第47話支配空間にて起こるは炎の破壊と氷の創造

 ひたすら強烈な攻撃が飛び交う。


 ルミナは魔力回復を持ってるためそれを上手い事使い魔力維持をしてるし俺は嫉妬の権能で魔力回復を模倣して罪化させ超速魔力回復をしている。つまり底が無いのだ。


(溶けるとしても溶けるまでに時間があるなら全部罪氷で錬成した方がいいな)


 正直炎耐性を一切持っていない俺の鱗なんて今じゃ盾にもならないだろう、即座に貫通する。

 ただの氷も同様だ、罪氷で何とかって感じなのである。


(はぁ、ほんと戦いがキッツイ)


 罪氷は数秒で溶かされるし相手の放つ魔法も対策が出来ない。

 炎のため支配出来ないのもそうだが権能による無力化も出来ないのだ。理由は早過ぎると言う事だ。


 このルミナが無感情になってからの魔法は全て光線から始まっている。それは即着弾と言っても良い弾速なのだ…正直罪氷を纏ってなければ射抜かれて終わるし空間支配による瞬間移動がなければ集中砲火で終わる。


「……………」

(美人の無表情で据わった目とか恐怖しか感じない)


 本当に怖い、美人は笑顔でも迫力があると言うが無表情は恐怖しか感じない。飛んでくる魔法も即死級だから余計に恐怖を感じる。



 上空に風魔法で飛んでいるルミナはひたすら光線を撃ってくる。


 避けるのは正直無理に近いが怠惰と寛容の攻撃感知と瞬間移動によって避けれている。


 レーザーの着弾地点は小爆発が起きているため地形はボロボロの結界はヒビが入りまくりである。結界は何重にも張り巡らして破れたら即座に貼り直している。空間支配が無くなれば終わるのは分かりきってるのだ。


「………よく耐える、けど必ず討伐する」


 そこ冷えするかのような声が聞こえた瞬間、即座にその場から瞬間移動する、全身が警鐘を鳴らしたのだ。


 そして瞬間移動したほんの数瞬後に俺が経ってた場所に光熱の大柱が噴き出した。

 それが数秒続いて光熱柱は収まったが———


(えっぐ…マジでヤベェ)


 光熱柱のあった場所は大地が溶けてるのだ、流石に何度も撃てる感じでは無いだろうがそれでも相当ヤバい。罪氷フィールドの層を余裕で貫通してる感じだからまともに受けてしまえば塵すら残さず消えるだろう。


(ふぅ…俺も容赦なんて捨てるべきか、流石にそんな事考えられそうにない)

 本来は人間に戦うのは愚策と言う印象を与えようとしたため強者に勝って生かし、敵わないと思わせようと思っていたがそんな事を考えるほど余裕が無さそうである。


 俺は傲慢の虚飾にて自身の『容赦』の考えを期間限定で消す。

 期間の設定はルミナ・アンブラルに勝利する事、殺害・戦意喪失・戦闘続行不可ととりあえず勝利をすれば容赦の考えが戻るように設定する。


(……やるか)


 自身の手を龍手に変化させて翼脚と手に超濃縮した罪氷を纏う…透き通るように深く深く…深淵を感じる青の氷を纏いルミナに肉薄をする。


 氷は輝剣で溶けなかった。だがルミナは様々な角度から光線を出してくる、直線は勿論時に角度を急激に変えたり曲線で撃ってきたりと…そして段々と着弾時の爆発の威力も強くなってきている。


(遮蔽物が欲しい…創るか)

 罪氷と錬成によってどんどんと建物を作っていく、罪化した機微技術錬成は武器と兵器の制限を外している。それも擬似生物を生み出せるほど。


 ビルや民家、塔などが乱立し始める。支配空間にて創られたそれは氷で出来た前世の都会…


 市街戦の始まりだ。




 壁や建物の中や屋上を駆使してひたすらルミナに肉薄し続ける。

 そしてルミナは氷創造物ごと俺を破壊しようと光線を放つ…そして破壊される度に罪氷で創造していく。


 時には看板を盾に、時には車をぶん投げたり。

 室内へと入って死角から肉薄しようとも結局防がれる。

 そして室内に居れば俺目掛けて全力で光線を放ってくる、罪氷の壁がある以上こちらに届くまでディレイはあるため避けやすいがひたすらに純粋な殺意を感じる。


 創造物により遮蔽ができて肉薄しやすくなったが依然として決定打がない。

(どうする?ガス欠も狙えないし精神の疲労は感情の消せてない俺の方が速い…大きな障壁となってるのはあの輝剣と炎纏い…何とか攻略するしかないか)


 ある程度考えを纏めて建物から出る。ルミナは俺を探し出すために建物を壊しまくっている。

 再度創造し直してルミナに肉薄、そうして罪氷爪と輝剣で拮抗状態となる。


(まずは剣から…!)

 ルミナが光線を至近距離のまま撃ってくるが撃ってくる場所を権能で感知して射線上に罪氷を生み出し相殺する。


「っ!……!」


 そして超濃縮して生み出した氷の刃を支配して動かしてルミナの利き腕と思われる右手を翼脚に握った罪氷剣で切り飛ばす。

 ついでに輝剣を奪い取る、利き腕の握力が無くなれば力ずくで奪うのは容易い。


 奪い取った輝剣を濃縮した罪氷にて封印してその辺に捨ててルミナを罪氷に閉じ込める。


(流石にこの程度で終わらないよな)

 ルミナは自身で蒼炎を纏って凍結を防いでる。そして見てる感じ輝剣と同じように濃縮された蒼炎を生み出そうとしているのだろう…此処からは時間勝負である。


 氷によって弱まった蒼炎に傲慢の権能で干渉し弱体化させて更に色欲で味方化、そして怠惰と傲慢にてルミナのステータスに干渉する。



 やる事はステータスの一時的な封印…


 だがこれは封印には少し時間が掛かるし集中が必要だ、スキルのうち一つを適当に無効化ならば即座に出来るが特定のとなるとステータスを覗き見て特定のスキルに権能を掛け続ける必要がある。


 封印するスキルは【炎属性魔法【蒼炎】lv100】、傲慢の権能にて集中的にレベルを下げる。


 そして自身の権能のlvであるlv73を下回らせて封印可能となり封印した瞬間と輝炎が生み出されるのはほぼ同時であった。


(熱っ!)


 輝剣の蒼炎よりもより密度の濃い炎を生み出したらしく、輝炎によって氷が一瞬にして溶けてそのまま俺の纏ってた罪氷ごと焼くように溶かすがそれはその瞬間だけの事、封印が成功して即座に輝炎が消える。


「何故…」

「これで終わりだ…!」


 炎が扱えない事に理解が出来ない表情をしてるルミナにを罪氷爪で切り裂き心臓を貫く。


「………化け物め」

「褒め言葉として受け止めとくよ」

「…次は必ず討伐してやる」

「…次?」


 そう言葉を残してルミナの身体が輝いて消える。

 確実に殺した感覚はあるが死体として残らなかった事に疑問が残る。



 こうしてプライム王国軍との戦いは多数の死兵の死体とルミナの腕とボコボコになった土地を残して終わるのであった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あとがき

 はい、冰鴉です。


 と言う事でルミナ・アンブラル戦終了です。

 第一師団長は言わばS級冒険者の域ですね、現状の主人公で充分に渡り合えます。

 まぁ相性が悪かっただけで普通だったら空間支配してもう終わりなんですけどね…なんか書いてたら思った以上に苦戦し始めたしルミナの事殺しちゃったし…


 まぁ感想は此処までにして色々説明します。

 まずは結界内空間の支配について。

 これは結界内の限定空間にて罪化冷気操作の操る性質に権能をフルで掛けてそれを寛容の権能で空間内に満たしたって感じです。


 怠惰の無力化と傲慢の弱体化と強化、色欲の味方化に嫉妬の複製の性質を広域化させてそれを冷気経由で権能で干渉するようにした事で空間の支配をしたって感じです。

 支配には欠かせない【操る性質】を持つ冷気操作は必須ですし、冷気自体も必須となるので周りに熱気を纏う火属性とは相性が悪いんですよね。


 あとなにか説明欲しいところってあったっけ?ある場合はコメントお願いします。

 それではまた次回にお会いしましょう〜


 プライム王国第一師団

 死者数、4381人

 精神的重病者、3172人

 大罪討伐任務結果:壊滅

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