第11話いざ、まともな戦闘!

(最初に見つけたゴブリンは1人だった。まだ戦闘経験はスライム…あれは経験とも言えんから経験は無い。ならば一対一から始めた方がいいだろう)


 ステータスは近く、ゴブリンは人型。

 元人間だからゴブリンがどう動くかはある程度分かるが龍としての戦い方を分かっていない。


(まずは戦闘経験だ、その次に試行錯誤、そして戦い方を学んでいこう)


 そうこうしているうちにハイゴブリンを見つけた場所に戻ってきた。


(まだハイゴブリンは居るな、しかも1人だし寝ている…)


 ゴブリンの容姿はよくあるラノベと同じだろう


 醜い姿にやせ細った身体、腰布一枚で肌色は濃い緑。

 背丈は子供くらいだろうか?俺自身が小さくてちょっと分かりずらい。


 寝ているから絶好の奇襲チャンスではあるのだがそれでは経験にならない。


(…嫉妬の権能を軽く使えば起きるだろうか?)


 まだ遠距離攻撃は無いし、氷ブレスは怠惰デバフが掛かる可能性がある。


 嫉妬心を1人のところで植え付けても問題無いだろう。


(嫉妬の権能で軽く干渉!)


 するとハイゴブリンが目覚め、イライラした感じで周りを見渡し…俺を見つけた。


「グギャァ…グギィィイ!」

 ----------------------

 体力:98/98

 魔力:83/83

 状態異常:嫉妬(軽度)

 ----------------------

(よし、無事に起きたな。それじゃあ戦闘開始!)


 こうして龍生初の戦闘が始まるのであった。



(さて、敵はどう動く?)


 とりあえずとりあえず初戦闘だから相手の出方をうかがってみることにする。


「グギャア!」


 するとゴブリンが手に持っていた棍棒を振り上げて叩きつけようとして来たので横に飛ぶことで回避をする。


(うおっ、まだ俺自身が小さいからかゴブリンの攻撃でも迫力があるな…)


 ゴブリンが棍棒を振り下ろして空ぶったからか隙だらけに見えるので目の前にある足に思いっきり爪を立てて切り裂いた。


「ギャガァァ」


(これが肉を裂く感覚…龍に転生したからか?そこまで忌避感は無いな)


 まだ爪牙技のレベルが低いからだろうか?軽くさける程度の攻撃だが確実に攻撃が通ることに一安心できた。


 そう一安心していると急に視界が緑に染まり次の瞬間に顔面に衝撃が走り、吹き飛ばされた。


(うぐっ…なんだ?顔を蹴られた?モロにくらったからか蹴り飛ばされたのか…)


 敵の近くで別の事に思考を裂く…というより安心するのは大きな反省点だなと確認しつつゴブリンを見る。


「グギャァ」


 すると蹴り飛ばせた事に優越感を感じてるからか嫉妬の感情も合わさっているのか口角を上げ、にやけながらこちらを見下げていた。


(これは少しイラつくな…分かった、油断はしない。確実に倒そう)


 再びそう決意し、ゴブリンに向かってジリジリと歩いて行く。


「グギャ!」


 そして再びゴブリンが棍棒を振り下ろしてきたところをまた横によけ、今度は爪で切り裂かずに思いっきりゴブリンに飛び掛かり…噛みついた。


「ギャガアアァァ」


 噛みついた場所は狙い通りに首、しかし現状の力関係じゃ嚙み千切ることも出来ないので更に爪を立ててゴブリンにしがみつく。


 ゴブリンが悲鳴を上げながらも振り落とそうとするが、

(そう簡単に離されてたまるかっ!追加だ、ブレスもくらえ!)


 そして噛みついた状態のまま氷ブレスを放つ。

 嚙みついたままのゼロ距離ブレスだ、ゴブリンも慌てたのか急いで剥がそうとするが、ステータスは俺の方が高く、体力が減ってきたのかどんどん抵抗が弱まっていき...


 完全に抵抗しなくなった。


(これで倒せたのか?鑑定で確認)


【ハイゴブリン】

 体力:0/98

 状態:死亡


(勝てた、んだよな)


 スライムなんかとは比べ物にならない戦闘。


 相手に反撃され自身がダメージをくらう…そんな戦いと呼べる行動に勝てたことに少しの高揚と共に安堵が襲った。


(良かった…勝てて良かった。最強の龍になって見せるって意気込みはあったがやはり初戦闘は怖い…蹴り飛ばされたときとか恐怖が襲って来たし)


 元日本人には戦闘するという行為、しかも自分から仕掛けるというのは中々にハードルが高かった。

 だが龍に生まれたからか戦闘行為に忌避感は無く、立ち向かい打ち勝つことが出来た。


(これで俺は戦えること言う事が分かった。だが油断はダメだ、また蹴り飛ばされる…いやそれどころか死んでもおかしくない)


 そう思い自信を持ちながらも油断大敵を胸にしたところで。


(...お腹空いたな)


 空腹感を感じるのであった。


(思えば朝から何も食わずに探索して今は昼を過ぎて少しくらいだろうか?そりゃあお腹がすくか)


 朝、巣を出るときに外に出ることにワクワクしすぎて巣にあった食料を食べてないのである。


(ゴブリン…はとても食えそうにないな。皮と骨、内臓とほんの少しの肉しかなさそう...それに雑食っぽくてまずそう)


 流石にガリガリの人型で濃い緑の物体であるゴブリンは龍に生まれた本能に訴えても「食べようとは思えない」と返された感じすらある。


(何か食糧…そういえば鑑定して回っていたときに比較的弱いツインホーンラビットってのが居たな…そいつを探すか)


 そしてゴブリンをその場に放置して食料探しに行くのであった。





(うおぉぉぉぉぉ待てええぇぇ)


 今一生懸命にある獲物を追いかけている。

 その獲物の名は「ツインホーンラビット」

 見た目は二つの角が伸びている以外は一回りほど大きいだけで他は前世のウサギと何ら変わりない。


(早くないか?ギリギリ追い付けそうではあるんだが…)


 鑑定で見たときはステータスも弱めだし狩れるだろうと思い近づいたら急に逃げ出したのである。


 これが草食動物の生き方か…!と若干感心しながらも現在必死に走りながらウサギを追いかけているのである。


(クッソ中々追いつかねぇ、そうだ!嫉妬の権能でウサギのスキルの脚力強化をコピーすれば…!)


 そうして鑑定で見たときにあった脚力強化を嫉妬の権能で模倣し一気に速度上げ、追い付いたところでどうすればいいか迷う。


(えっ、これどうすればいいんだ?爪で切り付けても体力は削り切れないし噛みついても多分噛み千切れん…)


 迷った末に考え付いた結果は、

(…ブレスでいっか)

 である。


 そして追いかけながらブレスをかけ続ける事数十秒、動きがだんだん鈍くなりついに動きを止めた。


(やっと食料を捕まえた…ゴブリン戦よりも苦戦したと思うぞ?)


 とりあえず完全に仕留めるためにウサギの喉元に爪を突き入れ、生命活動を停止させる。


(疲れた…一旦安全なところ探して休もう…)


 ゴブリン戦した後にウサギとの長時間に渡る追いかけっこである。非常に疲れたため、牙でウサギを噛んで咥えたまま今後の寝床探しをするのであった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 あとがき

 ということで作者の人生初の小説の戦闘場面描写です。

 ゴブリンに石でも投擲させようかと思いましたがわざわざ棍棒を手放すのもおかしいかなぁと思い結局棍棒を振り下ろすのと蹴るだけになりました。

 棍棒を横なぎに振らせようとも思ったんですけどそもそも主人公が小さいんですよね…ちっちゃい生物に対して横なぎってのも想像できなかったんでボツに。

 さて、多分次は進化回。

 もうそろそろ幼龍を脱してほしい(だって幼龍の道を三回踏んでるのよ?この子)

 あと遅れましたが下記の名前を募集します。

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