配も何も感じずに現れてびっくりしたのだが?
「ん、世界は私の庭みたいな物。…それより、やっぱりここは物足りない?」
(世界を庭判定て…それにしても物足りない、か。確かに物足りないかな)
「そう言うと思ってた。やっぱりゼノ君とは相性が良いかも」
そう言って俺の頭、それも鼻先へとリアは降りてきた。うむ、視界いっぱいにリアが広がっている。
「霊力があるとここは簡単すぎる…それに権能もあるとここで負けるとは思えない」
(そりゃアンデッドに有効過ぎるしなぁ)
「そう言うこと。だからゼノ君をもっと危ない場所へと送ってあげる。一応保護するけど体力半分くらい削れると思うから頑張って」
(へ?保護?)
体力が半分削れるとか聞こえてびっくりしているうちに自身が異様に硬くなった事を感じれた。
言うならば今までの俺の防御力がティッシュなのでは?思えるほどに…
「じゃ、また今度」
そう一言、言い放つとリアは俺の頭の上でクルッと回転して踵落としを———
(———っ!!!!)
リアから踵落としを放たれた瞬間、とんでもない衝撃とともに俺が地中深くへとめり込んでいく。
一応リアの保護のおかげで意識は保っているがそもそも保護がなければ普通に頭が消し飛んでいただろう…
そうして特に土泳のスキルも無いのにリアから放たれた攻撃だけで地中を移動していると、とある空間へと出た。
そしてその空間にある滅茶苦茶硬い地面に激突する事でやっと移動が止まった。
大体リアの踵落としで最大体力の1/3が、地面に激突した時に1/5ほどの体力が削れた。
そして激突してから数秒後に保護が消える…
(…うん、リアが怖いや)
自身に怠惰の権能で超速回復を施しながら思う…あの警戒心の薄れる幼女体型の美少女がとんでもない攻撃を放つのは解釈違いだと…ちょっとギャップと言う言葉で済まされないと思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
はい、冰鴉です。
いやぁ、書いてて思ったんですよね…せっかくの砂漠地下なのにアンデッドだけってのはダメじゃね?と。
本来ならあのアンデッドの場所は霊力も罪力も無かったら魔力切れ起こしてボコされる危険地帯なんですけど主人公が殲滅に特化しすぎちゃってましたから。
ちなみにリアちゃんが出てきた理由は霊印を通して主人公の様子見をしたら凄くも物足りなさそうな雰囲気を醸し出していたからですね。
ついでに言うとリアちゃんの踵落としを保護無しで喰らったら頭部どころか全身が粉々になりますね。(書かれてないだけでリアちゃんが踵落としを放った場所はめっちゃデカいクレーターができてます)
リアちゃんは作者の大のお気に入りなので多分今後もポツポツ出ると思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます