第46話空間支配、それは攻勢の一手

「なに…結界?にしては雰囲気が変わり過ぎている、何をしたの?」


 困惑している所で悪いが俺も猛攻をさせてもらう、攻守交代だ。


「また瞬間移動!?魔力障壁!…ゥグッ!」

 傲慢によりルミナの目の前へと瞬間移動し、尻尾を叩きつける。さながら尻尾を使ったムーンサルトと言った感じで魔力障壁ごと地面にたたきつけた感じだ。


 再度瞬間移動、振り下ろす前足…それと同時に武器を錬成して投げつける。


「ほんとうに何でもありね!武器まで使うとかどうなってるのよ!」

(武器を使ってこその俺だ、そちらが全力ならばこちらも全力を出さないとな!)

「次はナイフ!?ほんとイヤになる龍ね!」


 大量の錬成したナイフで弾幕を張る、相手に手出しをさせないならば手数は重要だ。

 そこに追い打ちの罪化爆鱗射撃を行う、罪化爆鱗の効果は一枚の鱗につき複数枚に爆発分裂する言わば散弾化である。もちろん罪鱗射撃の追撃もある。


「フレイムウォール!一気に動き激しく成り過ぎでしょ!」

(折角の空間の支配なんだ、もっと激しくいくぞ!)


 折角だ、もっと動きやすい姿となる。

 人型へと変化し、いつもと服装を変える。灰色パーカーに黒ズボン、それにフードを被り龍を模した仮面を付ける。身バレはよろしくない、人間の料理が食べずらくなる。それと翼脚はまだ生やしていない。


 そして十数機の機銃(罪化爆鱗射撃)を錬成して起動し、俺は傲慢の権能にてルミナを機銃と挟むような位置取りをする。


「いつの間に後ろに───人型!?もうほんとにどうなってんのよ!」

(へぇ、炎剣…近接もできるんだ)


 手に持った錬成剣で切りかかるが蒼炎の剣によって受け止められ、徐々に溶かされる。

 やはり罪氷を纏わせたほうが良いらしい。


「この弾幕の中で戦うのは流石にっ…キツイ!」


 飛んでくる爆鱗を飛んだり蒼炎を当てたりしながら俺の瞬間移動しながらの攻撃をひたすらに耐える。

 流石第一師団長だ。


 更に手数を増やす、罪氷を生み出してそれを剣にする。そして怠惰の権能にて自立行動をさせて自動でルミナに攻撃するようにする。

 剣の本数は6、これで更に手数が増えた。


 そしてさらなる猛攻を仕掛ける、流石にルミナも避けきれずにどんどん切り傷が増えていく。

「あぁもう!ほんとうに大罪ってのはやばいわね!使いたくなかったけど…そうも言ってられない!【ブラストディストラクション】!」


 その言葉を聞いた途端、俺は即座に権能で偽装の俺を作り結界の境界に瞬間移動する。途轍もなく嫌な予感がしたのだ。


 そしてその予感は的中する。偽装の俺・罪氷の剣・機銃と自立行動させた物と俺(偽装)に向かって一本の光線が伸びたと思ったら光線の着弾点を中心とした大爆発が起きたのだ。


(えげつねぇな…自立行動させたやつ消し飛んでしまったな)

「これで死んでくれたらありがたいんだけど、結界残ってるし死んでないじゃないの」

(これは自立行動させてもあんまり意味なさそうだな、まぁいい…まだ支配は終わってないんだ)


 冷気が減り支配が弱まったがルミナに支配へ干渉する力はないため落ち着いて再度冷気を満たして支配を元に戻す。


「周りの被害とかもう考えないわ。容赦なんて、しない」

(俺も全力で行こうじゃないか、勝たせてもらうぞ)


 ルミナの目が据わると同時に俺は翼脚を生やし、罪氷を纏う。


 ルミナの瞳が赤から蒼炎の色となり、髪の毛の先端が蒼くなる…

「討伐対象:罪龍………任務を完遂する」

 目が据わり、無表情となったルミナが全てを破壊し尽くさんとばかりに動き出す。


 第三フェーズの始まりだ。


 -------------------------------------


 無表情のルミナは何も言わず、ただ無言のままに魔法を撃つ。そしてそのどれもが凶悪。


(マジで危ないな、撃つ魔法が全部破壊に特化しすぎてる…高熱による爆発だし冷気による操作ができないや)


 この空間支配の大元は結界による限定空間の形成と冷気操作の罪化であり、冷気で触れれる物を支配するのだが炎の魔法は周辺の冷気が熱によって無くなるので支配できないのだ。


 正直相性は悪い…だが空間の支配は相性が悪くともした方がメリットがデカいのだ、例えば傲慢はその性質上相手を見下せる場所への瞬間移動が出来るが『見下せる場所』限定だ。だが支配すれば支配域内ならばどこでも瞬間移動出来るようになる。

『この空間内ならば我は支配者である』ということになりこのような事が可能となるのだ。


 他にも第三者視点を同時に見てみたり外した投擲物をホーミングするかのように空中で再投擲したりできるのだ。


 そんな空間の中であるが、ひたすら激戦が続いている。


(人間の上振れってこんなに強いのかよ…種族値的なステータスがあるから戦えてるが俺が人間に転生してたら勝てる気がしねぇ)


 蒼炎を超濃縮した蒼く輝く剣を握りながら爆発で自身のスピードにブーストをかけながら切りかかってくる。

 爆発によるブーストも驚きだがそれ以上に輝剣がヤバい、罪氷であれど数秒で溶けるから打ち合う度に纏わせなおす必要がある。


 一応大罪の感情付与も試してみたがあんまり効いてる様子はない。おそらくだが感情を消して目の前の存在である俺を滅ぼす事だけを考えているのだろう…本当にとんでもない、感情を一時的にでも失わせれる人間など考えたことが無かった。




 炎と氷が入り乱れる空間にて俺とルミナはひたすら全力をぶつけ合う…それはどんどんと苛烈化するのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る