第27話人類に味方する魔物が居たって良いじゃない。だって転生龍だもの

 今俺は冒険者の迎撃場所、門の前のそのかなり上空に滞空している。


「この魔物の大群が押し寄せる現象は災害の一つで魔物大行軍スタンピード。災害の一つねぇ…」


 このスタンピートはどうやら浅い森の魔物が奥深くの魔物が暴れて押し出される事で起こる災害らしい。

 奥深くと言えば一つ目の巨人とかだろうか?


 そして今日この日までスタンピードが起こる事は滅多になかったらしく、起きたとしても小規模だったらしい。

 しかし今回のはその皺寄せみたいに過去1と言うより歴史的レベルでのスタンピードらしい。


「まぁ、セレスティア森林のBランク圏までが押し出された対象だろうか?多分行けるだろう」


 見た感じ後方にCランク圏に生息するハイオークが居たから最後尾はAかBランク圏の者達だろう。


 そんな事を考えていたら魔物の大群が見えてきた。

 そして上空に居ても聞こえるほどの人の鼓舞が聞こえる。


「やはり人間の団結力ってのは怖い。こんな歴史的レベルの災害にすら立ち向かおうとするんだから」


 もうすぐなので俺も準備をする。


「まずは俺は龍の姿になる)


(そしてありとあらゆる兵器を錬成する)


 パイルバンカーに破城槌、大砲の球に超大型の槍を無数に自分の周りに展開し、準備をする。


(丁度いい。俺の新たな能力の練習に使える!)


 そして俺は人類側からより一層大きな鼓舞が出るのと同時に展開した兵器ごと急降下し、兵器達は魔物の大群に向けて。俺自身は魔物の大群の前…つまり人類達の前に降り立つ。




「………え?」



 人から現状が分からないとでも言う様な声が聞こえたがそれはしょうがない。空から無数の兵器が魔物に向けて降ってきたと思えば目の前に黒い龍が現れたのだ。困惑しない方が難しいのだ。


 まぁそんな事は気にしない。今回は災害相手だ、まぁやる事と言えばハイオークの集落と同じだ。大罪の権能以外を解放して殲滅する。ただこれだけである。


 俺は降り立った時に畳んでいた翼脚を広げ、地面へと手を付ける。言わば6本足の状態だ…その状態で鱗と錬成、収納していた武器を出す準備をし…



「ゴアアアアァァァァアアアアアア!」


 咆哮と同時にありとあらゆる武器を錬成する。


 槍に破城槌に大砲と旧式の物から爆撃機に攻撃機に機関銃など大戦で使われた物まで大量錬成しまくる。

 爆撃機は10機、攻撃機は30機を自立起動させる。


(さぁ…戦闘開始だ!)



 兵器全てに起動をかけ、自身ごと突っ込んでいく。


 今から始まるのは…




 蹂躙である。



 --------------------

 ギルドマスターside


「なんだこれは…それにあの龍は何者だ…?」


 ギルド職員に即座に防衛線に来てほしいと言われてこんなに早くも突破されたか…!と急いで来てみたが今私は目の前のに映る光景を前に全く理解できていないのだ。


 街中に侵入されたどころかそもそも防衛線にすら到達していない。

 それどころか目の前の非現実的な光景を前に冒険者達も動けていないのだ。


「何故魔物の一種である龍が魔物の…それも格下相手にああも戦っている?それにまるで街を守る様な戦い方…」


 突如現れた黒い龍が大暴れをし、魔物達が蹂躙されているのだ。

 そして今現在大暴れした龍の矛先は魔物にしか向けられていないのである。


「にしても見た事がない魔物だ…黒い姿に赤い線、それに水色の瞳。それに骨格すらも従来のドラゴンとは違う…うん?骨格が違うドラゴン?」


 そう言って少し前の出来事を思い出す。


 レティと言う冒険者が持ってきた素材。

 黒い鱗で世に現存してないと言える鱗。

 従来の龍とはいささか違い過ぎる骨格。

 そして「武器を扱う」龍。



「まさか…あれが…あれがアームズドラゴンとでも言うのか⁉︎」


 そう言って種族を当てるが少し疑問に思う。


(武器と言うより…兵器を扱ってないか?それにあの見た事もない飛んでいる鳥みたいなのや弾幕を張ってる塊はなんだ?魔法なら設置型魔法陣のはずだが…)


 そんな武器の龍とは思えない存在に違和感を持ってると1人のギルド職員がこちらにやって来た。


「ギルドマスター…!鑑定してみたんですがlv差のせいか種族名しか見れませんでした…」

「…種族名はなんだ?」

「種族名はアーセナルドラゴンです。全く聞いたことの無い種族名ですが…」

「アーセナル…?」


 アーセナルは武器庫や兵器庫、またはその製造施設を表す言葉だ。アームズドラゴンでは無い様だ。


「武器や兵器を扱う龍か…武器を扱う龍は伝承にあれど兵器は一切無かった…完全なる新種か…まさか上位種か?」


「とりあえず考察は後だ。全冒険者よ!あの黒き龍に続け!我々の街を全力で護るぞ!我らセレスの冒険者よ!セレスティア森林と共に生きる冒険者の意地を見せてみろ!」


「「「「うおおおおぉぉぉ」」」」


 鼓舞はこれで良いだろう。


「さて、あの黒き龍に知能があれば少し話を聞いてみたい物だ…」


 そう言い残し、防衛線から出て風魔法と弓術を発動させる。

「元Aランク冒険者にて風精霊の二つ名ことシルビア…その名に恥じない様に戦おうではないか!」


 あぁ、懐かしい冒険者時代を思い出す…そう思いながら黒き龍に近付きながら魔物の討伐に力を貸していく。


「さぁ、アーセナルドラゴンよ。お前は味方か?それとも敵か?戦うのは是非とも辞退させて頂きたいものだ」



 爪で切り裂き、大槍を投げ、翼脚で持った大剣を振り回し、爆発する鱗を常に放ち、目の前に来た魔物を噛みちぎる。

 そして周りには無数の兵器を展開し殲滅をする。

 そんな大暴れをする黒き龍に敵対されない事を祈るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る