第43話異常進化と新たな権能の芽生え
数分の時間を要して進化は終わった。
毛色の違う進化だったから時間がかかるのは当然だろう。
(さて、全く分からん進化だったがどんな感じになったんだ?)
進化先の情報が不明な種族への進化をしたのだ、正直気になってしょうがない。
うずうずしながらステータスを表示する。
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種族:混沌ノ龍
名前:ゼノ・スノウライト
lv:206/250
体力:1415/1431
魔力:1104/1132
攻撃力:1074
防御力:1070
魔法抵抗力:1361
スキル
鑑定 言語翻訳 取得経験値量増加
身体構築変化 機微技術(錬成/収納/起動)
龍武芸百般lv81
氷魔技lv65
混沌ノ権能/四・一 lv73
耐性
氷耐性lv76 物理耐性lv71 魔法耐性lv64 精神耐性lv50 毒耐性lv48
邪落化無効
称号
異世界の魂 突然変異 混沌の掌握者Ⅴ 長命種 龍殺し 聖神龍の聖印 混沌龍
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(混沌ノ龍?どんな種族なんだ?)
表示されていなかった種族名がしっかりと表示されていたので鑑定にかけてどんな種族かを確認する。
【混沌ノ龍】
混沌竜種異常進化。
大罪と美徳を同時に持つ特異な竜種。
大罪の完全無力化と善なる判定を元に美徳の所持が少しだけ世界の理から許された存在。
美徳を操り大罪を操る、それは善と悪を知る者なり。
『秩序ノ龍』と対を成す。
(大罪と美徳の同時保持…?いつ美徳なんて取得したんだ!?)
そう思ってステータスを良く見ていると称号欄がかなり変わってることに気づいた。
(変幻自在と英雄の器の称号が消えてる…?てことは進化したら称号が能力変換したって事?)
この現象は覚えがある。幼龍の時に幼き放逐者の称号が嫉妬の権能に変換したのを覚えている。
なんとなく自身の身に起きたことを把握しながらステータスの変わった部分を順に鑑定にかけていく。
【混沌ノ権能】
大罪と美徳の権能が共存するスキル。
大罪の力が主なため、混沌と化している。
内包大罪:嫉妬・怠惰・傲慢・色欲
内包美徳:寛容
【混沌の掌握者Ⅴ】
大罪と美徳を五つ掌握したものに送られる称号。
大罪と美徳を併せ持つ存在が善か悪か、それはその者次第である。
【混沌龍】
大罪を扱いながらも美徳を持つ異質な龍に送られる称号。
世の善悪を判決する存在に至るための素質を得られる。
まずは混沌ノ権能、これが混沌ノ龍を表すスキルらしい。
(傲慢と色欲…大罪が増えたな。まぁ元となった称号は分かるが)
傲慢は変幻自在が元だろう。変幻自在は言わば姿を偽ることだ、つまり虚飾と判断される。そして虚飾は七大罪で傲慢に入るから傲慢ノ権能となったのだろう。
次に色欲だが…どうやら俺が英雄の器の称号を獲得したときに思っていた色欲フラグは正解だったらしい。しっかりと色欲ノ権能になっている。
そして寛容ノ権能だがこれも英雄の器の変換された姿だろう。英雄色を好むというが色欲ノ権能だけではただの色情魔になってしまうから寛容の美徳が入っていたのだろう。
にしてもこの三つの権能はどういう力なんだろうか?傲慢はまだわかるが色欲と寛容が中々分かりずらい。
こういう時も鑑定だ、鑑定は転生チートってのがよくわかる利便性である。
【傲慢ノ権能】
自身が上であり、相手が下である。そんな傲慢な考えを実現する権能スキル。
主な権能は一定のレベル差内の相手のステータス低下、そのステータス低下に伴う自身のステータス加算、行動阻害などがある。
また、自身をよく見せるためのある程度の認識変化などもある。
【色欲ノ権能】
欲望を色欲へと染める権能スキル。
主な権能は対象の欲望を色欲へと染め上げて破滅へと追い込ませたり、自身を魅力的に見せて様々な事を味方にする、または戦意を喪失させるなどがある。
相手が異性であればより効果が高い。
【寛容ノ権能】
様々な事を受け止め、処理することに特化した権能スキル。
主な権能はダメージの肩代わりと受け流し、スキル効果の広域化に体力の増幅などがある。
自身の使う属性の相性が悪くとも統合使用が可となる。
また、様々な生物に安心感を与えることも可能である。
(傲慢が思った以上に凄い…まさかステータス操作とは)
一応嫉妬で相手のスキルを模倣したものを使えるようにすることが出来るが傲慢のように相手のステータス干渉は無かったのだ。
嫉妬が多対一に強いならば傲慢は一対一に強いと言えそうだ。
(色欲は破滅と俺の味方にする感じか…嫉妬とも怠惰ともまた違った敵への干渉だな)
破滅部分は嫉妬も怠惰も変わらないが敵を味方にするのは色欲特有だろう、いわゆるチャームという技だ。
嫉妬の同士討ちは俺にも飛び火する可能性があったし、怠惰はそもそも無力化に特化しすぎて敵が動かなくなるが色欲となれば自身に飛び火させずに同士討ちが可能となるのだ。
(なんとも大罪らしい能力だな、悪役が使う技にありそうなのが余計にそう思うわ)
そして今までの権能とは毛色の違う美徳の権能はバフが多いらしい。
(ダメージ肩代わりに受け流しに体力増強、スキルの広域化とか味方が多くつくであろう美徳系らしい権能だなぁ)
大罪がデバフや害を与えることに特化しているならば美徳はバフや利になることに特化しているらしい。
あんまり味方を作らない俺にとっては使い道が少なそうな権能である。ただまぁ、安心感を与えるのは色欲のチャームを使う上で有効だろうしスキルの広域化は攻撃系でも広域化しそうだし体力増強や受け流しは純粋に強い、大罪や他スキルの補助と考えたら相当強いだろう。
(権能が増えたがこりゃまたどれも便利だし強そうだな、使ってて分かったが権能は便利だし強い。フィリアさんのおかげで精神浸食も無くなってるからただただ強いスキルだなこりゃ)
本当に聖銀龍は凄い、俺を操作してこんなにしてしまうなど流石神と考えられている龍である。まだまだフィリアさんと対等になる日は遠そうである。
追加された称号などは本当にそのままの意味だろう。特に触れるほどでもない気がする。
善悪を判決するって部分はすこし気になるが。
自身のステータスを確認し終わってスキルの実戦確認をしよう怠惰の索敵に寛容の広域化を付与したら大量の人の反応を検知した。
(なんだこれ…統率の取れた感じ、軍か?)
黒龍の姿のまま俺は軍の方へと歩いていく。怠惰の索敵は霧が出るからすぐにばれるとは思っていたが随分と国は動きが速いようだ。
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