第32話聖銀龍の一幕
聖銀龍/フィリア・スノウライト(白龍)side
子供達がある程度育ち、1人程度で生きていける様になって独り立ちしていったから私は育児を離れて今、人化してセレスの街へ来ていた。
龍の独り立ちは早いのだ。元々強者の種族だから1人で戦える様になるのも早い。それにあまり群れを作らない種族でもある。
そんな事はさておきよく聞こえてくる話題に私は今かなり首を傾げている。
「黒龍が街を救った…?黒龍って言ったら邪龍の象徴なんだけど…」
黒龍と言うのは非常に珍しい。基本的に黒色の竜種と言うのは存在しないのだ。
龍は得意属性が進化に反映されて鱗も自然に得意属性を表す色へと変わる。
炎なら赤、水なら深い青、氷なら青白だったりとである。
そして黒の龍に1番近いのは闇属性龍だがそれも濃くて少し黒寄りなだけで紫色なのだ。
「話を聞いた限りちゃんと黒の龍なのよね…よく分からないわ、ギルドで聞きましょうかね?」
黒龍と言うのは例外的に存在していてそれは邪龍なのだ。
同族も他種族も…生物なら殺し回る様な種族が邪龍なのだ。
私も何度も討伐した事はある。流石に神格化してる私には滅ぼすのは簡単だがそれでも討伐するまでの被害は大きかった。
例えば嫉妬の邪龍、アレは現れた時には国一つが無くなっていた。
人間全員が同士討ちをして国も機能せず正常な判断が出来ずに殺し合っていたのだろう…国全体が同士討ちをした痕があった。
「そんな黒龍が…スタンピードを終わらせた?」
あの森の魔力濃度の上昇は超大規模なスタンピードの前兆だったらしい。
奥深くの魔物達が私が育児をしている時に虎視眈々と覇権を握ろうとしていたのだろう。そして私が離れたのを確認して大暴れしてびっくりした森の浅瀬の魔物がほぼ全員動いたのだろう。
育児を終えたら森でまた過ごそうと思ってたから大暴れしてた魔物は駆逐しておいたから多分スタンピードはそんなに起こることはないだろう。
過去の黒龍の冷酷性を知ってるが故に何故…と頭を悩ましているうちにギルドに付いたので受付嬢にギルドマスターに取り合ってもらおうと思う。
「ねぇ、貴女。ギルドマスターに取り合ってもらえるかしら?」
「えっと、ギルドマスターはスタンピードの対応で忙しいの…で…ぇ?………白聖様⁉︎すぐにギルドマスターに取り次ぎます!」
『え?白聖だと⁉︎』
『アレがS級冒険者の…』
『オーラが全然違う…美しい…』
S級冒険者のフィリア、二つ名は【白聖】。それが私の人化した姿での立場。
過去に世界的危機に陥ってて流石に見過ごせなくて人型で解決したけどそこを見られてS級にさせられたのだ。
よくS級は人外の象徴とか言われてる。私に関しては合ってるけどね、ドラゴンですし。
ちなみに龍の私は【聖銀龍】って呼ばれてる。かなり昔から四神教で神の1柱として扱われてる。
確かに神格化してるけど崇められるものなのだろうか?私の友人は大体神格化してるのに。
「は、白聖様!許可が取れましたのでこちらへどうぞ!」
「えぇ、分かったわ」
割とすぐに許可が出たらしい。こうも慌てて取り次いでくれるのはありがたいがちょっとS級特権みたいな感じで苦手だ。
「こちらです、どうぞ」
「ありがと」
「いえいえ!とんでもない!では!」
かなり緊張してるっぽい職員さんが立ち去るのを見送って私は目の前のドアを開けて室内へと入る。
「久しぶりねシルビア」
「急に面会を求めてるだなんて言われてビックリしましたよフィリアさん」
「しょうがないじゃない。ちょっと今回は気になる事があったのよ」
「気になる事?」
私は基本的にセレスの街を歩くからギルドマスターのシルビアとは割と仲が良いのだ。昔助けたのと少し魔法の師事した仲でもあるからね。
にしても相変わらずこの子は男装してるわね…似合いすぎてるし王子様感凄いけど女性冒険者の性癖壊れないのかしら?
「えぇ、黒龍の話について気になってね。普通は邪龍のはずの黒龍が人を救ったって言うのがどうも分からなくて」
「確かに伝承でも邪龍は黒龍であると言われてますけど…確かに人類の味方をしてましたよあれは…」
ちゃんと味方をしてるのね…ますます分からない。堕ちてないとでも言うの?
「ちなみに被害とかはどれくらいかしら?」
「死者と重傷者合わせて数人程度、それも死んだ奴は何も考えずに突撃した奴だけですね。街への被害も皆無…とてもじゃないが歴史的レベルのスタンピードが起こった時の被害じゃないですね…街で狂人が暴れた方が被害出せるレベルですよ」
「全く被害が出てないわね…ちなみに敵対意思とか分かったりする?」
「実際に話してみたんですが人類は2番目に敵に回したくないと言ってましたね」
「2番目に敵に回したくない…?理由は聞いてる?」
そこまで人類を敵に回すのを恐れるなんて珍しい。大抵のドラゴンは他生物を下に見るのに。
「人間のいざという時の団結力と母体数が多いが故の強力な個体を敵に回したくないって言ってましたね」
「なるほど、理由もしっかりしてるし脅威も確認出来てるのね…知能も高いし考え方的にも邪龍じゃないわね」
うーん…素材の一つでもあればより正確に分かるのだけれど…あるのかしら?
「ねぇ、その黒龍の素材ってあるかしら?」
「素材を持ってる冒険者なら知ってますよ。呼びましょうか?」
「えぇ、お願い。それにしても素材を持ってる冒険者なんて居るのね?」
「その冒険者はF級なんですけど人化した黒龍を助けたらしくてお礼として鱗を貰ったそうですよ」
シルビアは職員に通達してレティって子を呼んでって言った。
にしてもそのレティって子は凄いわね。魔物を助けちゃうだなんて…それもドラゴンを。
そんなこんなで他にもどんな感じで戦ってたかとか種族は何かとか聞きながら情報を聞いてるとレティって子がきたらしい。
「し、失礼します!」
入って来た子は青髪ショートの可愛い子。
…なんか凄い母性を刺激してくるわねこの子、巣にお持ち帰り出来ないかしら。
「レティ、あの鱗を出してくれるか?」
「鱗…アーセナルドラゴンの鱗ですか?」
「あぁそうだ」
レティちゃんは分かりましたと言って荷物から鱗を…あら?この子人徳の権能を持ってるわね。なるほど、それならお礼として鱗を渡されるのも納得だわ。
「…ちゃんと黒いわね。闇属性のドラゴンかと思ったけどちゃんと黒龍だわ。触っても良いかしら?」
「えっと、良いですけど…どちら様でしょうか?」
「あら、自己紹介を忘れてたわね。私はフィリアよ。S級冒険者で世間からは白聖って呼ばれてるわね」
「…ぇ?はくせい?ハクセイ…白聖⁉︎ええええぇぇぇぇぇえええ!!!」
良い反応ね〜頭撫でたくなっちゃうわ…あら、撫でてたわ。
………撫でたらフリーズしたわねこの子。大丈夫かしら?
「それでこれが黒龍の鱗ね…うーん、硬さ的には成龍になったばかりかしら?にしては魔法抵抗が強い様な…うん?これは…」
私の持っているスキルが反応している。大罪の力を纏ってるわね、黒龍は。
権能は…嫉妬と怠惰ねぇ、よりによってヤバい権能じゃないの。これに傲慢があったら大災害になってるわよ…
「ありがとう。大体の事は分かったわ。私の方で黒龍に関して調べてみるから分かったら報告するわね」
「分かった。あぁ、そういえばですが黒龍の人型の姿はフィリアさんに似ていましたね…フィリアさんを男性にして気怠げにさせたら瓜二つになる感じでしたよ」
「そうなの?分かったわ。じゃあ私はちょっと調べに行くわね」
そう言ってギルドを出る。
(大罪の龍なのは間違いない。そして邪龍じゃないのも確か…魂称号持ちなのも確定ね。そして善性でもありそうね…もっと深く調べたいわね。王都にでも行こうかしら?)
王都に行って王にでも聞けば大罪の権能の情報も少しはあるだろう。
私は王都に向かって歩く。
「にしても私に似ている、ねぇ…気怠げなのは怠惰の影響でしょうけど…似てるのは気になるわね」
そう言ってふと思い出す。生まれなかった灰色の卵……最後の私の子。
「………まさかね」
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種族:世ノ希望タル聖神龍(最終進化種)
名前:フィリア・スノウライト
lv:測定不能
体力:???/???
魔力:???/???
攻撃力:測定不能
防御力:測定不能
魔法抵抗力:測定不能
スキル
判決の理【聖徳】
光・氷・水・風・治癒属性魔法lv0
火属性魔法lv13
地属性魔法lv83
闇属性魔法(微)
神龍武技lv0
自己超速回復(体力/魔力)lv0
身体構築変化
性転換(秘術)
環境操作
全域支配
聖域化
永久機関
etc…
耐性
火・闇以外の全属性無効
物理耐性lv100
精神異常無効
状態異常無効
大罪抵抗lv90
支配無効
称号
勇聖女の魂 聖神龍 突然変異 世界の守護者 神話生物 神格化 生きる伝説 不老 etc...
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【判決の理『聖徳』】
美——権——統—神—化—たスキル。
——善—悪—————神————権能———、判決を下す——代行——力————能力。
善——決—特化————、七美——権能————理に干渉——。
オ——ンスキルの一つ。
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補足説明(スキルlv)
lvは低い順から
微(0.5)→lv1→スキルlv上限/lv100(スキルによっては上限変化)→0(上限無し)
0と100では圧倒的に0の方が強いです。
白龍ことフィリア様を出して欲しいって声もちょくちょく見かけるんですけど…白龍様って世界の中で見ても最強生物達の一角なんですよね。終盤ならガンガン出せるんですけど現状だとムズい事この上ない。
最推し龍は自分でももっと出したいんですけどねぇ。現状はフィリア様の戦闘描写は出せないと思ってください、戦闘させると地形諸共滅茶苦茶になっちゃう。
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