第21話転生者に異世界テンプレが起きるのは確定事項なのか?
「あーあ、オズの奴クエストに失敗したからって酔っ払って新人に突っかかってやがるよ」
「あの酔っ払い癖はなんとかならんのかねぇ…まっ、新人君はご愁傷様だな」
なんか周りがヒソヒソいって居るがそれなら大人しく取り押さえて欲しい。めんどくさいじゃんこんなの。
ベタなテンプレだなぁと思いながらもおっさんを見る。スキンヘッドに強面に大柄。テンプレの王道である。
あまりにベタすぎて強く呆れて居ると。
「なんだその表情はぁ…!馬鹿にしてんのか!」
セリフすらも王道。台本でも読んだのかな?
そんなどうでも良い事を光頭を見ながら考える。良いハゲ具合だ、毛髪1つもない完璧なハゲだ。
「無視してんじゃねぇ!」
すると急に殴りがかってきたのでつい森にいた頃の条件反射からか即座に武器錬成で手に籠手を装着して思いっきりハゲに腹パン。
動きが止まったところで足を鱗で武装して思いっきり出口に向かって蹴り飛ばす。
「あっ、やっべ」
気付いた時に時すでに遅し。ハゲは出口から外に出て地面に突っ伏している。
…鑑定で見たけど死んでないらしいからセーフにしとこう。即座に出したのが剣じゃなくて籠手なのを褒めて欲しいところだ、うん。
ちなみに体力の三分の二を削ってしまってた。
「あの…それで登録するには次に何をすれば良いんですか?」
なんかしんみりとしていたのでとりあえず登録をするめる。
「…え?あっ、はい!登録ですね!えっと…あとは試験だけなんですけど先ほどの方はオズと言うD級冒険者でして、先程の結果を試験結果にできますのでこれで登録は終了です」
少し呆けながらもなんとか進める受付嬢。流石冒険者の街の受付嬢だ、しっかりと仕事をして居る。
隣のレティは口を開けて固まって居るのに。
「それではこちらがG級冒険者の証です。再発行にはお金が掛かりますので無くさないようにご注意ください」
そう言って渡してきたのはカードである。名前に役割、ランクが書いてある。
下の方が空欄なのはスキルと耐性記入欄だろうか。
それとだが周りの喧騒が戻ってきた。ちょくちょく「何者だアイツ」とヒソヒソ聞こえるが気にしない。龍である事は流石に明かせないし。
「それでは冒険者について説明しますがいかがしますか?」
「お願いします」
「分かりました、では説明しますね。
まず冒険者の仕事は採取や討伐が主だったもので低ランクには追加でお使いや手伝いと言った安全なのもあります。
それで次にランクですが、冒険者は最初はGランクでそこから順番に上がっていきAが最高となります。一応Sランクと言う最上位ランクもありますがこれは人外の域になります。有名どころだとフィリア様ですね。
そしてランクアップについてですがランクアップはクエスト達成による貢献度が一定数に達するとランクアップしますが、苦情などが多く殺到する方はランクアップできませんのでご注意ください。
次は依頼についてですが、あちらにあるクエストボードから依頼を剥がして受付に持って行く事で受注する事ができます。また、別途で常駐依頼がありましてそちらはクエストボードの隣にある依頼板に書いてありますがこちらは剥がさない様にお願いします。依頼板に書いてある素材を受付に持って行く事で達成となります。
それでは次に禁止事項ですが、正統防衛以外での殺傷沙汰や犯罪は勿論のこと、魔物のなすりつけや恐喝等も厳罰対象となります。
以上で説明を終わりますが大丈夫でしょうか?」
「問題無いです。」
「了解しました、今後のご活躍をお祈り致します。ようこそ冒険者ギルドへ!」
そうして俺は冒険者となった。
「さて、待たせたなレティ。俺はこれからなんとか出来そうだがレティは俺に付き合ってて大丈夫だったのか?」
そう、俺はレティが用事を中断してまで俺に付き合ってたのかもしれなくて気になって居るのだ。
「特に問題無いですよ?依頼を終わらせて帰る途中だったので。にしてもゼノさんって強いんですねぇ、D級冒険者をあんなあっさり…」
「どうやら身体が覚えてたらしくてね。それよりもお礼をしたいんだがあまり人目のない所ってないか?」
「人目の無いところですか?無難な所ならギルドの裏手ですね。ギルドがすぐそばってことで秘密事の共有に使われるんですよね」
「ならそこで良いか、付いてきてくれるか?」
「はい!良いですよ!あっ、先に依頼の報告をしてくるので出口で待っててください!」
「了解」
街までの案内どころか身分証の入手まで付き合ったのだ。お礼は足りるだろうか…そう思いながらレティと合流し、ギルドの裏手に行く。
「さてお礼なんだが…記憶喪失なのと無一文な事もあってあんまり渡せる物が無いんだがそれでも良いか?」
「そもそもお礼なんて…当然の事をしただけですよ?」
本当に良い子だ。五枚くらいで良いかなと思ったけどその倍をお礼にしよう。
「まぁ記憶喪失でどうすれば良いか分かんないところで助けてくれたんだ。見方を変えれば命の恩人とも言えるんだ。と言う事でこれを貰ってくれ」
そう言って俺は変幻自在スキルを使って両手のひらを合わせたくらいの大きさの鱗を10枚出して、渡す。
自身の身体の一部を渡すと言うちょっとヤンデレチックなのは許して欲しい。今の俺の鱗は結構硬いのだ、武器にも防具にもなるだろうし売ればお金にもなるだろう。
「これ…鱗ですか?」
「鱗だな、俺が出せるのはそれくらいでな。まだ大量に持ってるしありがたく貰ってくれ」
「えぇ、ありがたく受け取りますけど…これ、なんの鱗なんですか?結構硬いですしこんな大きい鱗を持つ魔物って居ましたっけ?」
聞かれたんならしょうがない、答えよう。それにこの小動物っ子の反応も見たいしな。
「ドラゴンの鱗だな、綺麗に取れてるだろ?」
「え…ドラゴン?」
「ドラゴンだな」
「………ええええぇぇぇぇぇぇぇぇええ!」
「うむ、良い驚き方だな!」
「じゃっ、その鱗は売ってくれても良いからな!それじゃあまた会ったらな!」
そう言って俺は走ってその場から立ち去る。
あのままあの場所に居たら押し返されて受け取り拒否されそうだったからな。
後ろから「こんなの受け取れませんよぉ!」と言う可愛らしい声が聞こえるが気にしない。それぐらい感謝してるのだ。なんせこの世界で初めて会った人なんだから。
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