第67話アンデッドは地中から生える物
その空間は言ってしまえば別世界だった。
一面に広がる墓地に徘徊するアンデッドなどと、まぁ地下墓地と言ってしまえばそこまでなのだが一点だけ決定的に違う点がある。
それは………
(なんで地下に空があるんだ?)
上空一面に仄暗い空が広がっているのだ。
一応飛んで見たが、天井なんて物に触れる気配すらない…完全な空である。
不思議に思ってると何故か霊印から知識が流れ込んできた…どう言う原理でだろうか。
【リィン神殿地下・魂の回廊】
とある神格者によって生み出された空間であり、死した魂が収束する場所。
強い未練ある魂は高密度に満ちた不浄の魔力によりアンデッドとなり、長い時を経て未練への執着を削ることで未練を無くし、世界の死生の輪廻へと魂を帰す場所。
別名、輪廻工場(リアの命名)
(つまりここはリアが作ったって事でおっけー?)
明らかにリアが作った場所だろう。だってあの人?は死を司るとか言ってたのだから。
にしてもやはり神格者が生み出した場所だからだろうか、普通に常識が通用しない。地下に天井があるのもそうだが、何故地下なのに壁が見えないくらいに広いのだろうか…と言うかここは壁があるのだろうか?もしかしたら延々と墓地が広がっているのかもしれない。
(となると俺は何をすれば良いんだ?)
霊印の方向ガイドはこの墓地へと足を踏み入れてから機能していない…
おそらく場所だけを示しているって言う事だろう。
(まぁ何でもかんでもリアのお礼に頼ってちゃダメか…満足するまで此処で鍛えればいいんだな!目指せ次の進化先!)
と言う事でとりあえず巣を作る事にする。
巣を作るために地上へと降り立ち、罪氷を展開しようとした瞬間———。
ボコッ、ボコボコボコ……
全方面から腕が生えてきた。
(ねぇ、砂漠ってSAN値を削る場所だったっけ?)
収穫期の農場の根菜みたいに至る所から手が生えている、しかも腐っているのだ。
こんなの収穫しても誰も買い取らないだろう…死体フェチが居たとしても供給過多だ。
そのまま居ても死者の手に足を掴まれそうだったのでさっさと上空へと避難する。
上空に避難してから再度下を見る…
どんどんと手や身体が生えてきて、全身が地中から出てきたら俺を凝視しながら俺の真下へと集まってきている。
これが俗に言う畑の肉と言う事だろうか…腐っているが。
ちなみにアンデッドの種類は結構ある。ゾンビが大半を締めているが、中には骨だけのスケルトンだったり全身に包帯を巻いたミイラだったりゾンビより筋肉量の多いグールだったりが居るのだ。
ミイラに関しては何処から包帯を持ってきたと言いたい。
(コイツらどうしようか?)
このまま飛んで逃げても良いが、結局逃げた先でもこうなるのがオチだろう…となると無理矢理ここに巣を作った方が楽だろう。
(よし、レッツ巣作り!)
真下に向かって霊化罪氷炎ブレスを吐き、自身の下に居るアンデッドどもをある程度凍らせてから、地上へと降り立つと同時に罪氷炎フィールドを展開する。
フィールドを展開してから錬成にてどんどんと兵器を生み出す。
こうして防衛線が形成されたのでさっさと巣作りを始める。
今回は不浄の魔力が多くて居心地が悪いので色々と凝るつもりだ。
まずは罪氷で自身の寝床を作り、そこを中心としてヤグラなどを建てていく。そこに罪化錬成にて作った罪氷を撃つ機銃の設置を忘れない。
更に屋根を設置してそこから罪の力を放出させる事を忘れない。
こうする事でこの巣の空間内ならば罪の力が不浄の魔力を追い出して過ごしやすい環境へとなるだろう。
寝床は出来たのでさっさと防衛機構を作っていく。
まずは堀を作り、堀の床に罪氷炎を設置。堀の内側に罪化させた鱗で作った柵を設置して侵入を阻害、アンデッドが柵に触れると触れた場所から罪炎が放たれる仕組みになっている。
………なんだろうか、ゾンビサバイバルゲームをしている気分になってきた。
そんな風にどんどんと設備を増やしていき、最終的には村とかが頑張って作った迎撃設備みたいになった。
(よし、これで良いな…全部罪化させて作ったし、物理系も極力使ってない)
実はアンデッド系は本来の生物とはステータスが違うのだ。
例を上げると、
【ゾンビ】
未練値 24/26
不浄魔力 43/44
攻撃力 21
防御力 18
魔法抵抗力 23
と言ったステータスをしているのだ。
そう…アンデッドはレベルが無く、体力と魔力が未練値と不浄魔力へと置き換わっているのだ。
この未練値の最大量が大きければ大きいほど、強力なアンデッドで強力なアンデッドが生まれるには不浄魔力も大量に必要になるため、必然的に不浄魔力の値も大きくなるのだ。
本来はこの未練値は自然回復せず勝手に減っていくため、時間経過でゆっくりと削っていくのだが一応攻撃する事でも削れるのだ。
ただ攻撃の種類で通りにくさと言うものがあり、通りやすい順に並べると
霊力→大罪・美徳→聖魔法→魔法→物理
となっている。物理なんてかなりダメージが軽減されていてアンデッドに使うべきではないのだ。
これは多分アンデッドが魂により密接な種族だからだろう…
普通の種族は魂と身体が密接な関係にある。魂と魄の関係という奴だ、俺が龍の感性に近くなっているのも多分これが原因。
ただ、アンデッドにとっては身体はただの器であり、アンデッドの本質は【魂に刻まれた未練】と【不浄の魔力】。故に効きやすいのはステータスの未練値に直接ダメージを与える霊力と、精神面に強く作用する大罪と美徳の力が有効なのだ。魔力とはベクトルの違った力である事も関係してると思う。
ちなみに毒は物理判定だ。身体に作用する物のため滅茶苦茶ダメージの通りが悪かった。
多分本来のアンデッド討伐方法は不浄の魔力の対となる聖属性の魔法で未練値を削る事だろう…いささか霊力と大罪・美徳は特殊が過ぎる。
ちなみにだが俺の霊体化した時はこの攻撃の通りにくさ順に結構似ている。
霊力→大罪・美徳→魔法→物理(無効)
の順でダメージを受けやすかったりする。
と言う事で出来るだけ物理で攻撃する様な物は置いていない。置いたとしても全て罪化してあるはずだ。
(流石に霊化はしない。魔力が猛速度で消費されるし)
今後の課題は霊力の魔力消費量のカバーだなぁとか思いながら巣の寝床でぬくぬくとする。
不浄の魔力が追い出されて罪の力で満ちたこの場所はやはり心地が良いのだ。巣を作って良かったと思う。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
アンデッドに物理は効きにくいって仕様を入れた結果こうなりました。
ちょっと分かりずらい場合は…
霊力と大罪・美徳は効果抜群、
魔法は等倍ダメージ、
物理は効果は今ひとつ…
と言った感じでオッケーです。
ちなみに作者のポケモンはブラック・ホワイト〜ウルトラサン・ムーン時代で終わってます。(対人戦とかやった事ないです)
私的に好きなポケモンはブラックキュレムとかホワイトキュレム(あのドラゴンって感じがマジでカッコいい…しかも作者の好きな氷属性入ってるのも素晴らしい)
月食ネクロズマも良いよね!(伝説厨とか言わないでね?普通に見た目が好きなのよ)
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