第51話腐敗してる物は浄化しないと…だよねぇ

「最近ほんとロクでもない人族が多いわね、客の可能性もある以上入手制限も掛けれないとソルさんも言ってたし。創神教にも良い加減にしてほしい物だわ」

「流石に多いよな…ちょっとこれは考えものかな」


 今は銀猫亭に戻ってスゥと会話している。

 本当に最近はああいう感じの奴らが多い。先ほどの奴らは少し極端な過激派だったがひたすら嫌味を言ってくる奴だったり何も言わずにお金だけ投げて帰って行った奴だっていた。


「流石に動こうかな、私的にも嫌だし」

「なに?ゼノさん何かするの?」

「もうそろそろ王都を出ようと思ってね、そのついでにちょっと手を出そうかなって」

「それって大丈夫なの?って言うか王都から出るのね」


 そう、もうそろそろ王都から出るつもりだ。最近の噂で帝国が何か準備をしてるらしく、何が起こるかは分からないが巻き込まれるとめんどくさそうだから適当に世界観光にでも行こうかと思っていたのだ。


 氷炭相愛龍になって温度をあまり気にしなくて良くなったから凍土も火山も砂漠も行ってみたくあるのだ。

 それと魚介とかも食べてみたい。


「まぁ俺は人種族の中だと結構強いからね、それにここの世話になったからこそ創神教はなんとかしたいからね」

「そうなのね…シィの為にもまた此処に顔を出しなさいよ」

「そりゃ勿論、此処は居心地が良いからね」


 スゥ曰くシィが居ると絶対引き留めるから居ない今の内に行きなさいとの事。

 シィは今自室にて恐怖を落ち着かせている所だからスゥに「旅に出るけど気が向いたり王都に立ち寄ったりしたらまた世話になるよ」と言う伝言を残して銀猫亭を発つ。


 本当はシィと話をしたかったが流石に俺も創神教の奴らには鬱憤が溜まってるしシィがこれ以上恐怖に駆られない為にもさっさと創神教の腐敗を浄化させないといけない。


 環境が元に戻るにも時間がかかるだろうから罪化錬成にて宿屋に少し細工させてもらった。

 空気中にある魔力を利用して稼働するレーダーと大罪感情付与装置であり、害意を感知したら害意を持った相手に傲慢による恐怖と怠惰を軽く付与して追い返す仕組みだ。


 罪の力を貯める場所も作った為1日5人の頻度で10年程度は持つはずである。それに怠惰の隠蔽もあるから気づかれないだろう。


「さて、さっさと腐った思考した人族を消しますかね」


 軍と敵対…いや、フィリアさんと会って会話した日から人と敵対するのは抵抗が無くなっている。


 俺は創神教総本山たるプライム王国にある宗教都市へと飛んでいくのであった。


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 宗教都市こと創神教総本山、【ルト】


 この宗教都市は人にとって切っても切り離せない『宗教』の影響を出来うる限り王都に及ばせない為に過去の王族が創神教の大神殿ごと移設させて出来た都市だ。


 厄介払いをしようにも創神教は信者数が多いため国民の数を減らさない為にも隔離をしたと言った感じだ。


 もし反乱をしたとしても一国の軍と宗教団体では練度も違うし表面上は王国の庇護下と言った感じのため武装準備も相当上手く隠さない限り出来ない感じとなってる。


 ちなみに学生に宗教の影響を強く出さない為に王都を挟んで反対側に学園都市があったりする。


(ほんと人族しか居ないな、それにシスターや神父ばっかり)


 見渡す限り人、人、人。獣人もエルフも居ない本当に人の都市と言った感じだ。

 前世ではシスター神父ばっかりなのに目を瞑ればこれが普通だったはずだがどうやら異世界に馴染んだらしく人族しか居ないこの空間に違和感を感じる。


(差別宗教の中心地だから気軽に姿を出せないな、このまま腐った原因とか探すか)


 流石に翼脚を生やしている俺は此処ではとんでもない目で見られるだろう。

 それは理解している為、俺は今怠惰の権能にて自身を隠蔽している。


 勿論翼脚を仕舞って潜入すると言う手もあるがこの翼は決意の表れでもある。だから今回は普通に権能で隠れながら潜入している。


 とりあえず最初の目的地に着いた。それはこの都市のシンボルであり中枢の創神大神殿だ。

 特に何も思わずに足を踏み入れる。


 不法侵入だとか言わないでほしい。そもそも思うのだが龍に人のルールは適用されないでしょって思う。まぁ人の姿を取って人と偽っている時点でルールは大事ではあるが。


 まぁ守っていても腐敗は取り除けないのでそのまま中へと進んでいく。

 内装は豪勢でありながらも神聖を感じる。陽の光をうまく取り入れて室内を満たし、祈りを捧げるための神像に綺麗に光が当たるような設計となっている。


 流石は内部が腐る前から存在している神殿だ、よく人に見られる部分は美しい。


 まぁ、こんな所には用はないので普通に室内を探索する。

 怠惰の隠蔽に合わせて傲慢の虚飾にて認識変化させてドアの開け閉めを気づかせない様にする。


 にしても大罪の汎用性は本当に素晴らしいと思う。戦闘だけじゃなくこう言ったスパイ活動にも非常に便利なのが素晴らしい。

 誰にも気付かれずにどんどん進んでいく。


 罪化錬成にて作ったレーダを頼りに大神殿の奥の部屋へといく。

 このレーダーは銀猫亭に設置した奴の発想を元に出来たもので、その性能はその身に宿す罪を検出して罪の大きさとその対象を表示すると言った感じだ。


 言わば罪検知、これを使って反応が大きい相手に罪氷でもぶつければ即全身が凍るだろう。


(此処が1番大きい反応がある所か…さてさて、どんな奴がいるのかねぇ)


 大神殿内で1番罪が大きい存在の居る部屋の前まで来たので特に何も思わずに権能を併用しながら入室する。

 だがその部屋の内装を見て俺はため息しか出なかった。


(はぁ…圧倒的成金趣味、目が痛くなるしこれの何が良いんだか。対象は強欲、それに怠惰だな)


 部屋の内装はギラギラばっかりで非常に目が痛い。目に悪いのでとりあえず傲慢の権能を通して土くれに見える様にする。………うん、無駄にギラギラしてなくて落ち着く。


 そしてその罪の重い対象なのだが…太ったキモいおじさんである。

 聖職服を着ているが腹は随分と膨らみを強調しているし装飾品も滅茶苦茶…付いてると思う。こっちからみたら土をつけてる様にしか見えない。


 まぁ、とりあえず創神教の膿の一つを見事見つけたのであった。

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