第66話やっぱ砂漠の魔物って言ったら…ねぇ

 地面の振動がどんどん大きくなり、大きな砂煙が上がるとともにその魔物の姿が露わになる。


(うっわぁ、人の精神だったら受け付けない見た目してやがる…)


【ウォーターディスペンサーワーム】


 地下水やオアシスの水を体内で濾過して、非常に綺麗な水として体内に保存するミミズ。

 主に砂漠に生息している事もあって、砂漠の動くオアシスとも呼ばれている。



(砂漠のオアシスねぇ…コレが?)


 ブヨブヨした皮膚に細長い身体、口には円形に生えた歯に常に口内が見える程の大きな口…


 なんか見続けていると段々とSAN値が削れそうな見た目をしてやがる。

 特に顔ら辺が酷い、もはや顔面全てが口みたいな物だ。


(これ砂漠のオアシスとか言ってた奴のSAN値減ってたんじゃないか?)


 TRPGなら多分1d6振らないといけない感じだ。他で例えるならゴキブリの群生地を見つけた感じ。


 ………ごめん、想像したら余計気持ち悪くなってきた。


(とりあえず砂漠に住んでる以上、熱には強いだろうし…かと言って触りたく無い。凍らして槍でも投擲するか)


 ワームがそのデカい口を開けてこちらに噛みつこうとしてくるので氷ブレスを吐くと共に氷魔技でワームの全身を凍らせる。


 わざわざ口内を見せつけないで欲しい…いくら龍の感性に近付いたと言えど普通に気持ち悪い。


 凍らせたワームの胴体に向かって思いっきり槍を投擲する。それはもう、ゴキブリに殺虫スプレーを掛けるが如く全力で投げる。


 そして投げた槍がワームを貫いた瞬間、「ブシャアッ」と言った感じで液体が飛び出てきたので反射的に霊体化して液体を躱す。


(え?気持ち悪…気持ち悪っ!…………てこれ水か)


 そういえば綺麗な水を溜め込む種族なのを思い出してこの液体が綺麗な水だと分かった。


 分かったのだが…


(いや水の飛び出し方が完全に体液なんだが?これを砂漠のオアシスとか到底思えねぇんだが?)


 ちょっと本当に生理的に受け付けれそうに無い…まさか霊印が示してるのはこの気持ち悪いのに慣れて精神を鍛えるため⁉︎と思ったがどうやら違うらしい。ちゃんと違う方角を刺していたので一安心である。


(さっさと此処から離れよう…ちょっとコイツはイヤだわ…)


 本当にあのブヨっとした感じや歯の生え方が無理なのでさっさと退散する。


 ある程度離れた所で一息…と思っていたら何か前方から砂埃と共に何かしらの大群が迫ってきた。


(え?何あれ…サソリか————うっわぁ)


 サソリの大群がこちらに迫ってきたと思っていたらどうやらそのサソリの大群が起こした振動に反応したらしい先ほどのワームが複数体現れたのだ。


(もう嫌なんだけどここ!)


 霊化罪氷炎を全方位に放出させ、サソリもワームも砂さえも全て凍らせて空へと飛び立つ。

 先程までどんな魔物が出てくるかとウキウキしていたが、今ではサッサと霊印の示す場所に行こうと思っている。


 どうか、霊印の示す場所にワームが居ませんように…


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 あの後も別種の魔物と出会いながらもなんとか霊印の示す場所へと辿り着くことが出来た。


(本当に酷かった…と言うか虫多すぎ)


 砂漠はどうやら虫がよく住む環境らしい。

 サソリをはじめとしてムカデにカマキリ、バッタと様々な虫の魔物が出てきた。


 そしてそいつらの共通点が決まって炎耐性を持ちながら水系統のスキルを持っている事だ。

 カマキリとかは水纏いなんてスキルを使って鎌の部分に水を纏って水刃を放ってきたからビックリした物だ。


 お返しとがてらに氷を纏ってそのまま滑空突撃をしたら見事にバラバラになってしまった。まぁ、流石にステータス差があるのだ。


 さて、そんな道中の事はさておき今目の前にある霊印が示している場所を改めて見る。


(神殿…いや洞窟?前世で言うならダンジョンだな)


 砂漠の中にポツンと立った神殿のような建物。そしてその神殿の中央部分に地下に続くであろう階段があるのがわかる。

 しかもこの神殿の周りには一切魔物が寄ってきてないのだ。ついでに砂塵も避けている…かなり不気味だ。


 言うならば台風の目だ。周りの天候は酷いのにここだけは静寂と平穏に包まれている。


(この神殿の周りだけは異様に静かだな…それに妙にデカい。龍の俺でも余裕が出来てるや)


 さながら龍サイズの魔物の為に作られたかのような大きさだ。階段も一段一段がバカデカく、これも龍サイズだ。

 そしてこの階段の入り口から非常に淀んだ魔力を感じる。


(立ち往生しててもどうしようもないか…せっかくここまで来たんだし行くしかないよな)


 龍型のまま神殿中央の階段を降っていく。

 降りていくごとにどんどんと魔力の淀みが酷くなっていく…


 つまり汚い魔力が濃くなっているのだ。そして階段を降りていき、とある空間へと出る。


(なるほどね、この酷く淀んだ魔力ってのは不浄の魔力だったって事か)


 そこは砂漠の地下とは思えない空間が広がっていたのであった。


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 霊化罪氷炎の全方位放出なんですけど…多分モン◯ンのアルバト◯オンのエスカトンジャッジメント(氷)とまんま同じだと思います。


 スリップダメージな事もあってマジであの技の通りだと思ってます。強いて違うところも言うなら地中も全て凍らせた事ですかね?


 それはそれとしてちょっと龍人転生物書きたくなってきたんですよね。(今後の主人公は龍型多めじゃないといけないから…)

 て事で裏で別作品書こうとは思ってるんですが…公開するかどうかは私次第だったりします。(育りゅう終わらないと書き続けれる気がしない)

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