第31話属性の開花

 十数分ほど掛かり、進化は終わった。


(所要時間的にも骨格変化が起こったなこれ)


 そう思いとりあえず自身の姿を確認してみる。


(なんとも懐かしい骨格だなこれは…生まれた時と同じ骨格じゃん)


 その姿はまさに王道のドラゴンを思わせる姿で、まさに白龍と対を成す姿とも言える。


(黒い体色に赤い線が入ってるのは同じだが…身体の所々を補強するかの様に霜が付いてるな)


 翼に翼膜、尻尾の先端と所々にアクセントを入れるかの様に霜が付いているのだ。


(それにしても爪が青白いな…そういえばフロストバイトって凍傷って意味だったか?)


 とりあえずこの姿だと戦いづらいのでアーセナルと同じ骨格に変幻自在スキルで変化させておく。

 やはり支える為の四肢と自由に動かせる翼脚…これがあるだけで戦いやすさは全然違うのだ。


(よし!ステータス見てみるか!)

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 種族:フロストバイトドラゴン()

 名前:ゼノ

 lv:150/200

 体力:821/821

 魔力:931/931

 攻撃力:852

 防御力:883

 魔法抵抗力:1003


 スキル

 鑑定 言語翻訳 取得経験値量増加 変幻自在 機微技術(錬成/収納/起動) 龍武芸百般lv73 氷魔技lv50 大罪ノ権能Ⅱ lv53


 耐性

 氷耐性lv70 物理耐性lv62 魔法耐性lv51 精神耐性lv32 毒耐性lv41


 称号

 異世界の魂 突然変異 大罪の掌握者Ⅱ 長命種 異形種 龍殺し 英雄の器

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(相変わらずステータスが軒並み上がってるな…魔法抵抗力に至っては四桁か。大罪のおかげかな?とりあえずいつも通り追加された物を上から見ていくか)


【氷魔技】

 氷属性魔法と冷気生成/操作の統合スキル。

 氷属性魔法を冷気操作でより低温にし、硬度を上げる事も可能。

 その逆で冷気を抜く事により氷属性魔法を脆くする事もできる。



 これがずっと属性をブレス以外のスキルにせずにした結果のスキルと言う事だろう。


 最初からスキルレベルが50あるのも溜め込み続けた得意属性の能力が爆発するかの様に開花したと言う事だと思う。大器晩成と言う事だろうか?ちょっと違う気もするが。



【龍殺し】

 竜種の成体と戦い、単体で勝利することによって送られる称号。

 この称号を持つと竜種に対する特攻が手に入ると言われているが真偽は不明。


 これはフォレストドラゴンと倒した時の称号だろう。


(と言うかフォレストドラゴンでもう成体なんだな…俺も成体なのかな?まぁベビーもレッサーもスモールも付いてないから多分成体だと思うけども)


 特攻に関しては多分無いと思う。もしあればスキルにでも反映されると思うし。



【英雄の器】

 災害や戦争など、危機に陥った時に立ち向かい希望の星となった者に送られる称号。

 英雄色を好むと言われているが多分それは個体差。タブンネ…



 これはスタンピート終結の結果だろう。

 正直希望の星となったのは否定できない。今のセレスの街の話題は大体黒龍一色なのだ。


 そして英雄色を好む…ね…大罪の色欲フラグじゃないよね?ないと思いたい…


 レジスト出来るとは言えレジストするまでの間は色欲に溺れるのだからちょっと勘弁してもらいたい所だ。



(人型の姿はどうなんだろうか?)


 変幻自在で人型の姿を確認してみる。


「どうせなら氷で鏡っぽい感じして全体像見てみるか」


 氷魔技の一つのアイスウォールを発動させ、冷気操作でさらにギリ鏡と言えるぐらいの氷を顕現させて姿を確認してみる。


「黒髪に赤のインナーカラーは変わってないんだな…変わった所と言えば氷のピアスが左耳に追加されたくらいか?あと服装もか」


 あんまり姿は変わってはいない。黒髪に赤のインナーカラー、そして気だるげなダウナー系とも言える顔つき。

 服装は所々変わっており、氷の結晶をモチーフにした様なピアスが左耳についており、服装の裾や袖の端が霜に浸食されたような感じになっている。


「にしても大元に氷要素を追加しました感が凄いな…これ進化しまくってたらアクセサリーとかデザインごちゃ混ぜのクソダサファッションにならないよな?」


 正直変なコーデになるくらいなら今の姿で居たい。

 今の姿ならお忍びダウナー貴族に見える。


「一応翼も生やしてみて…普通の翼になってんな、翼脚じゃないや」


 どうやら人型は大元の姿の影響がモロに出るらしい。

 だがまぁ、激しい戦闘でもない限りは腕は2本で足りるだろう。腕2本もやろうと思えば竜人の手みたいにして爪も使用できるし。


 腕を龍手として近場に居たハイオークを切り裂いてみるが普通に強い。サッと片手間がてらに倒せるレベルだ。


「よし、じゃあ氷魔技のスキル検証だな!」


 そう言ってBランク圏を走り回る。

 見つけた魔物を片っ端から標的としていく。


 ハイゴブリンの役職持ちとハイゴブリンリーダーの群れやハイオークの役職持ちなどが大半だからあまり変わり映えはしない。


「魔法ってのはこう言う感じなのか…応用も一応効くが原型は決まってる感じなのか?」


 色々と試していく。

 アイスボール・アイスアロー・アイスバレット・スノウスワンプ・アイスレイン・フロストフィールド・フロストバイトなどなど…


 アイスアローとかは氷の矢だが、一応変形させて二又の矢にしたり槍と言っても良いレベルに大きく出来るし回転させて貫通力も上げれる。


 フロストフィールドは辺り一体を霜で覆う魔法だが氷の針地帯にすることができた。元が霜だからかあんまり意味が無かったが。


「魔法は魔力を使うスキルって感じか?」


 なんとなくだがスキルの詳細ってのが分かった気がする。


 まずは技術系、これは剣術や弓術、武器術や体術など魔力を使わずに発動できて武器や身体、環境に依存するスキルって感じだ。


 次に種族系、これは変幻自在や機微技術などが入るだろう。

 種族特有のスキルで魔力を使うかはそれぞれだが誰でも使える感じじゃないのがこの系統のスキルだと思う。多分ブレスや龍技もここ。


 そして魔法系、これは魔法スキルがあれば魔力を使って誰でも使用出来るスキルだと思う。レティも水魔法を持ってたはずだ。


 最後に大罪系、多分美徳もある。これは明らかに毛色が違う。

 罪の力と言った何処に表記されてるかも内蔵されてるかも分からない力で行使して精神やステータスなどに干渉するスキルだ。


 一応氷魔技は魔法系の氷魔法と技術系の冷気生成/操作の統合だからあんまり考えても意味ないだろうがそんな感じだ。


「うーん、考えてもあんまり分からんな。今までのとはまたちょっと枠組みが少し違う感じのスキルなのかな?そう言う事にしておこう」


 使える物は使う。危なそうなら使わないが魔法は特段問題無さそうである。


「さて、じゃあ王都へ行きますか…生まれ故郷を出る気分だな」


 生まれた場所はセレスティア森林、育ちもセレスティア森林。


 神聖の名を冠する森で生まれた大罪を保持した龍は旅に出るのであった。

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