第25話戦闘は刺激的、狩りは退屈

 ひたすらハイオークの集団に囲まれながら戦闘をする。


 今の俺の姿は人の姿に翼脚を生やした状態だ。骨格で言えばポケ◯ンのカイ◯キーに近い。翼が生えてるが。


 近づいてきて斧や棍棒を振りかぶる奴らには翼脚で切り裂いたり、錬成剣で切ったりして無力化。


 格闘してくる者には翼脚で顔を鷲掴み…いわゆるアイアンクローをしながらのまま近づいてくるハイオークにぶん投げる。


 遠くから石を投げてくるがそれは錬成投げナイフや重鱗射撃で撃墜…


 こんな感じでひたすら多対一で側から見たらめちゃくちゃ不利に見える戦いをしている。


(あぁ、やっぱり一撃で沈まない敵は良いな。それに今回は多対一だから少し格下な相手でも問題無いな)


 久しぶりのまともな戦闘に心を躍らせながら近づいてきたオークの頭を翼脚で鷲掴みにして、そのまま地面に叩きつける。


 そして即座に大鎌を錬成して叩きつけた背後に居たオークの首を刈り取る。


「いろんな武器を使ってみる良い機会でもあるしな!」


 大鎌・鎖鎌・ハルバードにクロスボウ、大太刀に大弓と様々な武器を変えながら戦っていく。

 もはや周りは死屍累々。その死体の全てがハイオークで、その全てが主人公が倒した物である。


(本当に武器錬成と龍武芸百般の組み合わせはエグいな。手数が尋常じゃない)


 自身の鱗で素材を調達出来る事もあってもはや俺自身が天然の武器庫なのだ。それを扱う技術もあるのだから手数は計り知れない。


 もし爆発とか起こせる魔法を習得していれば破片手榴弾的な物も出来たかもしれない。


「コレで終わりっと」


 そうこうしているうちに最後のオークの心臓に向けて遊び心で錬成した艦載機モドキを飛ばして終わる。仕様は重鱗飛ばしと同じためただのコスパの悪い攻撃である。


「うわぁ…まさに地獄絵図。槍の雨が降ってもこうはならんぞ」


 一部オークは顔面から地面に埋まってるし、投擲槍で串刺しになってるオークも居る。

 他にも切り刻まれたり全身に矢を受けたり一刀両断されてたり首だけ飛ばされたり身体が貫通していたりと非常に多種多様な死に様である。


「一応武器は回収しとくか」


 今までの生活でも投擲した錬成武器の回収は忘れないようにしてる。

 レティに十数枚渡しただけであの反応だ。何枚もの鱗で作られた武器を放置すると大騒ぎになりそうなのだ。


 ちなみに回収方法は武器収納である。この収納は出すのが外皮から約1メートルくらいだが収納の範囲は結構広い。後片付けが楽なのだ。


「さて、この死体どうしよう?」


 改めて見ても死屍累々。自身でやっておきながら思わず「南無…」と言ってしまう光景だ。


 森の中だし放置でも良いのだろうがなんとなくだが埋葬しておく。


 大元の姿…いわゆる龍の姿となり、それに合わせたデカいスコップで地面を掘る。

 スコップを使って地面を掘る龍、これが幼年期であれば可愛いのだろうが今は割と大きくなった龍なのだ。かなりシュールな光景だろう。




 とりあえず埋葬し終わって人の姿に戻る。

 いくら人の少ないCランク圏であってもいつ見られるか分からない。それに俺は希少な種族なのだ、貴族が討伐隊を差し向けてきてもおかしくない。


「さて、進化の事もあるがどうしようかな?」


 このオークの集落は70体以上はいた気がするが、まぁそんなに倒してればいやでもレベルは上がる。戦ってる途中で身体が温かくなったし今現在も温かい。


「けど進化すると下手したら人の姿も変化するんだよなぁ」


 進化は骨格すら変える現象だ。今は黒髪赤メッシュだが進化したら水色髪黒メッシュになるかもしれないのだ。


「知り合いが居るところで生活しながら進化は正直よろしくない…特にレティとか深く関わった人が居ると特にね」


 とまぁ今後の活動方針に悩みながら進化先を見る。


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【フロストドラゴン()】

 氷属性竜種正統進化先…?

 アイスドラゴンの上位種。

 氷を巧みに扱い、自身の周りの温度を常に低下させる。


【アーセナルドラゴン()】

 兵器竜種特殊進化先…?

 武器だけに収まらず攻城兵器すら利用する特異な龍。

 反動に耐える為に翼脚は特に頑丈かつ強靭に発達している。

 人種による発見例は無い。


【シン・メタモルフォシスドラゴン】

 異形大罪竜種特殊進化先。

 大元の姿が無く、ありとあらゆる種族の偽りの姿で世に混じる邪龍。

 発見例と共に伝承すら存在しない。


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 この前と同じく正統進化と特殊進化、そして大罪進化があるっぽい。


(正直もうそろそろ魔法とかも触ってみたいし正統進化先も充分迷うんだが…兵器という物理火力な奥義も持っておきたい)


 言わば俺の奥義と言うのは現状怠惰と嫉妬であり、精神的な作用であり確かに強力だが無力化でしかなく、とりあえず死に貶めれることでは無いのである。


(うん、やっぱりアーセナルに進化した方が良さそうだな)


 正直メタモルフォシスも結構気になってはいる。だが邪龍なので無しだ。人間の世の中で過ごして分かったのだがやはり強い人は居るらしい。


 国の騎士団長やS級と呼ばれる人外判定すら受ける者。それと過去の文献によれば勇者・獣王・魔王の魂の称号を持つ者は特段強いらしい。

 邪竜となってもしこれら三種の魂持ちが来られたら勝てるか分からないのだ。


(だから正統進化先と特殊進化先で絞られるんだが…なら特殊進化でしょ)


 幼龍変異種になった時から俺は正統進化を歩むつもりはあんまり無い。あったとしても消去法だろう。


 遠距離攻撃が欲しいと思ってた時代は魔法が魅力的に見えたけど今は重鱗射撃に即席遠距離武器もある。属性がいささか物理ばっかりな気がするが…


(街での姿は…まぁ変幻自在でなんとかなるか。カスタムの応用幅結構凄いし)


 割と自由が効きすぎる変幻自在スキルを頼りにして進化をする事を決める。

 もし無理で街で生きづらそうな感じなら森で過ごせばいいし、旅をするのも良いだろう。


「よし、進化だ!進化先はアーセナルドラゴン!」


 そうしてオークを埋葬して少し土が盛り上がった土地で1匹、進化を開始するのだった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あとがき

 はい、冰鴉です。

 いやぁ…めっちゃ進化先について悩みました。

 ほんとはメタモルフォシスにしようと思ったんですけど今後どう扱えばいいか分からなくて、でも進化先にあれば主人公は選ぶだろうと言う事で大罪進化先と統合したんですよね。

 そもそも進化の直前くらいにlvを寸止めさせようかなってのが元々の考えだったんですが…まぁ結構な数のハイオークを倒しても進化に達しないってのはおかしかったので。


 ちなみにアーセナルは兵器や武器の保管庫や製造施設を表す言葉との事。まぁアームズドラゴンの上位種的な位置付けです。

 今まではあくまで人1人で扱い切れる「武器」だけど今後は破城槌とか大砲と言った人1人では扱い切れない「兵器」すら扱う龍となります。今後もお楽しみを。

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