第48話激戦の後の来客、それは信者
大量の死体を一瞥してから俺は罪化したものを全て解く。
激しい戦闘は終わった、罪氷都市もその瓦礫も蒼炎も全て消えて残ったのは凸凹した大地と死んだ死体のみ。それも死体は凸凹した大地から離れた場所にある。
「ルミナ・アンブラル…強かったな。もっと強くならないとこの世で生き残れる気がしない」
人類っていうのは世界で見れば弱者だ。勿論ルミナみたく強者の部類に入る存在もいるだろうがセレスティア森林で感じた強者の圧なんかより圧倒的に弱く感じたのだ。
そう、ルミナほどの力を持った人間でもセレスティア森林では生きれすらしないのだ。
ギリギリで勝った俺も勿論そう。
「にしてももう進化か…そりゃそうか、これだけの人数を殺したしレベルが上のルミナも殺した?しな」
少し離れたとこにある死体の数々を見る。数は数千はくだらない感じだろう…やはり大罪の力は集団に対して無類の強さが出る。
そんな数を殺して更にlvが俺より上のルミナに勝ったのだからそりゃ進化lvに届いても当然と言った感じだ。
人の死体のある場所は元人間として少し嫌な気分になるのでとりあえず山岳から離れて草原へと行く。戦闘で疲れてるため索敵は怠惰の権能による敵性検知だけにしている。
とりあえず草原で進化先を決めて明日にでも人目のつかないところで進化しようと思う。
「さて、進化先はどんな———」
「あぁ…やっと見つけました使徒様…!!」
「えっ?使徒様?」
何かよく分からない単語が出たため振り向いて確認すると圧倒的な喜びオーラ全開にした美少女が居た。
…本当に凄い喜びが伝わってくる。戦闘で疲れた心が癒やされるほどである。
にしても誰だろうこの美少女は?それに使徒と言うのも気になる。
ずっと見つめられているので俺も見続ける。めっちゃ目が輝いている、凄い輝いてる。蛍光色と見間違えそうである。
「………?…あぁ、失礼しました。感動でつい」
「感動?」
「えぇ、貴方様に会えたことへの喜びが溢れてしまいまして。遅らせながら名乗らせていただきます、私はセナ・シンシアと申しまして大罪教の法皇であり聖女をしています…以後お見知り置きを、掌握者様」
目の前の美少女はセナ・シンシアと言うらしい。見た目は黒髪セミロングの青眼、黒に赤のアクセントと言った俺に非常に似たカラーリングのシスター服を着ている。
にしても大罪教とはなんぞや?
「大罪教?聞いた事ないな。それに俺を使徒とか言ってるが人違いじゃないか?」
「あぁすみません、大罪教の名は表に出てないんでした…大罪教とは影に潜む宗教の事です。それと貴方様が正真正銘の使徒様ですよ!」
影に潜む宗教…確か四大宗教の四つめの宗教だったか。
えっ、目の前に居るこの子が四大宗教の一柱の法皇⁉︎国王レベルの大物が何故ここに?
…いやまぁ、十中八九怠惰の霧が原因だろう。だってめっちゃ目立つし…普段とは全然違う霧とか目立ちまくる。それに『大罪教』なんだからそりゃ権能持ってる存在を探すか。
にしても何が目的で接触してきたのだろうか?敵性検知には引っ掛からなかったし敵ではないだろう。ただ敵に回る可能性はある、正直連戦は勘弁して欲しい。
「それで?何の用で俺に接触してきたんだ?」
「そうでした、本題を忘れてました…実はお願いがありまして」
「お願い?」
「はい、是非とも大罪の掌握者である貴方様には我々大罪教を導いて頂きたく…!」
「それは法皇に近しい立場に立って欲しいってことか?」
「それで間違いありません!」
うん、却下だ。わざわざ重要な立場に立って身を縛る必要性を俺は感じない。
「すまんが無理だな、俺は枷を付けられたくないし上に立つ気も無い」
「枷…ですか、でも使徒様である貴方様には是非とも大罪教と関わりを持って頂きたいのです!」
かなり押しが強い、先程大罪が原因の討伐隊と戦ったばかりだから押しが強い好意的な言動にはちょっと困惑する。
だがどうしても関わりたい、か…だが俺は大罪教について一切知らない。
「セナさん、大罪教って言うのはどんな宗教でどんな事をしてるんだ?」
「私の事は呼び捨てにしてもらって構いません。それでどんな宗教かでどんな事をしているかですね、使徒様である貴方様には是非ともお教えしたい所です!」
そして目の前のセナさんは説明し始める。
大罪教、それはありとあらゆる種族が入り乱れた宗教であり信者達がもれなく七大罪のうちのどれかの大罪を少なくとも一つは崇めてるらしい。
教義は【生物は生まれながらにして大罪なる思考を持っている。すなわち大罪とは生物の本質である。大罪と共に生きる我々は大罪に呑まれぬように美徳精神を携えながらも本質たる大罪を否定してはいけない】
だとか。
つまり『大罪の感情は生物の根源であり常に付き纏うが感情に支配されないように美徳の心を持つべきだ。だけど生命の根源である大罪を悪と判断する事は生命に対する冒涜である』と言った感じだろうか?希望を持てって言う創神教や安寧を求める四神教とは違ってどう生きれば良いかを説いてる感じだ。
そして活動についてだが基本的に自由であるが共通してしてる事があるらしい。
それは大罪の感情に悩まされている人の相談に乗り解決に導く事。強制ではないが教義もあって美徳精神を養う事からも大抵の信者はするらしい。
【大罪教】と言う名前の割には美しい内容だし、創神教の方が大罪してるまである。
もし俺が普通にこの世界で生きてれば入信しててもおかしくないが、俺には目標があるのだ。
フィリアさんに並ぶと言う目標が。
「良いとは思うがやっぱり無理だな、俺には合ってない」
「そこをなんとか…!」
「そうは言われても俺もやりたい事はあるしな」
「ならばせめて名前だけでも…!」
名前だけ…今後付き纏われそうな雰囲気を目の前のセナから感じるが名前程度であれば妥協点…だろうか?
もし大罪教が俺の名の元に悪行をし続けるのであれば罪氷に閉じ込めるだけだ。
「…そこら辺が妥協点か?名前…と言うより二つ名的なのを適当に決めて使ってくれ。俺はお前ら信者が俺の名を使って悪行をし続けない限り干渉しない」
「ありがとうございます!にしても二つ名、ですか?普通に名前を教えていただければ———えっ?使徒様?…使徒様⁉︎」
セナから少し離れて龍の姿となる。
人型との関係をバレたくないため名前を言うわけにも行かないし偽名も使うともしかしたらめんどくさくなるかもしれない。
ならば仮面とフードで顔が分かっていない今のうちに龍の姿を見せて勝手に決めてもらった方が楽だろう。
黒龍の姿となり怠惰の霧を嫉妬の静電、傲慢の圧に色欲の香りを纏い寛容の包容力を出す。
「なんと…!これが使徒様の真の御姿!なんと美しい…その黒き姿と罪を纏う姿はまさに聖を表す聖銀龍様と対を成すかの様…なんて素晴らしい」
ある程度見せたしそろそろ退散しよう…普通にもうベッドで寝たい。
時間は夕暮れ、龍の姿のまま空を飛んで空にある雲へと突っ込んでそのまま怠惰の権能で姿を消す。
そして人型となり宿近くへと降りる。もちろん仮面もフードも取って服装も変えてである。
「宗教かぁ、めんどくさそうだなぁ」
そんな事を呟きながら銀猫亭へと入る。最近何故か懐いたシィが頭を撫でてと寄ってきたので撫でて癒されながら休息へと移るのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あとがき
はい、冰鴉です。
軽く宗教関連を書きますけど作者自身が宗教に全く詳しくないのと上手く想像できないこともあって結構雑かもなので御了承を…
ちなみに大罪教に関してはまだまだ動かないですね、現状主人公の存在を大罪教のトップが完全に認知したって感じです。
魔神教編ぐらいで聖女ちゃんと一緒に大罪教くるかな…?予定は未定ですね。
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