第40話久し振りの実戦権能は好調な様で

「へぇ、これがアサシネイト…何とも凶悪な」


 今俺は王都で一応依頼を受けた後に王都近くの山岳へと来ていた。


 王都は守りを強くする為だろうか?割と危険地帯の近くにあるのだ。

 南はAランク魔物が出る森があり、北にはSランク魔物が出る山岳があるのだ。


 東と西は行き来しやすい普通の道ではあるが割と攻め込みずらい土地をしてるらしい。言わば天然の防壁の中心に王都がある感じなのだ。


 そんな陸地にある王都だからこそ割と冒険者は多い。セレスの街の次くらいには多いだろう。



 そんな近場の危険な山岳にて俺はアサシンスネークの持ってたスキルの蛇式暗殺術と言うのを嫉妬の権能で模倣したのだ。


「蛇式暗殺術、相手の急所が分かるしより効果的に急所を突く技が多いな。殺意が高いなぁ」


 アサシンスネークはこの山岳の凸凹した地形を使って上から、もしくは岩陰から奇襲してくる魔物だ。一応Cランクの魔物だが性質上脅威はBランクと同等だと思っても良い。


「うん?今度は上からか。ここはヘビの巣なのか?」


 少し歩くとヘビが上から奇襲してくるので短剣を錬成して模倣してある暗殺術で喉元を投擲で貫く。一応龍武芸百般にも暗殺術はあるがあれはどちらかと言うと追跡や気配隠しが多い…蛇式の方はかなり攻撃的な感じだ。


「やっぱり怠惰は便利だな。怠惰の霧で全方面索敵出来るし投擲の命中補助も出来る…汎用性高過ぎないか?」


 戦闘の補助にサポート、相手にデバフと中々に汎用性が高い。

 先ほどの短剣の投擲も胴体らへんを投げようと思ったら蛇式暗殺術の補正と怠惰の補助で喉元に吸い込まれるように飛んでいったのだ。


 そんなこんなで奇襲してくるヘビを一撃で倒して進んでいると少し開けたところに出てきた。

 開けたところだからだろうか?ヘビも余り出なくなったがどうやら次の敵はゴーレムの様だ。


「おぉ、岩が動いてる…頑丈そうには見えるけどただの岩のゴーレムじゃなぁ」


 ランスを作って暗殺術が示す弱点に投擲する。

 どうやらゴーレムの心臓部を貫いたらしくそのまま崩れてただの岩と化する。


「………」


 やはり脆い。色々と久しぶりに戦うのに使う大罪権能を試したかったのだが試す間も無く倒せてしまうのだ。


「もっと奥深くなら強い奴が居るのかねぇ」


 どんどんを山岳の奥深くへと進んでいく。突撃してこようとするゴーレムには心臓部を一撃で破壊して討伐。岩に擬態してる奴は怠惰の権能で分かっている為同様に心臓部を貫いて終了。


 そんな風にどんどんと奥に行き、少し雰囲気の変わったところへと来た。


「なんだここ、岩の柱が乱立していて足場もボコボコしてる…葉の無い森林っぽさがあるな」


 岩の柱はさながら木の幹、足場の悪さは木の根や植物によるボコボコと同じだ。


 そんな風に不思議な地形を見ていると索敵に数十匹の魔物を検知した。


「お?今回は団体さんか?…俺を囲んでいるな、どう動くんだ?」


 ジリジリと近づいてくる魔物を待っていると一気に10匹ほどが肉薄してきた。


「ほぉ、ワーウルフか。そりゃ団体で動くだろうな」


 ワーウルフは単体でCランクの魔物だが基本群れで動くから脅威度はAランクに片足を突っ込んでいる感じだ。


(だけどちょうど良い。権能は多対一の方が強そうなんでね!)


 ワーウルフは上手く地形を使って攻撃を仕掛けてくる。


 乱立した岩の柱を蹴って立体的な攻撃を仕掛けて来るし、少し離れた岩の柱の上から弓を撃って来るやつも居る。


 連携の取れた綺麗な動きだが、俺が大罪の権能を発動する事で俺は動かずに壊滅させる。


(嫉妬と怠惰を付与!狂うほどの嫉妬と動く気すら起きない怠惰、生き残りは誰になるんだろうね?)


 近場で近接戦をして来る奴全員に嫉妬を付与。遠くから弓矢を撃ってくる奴には1番高い岩の柱の上に立ってる奴に嫉妬を付与してそれ以外の弓兵には怠惰を付与する。


(さてと、俺自身は怠惰で隠蔽っと)


 自身を隠す事で攻撃が一切飛んでこなくなる。

 そして目の前では醜い争いが繰り広げられていた。


 ワーウルフは嫉妬に染まった凶悪な表情を露わにして俺に切り掛かってきていたワーウルフは全員味方だったワーウルフに切り掛かっている。


 弓兵も嫉妬に染まった弓兵が怠惰で動かない弓兵を確実に射抜いている。


(嫉妬って言うのは本当に醜いな。完全に染まってしまえば仲間ですら殺すんだから…この中には家族だった奴も居そうなんだがな)


 実行犯だが他人事の様に考える。こう言う事は深く考えるほど心を痛めるのだ。相手は話の通じない魔物でこちらに殺意を持ってきていた。それに俺だって魔物だ、弱肉強食が自然の摂理…嫌ならばせめて大罪抵抗でも持っておけって事になる。


 そんな風に眺めていると特段動きの良い近接兵が嫉妬に狂った弓兵を斬り殺す。

 それを見届けた俺は氷魔技と罪の力を混ぜた技を発動させる。


(氷牢、今の俺じゃ氷の檻が限界かな)


 罪の力によって変質した罪氷、これは触れた物を高速凍結して氷に閉じ込める性質だ。犯した罪に連鎖してより冷たく、強固な氷に侵食されて閉ざされる。


 怠惰の隠蔽を解除するとこちらに来ようとしたワーウルフが罪氷の檻に突っ込む。

 その罪氷に触れた瞬間にワーウルフは全身が氷へと変化した。


「罪状は同族殺し・仲間割れ・裏切り…あと嫉妬か?何が罪と定義されるかは知らんが全身が凍るほどの罪となるのか」


 氷牢を解除して氷に成り果てたワーウルフを小突く。

 ちょっと小突いただけでワーウルフの氷像は崩れさる…どうやら耐久度は全く無いらしい。


「やはり大罪の力は怖いな、もう少し試してみるか」


 先ほどの数十体は先遣隊だったのだろうか?90を超えるワーウルフの反応が怠惰の権能で察知するのであった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あとがき

 はい、冰鴉です。


 と言う事で罪+氷は罪氷、通常の氷よりも凶悪で触れた物を凍結させる性質を持つ氷です。

 普通の氷よりも冷たく、硬く、溶けにくい。

 そして罪を犯す程に凍結度合いと凍結速度が加速する感じ。そして罪が強過ぎると氷化って感じですね。


 こんな感じでスキルと権能の合わせ技はスキルの強化+相手の罪が元となり起こる特殊効果って言う感じでやって行こうと思います。


 うーん、創神教上層部の腐った人達への特攻感凄い。


 罪のカウント方法だけど主人公が持つ大罪…言わば現状は怠惰と嫉妬。怠惰と嫉妬の感情を元に動いて起こした悪事の数と度合いをカウントする感じです。

 主人公が大罪の状態異常を付与する前でも後でも、その相手が大罪感情による悪事をしていればカウントされます。


 大罪なんだからこれくらい壊れてても良いよね…?

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