第38話決意を新たに
『さて、名残惜しいけどちょっと友人に報告とかもしたいから行くわね。またいつか会いましょう、大罪とも上手く付き合うのよ』
そう言い残して目の前で正真正銘の聖銀龍の姿となり飛んでいった。
やはり白龍の姿はカッコよかった。自身の母親だからか母性を感じる事はあったが、龍の姿を見た時はその母の面を忘れる程の迫力だ。
【強者】【神聖】【理不尽】、これらを強く感じる気配にその気配をさらに強くするドラゴンの姿には憧れと言う言葉では抑えれないぐらいの憧れがあった。
…信仰に近いかもしれない。聖銀龍教とかないだろうか?
そんな事はさておき、ステータスを見ながら今後の動き方を考える。
フィリアさんに言われたのだ。
『人を脅威に思うのは良いけど恐れすぎるのはダメよ。そもそも人間自体いつでも一枚岩になれるってわけじゃないのよ。大罪の力だってそう、たとえ人間にバレても大罪を扱う成龍に敵うのなんてS級冒険者でも少ないわ。恐れずに自由に生きなさい、隠れて過ごすのも良いけど貴方の想うドラゴンってその程度なのかしら?私の子なのだからもっと輝いて見せなさい!そして私に並んでみせなさい……これは母としての試練よ、邪龍にならない大罪龍…そんな無限の可能性を秘めた貴方を燻らせるつもりは無いからね』
その通りだ。前世での無条件降伏まで戦い続けた国民や辺り一体を全て焼土と化し、そこに居た生物に苦しみと恐怖、絶望に死、子孫にまで残る後遺症を植え付ける狂った兵器を開発する科学者…そう言うのを知っているからこそ恐れて居たがそもそも今の俺はドラゴンだ。
ならばそれらを力で捩じ伏せてこその種族であろう。
理不尽な虐殺や暴行は流石にしない。だが相手が何であれ敵としてくるなら容赦無く戦う、相手が圧倒的な格上でないなら恐れる意味が無いのだ。
そんな事を考え、一つ思いついた。
翼を生やしてそれをスキルで翼脚へ変化させて肩に翼脚の手を置く。アームズ/アーセナルの時と同じ姿だ。
俺は今後この姿で過ごそうと思っている。
俺は元人間だ、だからこそ人の姿で生活してると自分が人であると無意識に思ってしまうのだろう。少し人の世に溶け込んでしまって居たのだ。
ならば俺が人ではないと思える様にする。単純な解決策だ。
翼脚を再度見て、自身は龍であるとより深く思いながらステータスを見る。
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種族:フロストバイトドラゴン
名前:ゼノ・スノウライト
lv:160/200
体力:783/853
魔力:301/1004
攻撃力:941
防御力:953
魔法抵抗力:1103
スキル
鑑定 言語翻訳 取得経験値量増加
身体構築変化 機微技術(錬成/収納/起動)
龍武芸百般lv76
氷魔技lv57
大罪ノ権能/改二 lv63
耐性
氷耐性lv70 物理耐性lv62 魔法耐性lv51 精神耐性lv32 毒耐性lv41
称号
異世界の魂 突然変異 大罪の掌握者Ⅱ 長命種 龍殺し 英雄の器 聖神龍の聖印 異形種(無効)
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「変幻自在が身体構築変化に、そして大罪の権能の横に…改二?」
種族名の()が消えているのは多分だが大罪による蝕みが無くなったからだろう。今まであまり権能を使ってなかったから変化しなかったが使いまくってたら(怠惰)とかになってたのだろうか?
名前のスノウライトについてはフィリアさんの子だからと言う事だろう。
次にスキルと耐性と称号に鑑定を掛ける。
【身体構築変化】
身体を再度構築するスキル。
一度自身がなった事ある姿に変化することができ、相手の種族の事をより深く知る事によってその種族にも構築変化する事ができる様になる。
また、変化出来る種族を組み合わせたキメラ化も可能。
【大罪ノ権能改 ニ】
神格者による干渉に同意する事により改変した権能スキル。
精神の蝕みが完全に停止・除去され、権能をより自由に扱える様になった。
『改』はその改変の証。
内包大罪『ニ』:怠惰・嫉妬
権能詳細………
【邪落化無効】
進化による邪落を無効化する耐性。
堕落化スキルや称号を無効or類似スキルに変質させ、進化の邪落進化先を消す。
『神格者干渉:大罪スキルに対して無効』
【聖神龍の聖印】
聖神龍となんらかの深い関係を持っている者の証。
基本はアクセサリーとして見た目に現れる。
精神異常や汚染、支配に対する抵抗が出来る。
「進化したわけじゃないのにまぁまぁ変わったもんだな…それだけフィリアさんが凄いのか」
まずは身体構築変化。これは変幻自在の類似スキルだろう。邪落化無効で生まれたスキルだと思う。
変幻自在は魔力を使って無理矢理体組織ごと変化させていたが、このスキルは魔力を使わずに知識を元に身体を作り変えていく感じだ。
変幻自在とどう違うかの説明は難しいが挙げるならば、
・魔力を使わない
・無理矢理ではない
・完全なその種族の姿に変化出来る
こんな所だろうか?三つ目の完全な種族の姿と言うのは変幻自在では大元の姿の特徴として龍鱗が皮膚の表皮に少し出ていたのだ。今までは嫉妬の権能で隠していたがこのスキルになったからにはここに権能を使わなくても良くなるのだ。
次に権能の改二表示についてだがどうやら改とニで分かれてたらしい。
それぞれ改変された証と内包大罪数を表してるだけ。ただそれだけである。
邪落化無効もその説明のままだろう。今まで出てきた【シン・メタモルフォシス】や【禍罪呼ブ意思】と言った邪龍進化先が無くなるのだろう。
進化先を消すだけでなくその進化先の元となるスキルと称号すらも無効か変質させるのだ、なんとも徹底的である。
最後に聖神龍の聖印だ。多分だがフィリアさんに首を手で包まれていた時に付けられた奴だろう。氷鏡を出して見てみると首に白に近めな綺麗な水色をしたチョーカーがあった。白銀の龍紋みたいな物が付けられていて普通に綺麗でカッコいい。
それに着け心地に関しては良いとかそう言う話ではない。
何も感じないのだ、チョーカーを触って見ても普通に感覚がある。言わばアクセサリーに見えるだけで普通に俺自身の身体と言う事だ。印という名に相応しいと思うと同時に俺の身体になんの支障もきたさずに付けたフィリアさんの底知れなさを感じた。
「さてと、周りの雰囲気が変わって尚且つ淡く光ってるから気付かなかったがもう夜も遅いな…流石に宿に帰った方がいいか」
そう言って王都の方へと歩く。白龍こと四神の一柱、聖銀龍との突然な出会いはあったし、自身の中の敵に回したくない存在一位が白龍で固定になったがそれでも学びや俺に与えた影響は大きい。
「今恐れるのはフィリアさんとか他の四神やそれに近い強者だけでいい。圧倒的格上以外のなんでもに怖がっていては俺の求めた龍にはなれない、俺は堂々と生きてやる」
そんな決意を新たにして、怠惰ノ権能を発動させる。
怠惰の力を瞳へと纏わせ、瞳が水色に変化し、暗視による視界が映る。
夜の暗闇を歩くというのは何も見えなくて地形把握に敵性存在の把握などが闇によって遮られて色々と『めんどくさい』のだ。
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あとがき
はい、冰鴉です。
最後の『めんどくさい』が入った文に関してですがこれは「なぜ怠惰の権能で暗視が出来るのか」に対する答え的なのですから精神の蝕みではないのでご安心を。
大罪や美徳は精神やステータス、極めれば理に干渉と言った感じで物理干渉が出来るのは暴食くらいです。
権能は概念的なのが元で、〇〇がめんどくさいから〜とか、〇〇が羨ましいから〜と言った感じで起こる事が大体です。
例で言えば
「戦うのが『めんどくさい』から相手に怠惰を付与する」
「一緒に過ごしているのが『羨ましい』から嫉妬心を増幅させて壊してやる」
とまぁ、こんな感じです。
スキルとの合わせ技についてはまだ考えが纏まってませんがまたちょっと変わってくるかなと。
とりあえず今後は大罪権能さんをどんどん使って行こうと思います!
コメントで言われるまで機微技術とかが楽しくて大罪の事忘れてたとか…ソンナコトナイヨ?
まぁ物理の機微技術、精神の大罪権能と習得させれたのでヨシッ!
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