第58話貴女強すぎません⁉︎ほんとに人間?

 リアはコツンと俺のオデコに当たる部分を小突いてから俺から降りる。


(流石に強すぎないか?鑑定してみるか…………はぁ?)


 一応罪化鑑定を行ったのだが妨害された。

 始めての事で全く理解が出来ない…読めなくともフィリアさんのステータスは表示出来たのに目の前の存在は完全にステータスを隠されているのだ。


「?鑑定が出来ないのは当然。手の内を隠すのは基本…貴方だってステータスを偽ってるでしょ?ゼノ君」


 そんな言葉が放たれたので俺は警戒を最大まで上げる。

 目の前の存在は明らかに普通じゃない。人族なのかすら怪しい…


 俺の名前を知ってるのもそうだが罪化鑑定を防いでるのが1番ヤバい。これはつまり相手も罪か美徳を持ってるのだろう。


「そんなに警戒しなくても良い。私は楽しみたいだけ」

 そう言うと同時に俺の下へと入り込み、手に持った武器を振り上げる。


 かなりの危険を感じたので空を飛んで回避…何かとてつもない危機を感じたのだ。


(あの感覚…フィリアさんレベル?)

 俺の中の全てが警鐘を鳴らす様な感じが一瞬したのだ。あの攻撃を受ければ粉々になってしまう…そう思えるほどの。


「ん、少し攻撃性を含めてしまった。危ない危ない…」

(攻撃性…?いや、本当に何者なんだ⁉︎)


 リアがジャンプして俺の目の前に来たと思ったら手に持っていた武器は変化する。

 元は大剣に妙な装飾が付いた感じだったのだが変化する事でその見た目は変わって行く。


 そしてその変わった見た目は…大槌だった。


「空中戦はめんどくさい。落ちて」


 そう簡潔に言って俺の頭を大槌でぶん殴る。

 その幼児体型に似合わない異常な衝撃が頭に走り、そのまま撃墜される。


 軽く脳震盪を起こしてる所で目の前にリアが降りてくる。


「今ので気絶しない…流石はフィリアの子?いや、他の子供より強い?」


 ボソボソ言ってるが脳が震えていて聞き取れる余裕がない…正直今、死を覚悟している。


 だが突然脳震盪も含めて傷が綺麗に治る。

 …治癒魔法?


「ゼノ君、龍での姿での戦闘に慣れてない。もっと本気を見せて、慣れた姿で来て」

(確かに慣れてないのはそうなんだが、なんで分かる?人型で戦えって事か?)

「本気で来ないならゼノ君を散々痛めつけてから放置する。ここは帝国の前、どうなると思う?」


 それは脅しだ、流石にボロボロにされてしまえば抵抗虚しく捕獲されるだろう…

 俺に拒否権は無さそうなので人型(翼脚付き)へと変化する。


 ちなみにだがこの間にも他の帝国民達は兵器で殲滅している。権能にて自立行動させてるから勝手に戦ってくれるのだ。だからこそ目の前のリアに集中出来るのだが。


「へぇ、人型…それが1番動きやすいんだ」

「戦う前に聞きたいんだが…お前は何者なんだ?」

「?私はリア」

「いや、そうじゃなくてなんでそんなに強いんだって聞いてるんだが」

「…あぁ、そう言う事。私に勝てたら教えてあげる、だから全力で来て」

「…聞ける自信がないな」


 全力と言われたので用意してた武器を取り出す。

【人型龍刀・断罪】、それが俺の作った武器だ。

 種類で言うなら大太刀と言った奴だろう。


 普通の刀が切る事に特化してるのに対して大太刀は叩き切ると言った感じの武器だ。


「?その武器、何処で手に入れた?見た事がない」

「そりゃ自前としか言えないな…全力で行くぞ!」

「自前?まぁいいや、来て」


 流石に節約とは言えないので全てを使って戦う。

 罪氷と罪炎を纏って傲慢の権能で背後の斜め上へ、そこから断罪を振り下ろす。


 ドゴッっと言う音と共に大地が切れる。リアは簡単に避けた様でそのまま俺の足を引っ掛けてバランスを崩してくる。


 転ぶ様な体制になるが翼脚で身体を支えると同時にそのまま回し蹴りへと移行するがそれは綺麗に受け流される。


「ん、良い動き…だけどまだ弱い」


 そんな言葉が聞こえると同時に身体を掴まれたと思ったら帝国民の集まりの反対側へとぶん投げられる。


(ウッソだろどんだけ怪力なんだよ!)


 さっきまで目の前ほどの距離だった人の大群が今じゃ遠目にしか見えない。

 だがそこから一つの人影が猛速度で突っ込んでくる。

 明らかにリアだろう。


 いつの間にか大剣に変化してたらしい武器を振り下ろしてきたのでそれに大太刀を合わせて鍔迫り合いを起こす。


 鍔迫り合いを起こした所で動きが止まるのでリアを罪氷で閉じ込める。

 まぁ、この程度で止まるとは思っていないので罪化錬成で貫通に特化した螺旋状の槍を生み出し、それを罪化錬成で生み出した発射口に装填。槍をひたすらに回転させて更に貫通力を上げた槍をリアに向ける。


 だが向けた頃には罪氷は粉々に砕け散り、霧散していた。

 そしてリアのその瞳は水色に染まっていた。


「…っ!」


 即座に超回転槍を放つ。

 生物を貫通して殺す事に特化した武器だが正直通用する気はしない。

 その予想を全く裏切らず、リアは冷静に手に持った武器を変形させて大楯へと変化させて簡単に方向を逸らす。

 なお逸らした方向は人の集団のある方で遠くから大きめの悲鳴が聞こえた気がした。


「その目は、怠惰の…」

「正解。だけどこの遊びで権能は氷にしか使ってない。…体術、武器術、そして魔法と権能…どれも及第点?次はどう耐えるか見せてみて」


 目の前のリアの雰囲気が変わる。今までは人族の猛者的な雰囲気だったが突如として遥か高みに居る実力者の存在感を放っている。


「死なない様に頑張って」

(なんでこんな存在が帝国に居るんだよ…!)


 リアの持っている武器が変化して両手武器…爪武器へと変化する。ナックルからの3本の反りが少なめな鎌の刃が伸びていると言った方が分かりやすいだろうか?そして両刃でもある。


 水色の瞳が更に輝き、リアの周りに怠惰の霧が現れる。

 同じ大罪の権能保持者でありながら、圧倒的な格上の存在と嫌でも分かるのであった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あとがき

 はい、冰鴉です。


 圧倒的強者ことリアさんですが、まぁ現状主人公が勝てる要素は1ミクロンも無いですね。

 一応サポート限定でリアさんの設定を近況ノートに出そうとは思ってますので是非是非お読みください。

 他の登場人物のちょっとした裏設定などもありますので是非是非どうぞお読みくださいな。


 ↓育りゅう登場人物の詳細設定(作者視点)

 https://kakuyomu.jp/users/kan_a_alto/news/16818093074917987237

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