第34話都会に行った時は人類消えればいいのにって思いました(作者は田舎住まい)
「やっぱ王都ってデカいのなぁ…しかも城壁もセレスの街と同等かそれ以上。うん、王都って感じがする」
人も多く、かなりデカい規模の街。よくある異世界物の王都と言える。
もっと別の言い方で言うなら中世ヨーロッパ風都会。
前世でも都会に行った時は人の多さに辟易とした物だ。自分が龍ならば殲滅してただろうと何度思った事か…
いや、今の俺は龍なのだから出来るのでは…?
「いや、討伐隊とか組まれそうだからやれないけどさ…と言うかただ歩いてる人達に罪は無いしする意味も無いや」
鬱陶しいからって理由だけで虐殺するのは流石に龍として生まれた本能があると言えど元人間として心が痛む。
そもそも人を殺せるのか?と言う話だがこの世界に生まれて最初に命を奪った時も忌避感とかは平和な日本で過ごしてた割にはそこまで無かったのだ。魔物故に忌避感を持たない作りになってるのだろう、多分人間に対しても同じである。
力とは使い方次第なのだ、その使い方を間違った方向に使わない為にも今後も邪龍ルートは踏まないようにしよう…少なくとも精神異常と言う状態異常に対抗出来る手段が出来ない限りは。
そんな事を考えてるうちに検問が俺の番になった。
ちなみにだが検問はちょっとだけ列が出来ている。商人や遠征帰りの冒険者と言った馬車があるため中身の確認などをしているからだろう。
「身分証を出してくれ」
「ほい、冒険者証」
「おぅ冒険者だったか…ん?B級冒険者?若そうな見た目だが随分と凄いんだなお前さんは」
「まぁ成り行きでB級になったからね」
「とりあえず確認はこれで良し。入って良いぞ」
「おぅありがと」
検問は特に問題は無かった。
今更だが俺の冒険者ランクはBに上がっている。
セレス支部のギルドは冒険者の街のギルドなだけあってそこのギルドマスターはかなりランクに融通が効くようでスタンピートのゴタゴタの処理がてらにB級に上げられたのだ。
なおギルドマスターのシルビアさんは「出来ればS級にでも置いておきたいんだが流石に国にバレるからな。A級も同様だからB級になった。スタンピートから救ってくれたお礼として受け取ってくれ」
と言っていた。
S級もA級も正直あんまり興味は無い。受注できるクエストの幅が広がるなぁ〜程度である。そもそもクエスト受注せずに狩る事もあるのだ。
まぁそんな事はさておき王都を観光しながら宿屋を探す。
(やっぱ人が多いなぁ、それに活気があるし争い事も全く見ない。統治されてるにしてはされすぎてるとも言えるが)
そう思いながら串焼きを買って食べる。
「んっ、この味はツインホーンラビットか」
「兄ちゃんそれが分かるのかい?大抵はホーンラビットの肉と勘違いされるが…さては兄ちゃんかなりのグルメだな?」
「それはどうなんだろ?」
屋台のおっちゃんと軽く話してその場を離れる。
ついつい生まれた場所で食していた肉の味を感じて懐かしさを感じたのだ。
そしてちょっと大通りを離れながら歩いていく。ちょっとした人混み酔いだ、これはドラゴンになっても変わらないらしい。
「お?ここは宿屋か?」
大通りから少し離れた場所に騒ぎとは無縁とばかりに建っている宿屋が見えたのだ。ほのかに香る料理の匂いや看板が宿屋である事を示してきてる。
「【銀猫亭】…うん、良さそうだし入ってみようかな」
扉を開いて中に入ると二人のケモ耳娘がこちらを見てきた。
看板娘だろうか?片方は銀色の猫耳と髪をしていてもう片方は白色の猫耳と髪をしている。
どちらも人懐っこそうで愛嬌があるので人気が出そうである。
…が、何故こうも人が少なそうなのだろうか?
「んにゃ?お客様にゃ——………人族…」
「人族がここに何の様?暴れるなら店主を呼ぶよ」
……片方の銀色ケモ耳娘からは滅茶苦茶警戒されていて白色ケモ耳娘からは敵対感情が見える。
キャットファイトを御所望か?任せろ、小型の龍にだってなれるぞこっちは。
とまぁそんな事を片隅で考えながら二人して「シャー」って聞こえてきそうな威嚇を前に困惑を隠せないでいる。
(なんでこんなに警戒されてるんだ?人族がどうとか言ってたが…現地の人族が何かをしたのか?)
そうとなれば許せない物だ。天然の猫耳娘など日本ならば国宝級の存在であろうに…それを害すなど日本のメジャー性壁を馬鹿にしている物である。
…ふと思うが日本の性癖って歪み過ぎてないか?
そんな風に全く分からない敵対を前に困惑しながら軽い現実逃避と前世を思い出していると店の奥から何かが俺に向かって飛んできた。
「ん?なにこれ?」
何やら金属っぽかったので指二本で受け止める。
受け止めたのは包丁っぽい。受け止めて良かった…この包丁だと俺に当たったら刃どころか金属部分がぐちゃぐちゃになってる所だった。
「おうおう人族がなんの様だ!また難癖付けに来たのかテメェ!」
今度は威嚇を全面に出した大柄な銀髪猫耳の男性が出てきた。片手には鉈、もう片手には出刃包丁を持っている。
うん、しっかりと戦闘体制である。敵対の意味が分からな過ぎてもはや遠い目をし始めそうだ。
「何か言ったらどうだ人族!俺の店を荒らしたら承知しねぇぞ」
どうやら何か言わないといけないらしい。んー、一泊幾らなんだろうか?
「えっと、宿泊は出来るか?」
「は?」「にゃ?」「…うん?」
わぁ凄い、三人ともポカンと口を開けた同じ表情してる。
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