第9話新たな夜明け、そして外の世界へ
(さて、朝になるまで時間も結構あるし一度落ち着いて進化した結果を纏めようかな)
進化後の急な感情の暴流、掌握後のステータスの急変、明らかにヤバい権能と色々あって忘れていたが姿形やスキルの火力などまだ見れてない部分はある。
(まずは姿から…大きさ自体は変わってないかな?まぁいくら罪氷ノ幼龍となれど幼龍である事には変わらないから当然か)
(色合いは…水色に薄ピンクを混ぜた様な、さながらゲームにある睡眠ガスの様な見てると眠気を誘う色合いを基準に多分嫉妬を表す黒い幾何学模様が散らばってる感じだろうか?確かに掌握した罪を表してるな...あと尻尾に常に霜が掛かってる)
見た目は眠龍と言っても通じそうだが所々に俺の種族を表すかの様な要素が散らばってる。
ベース自体は怠惰ノ幼龍だからだろうか、怠惰の要素の眠たげな色合いが多いらしい。
(そう言えばだが俺は龍だが飛べるのだろうか?)
そう、今まで巣から出てないと言っても過言では無い。しかし朝になって外に出るのであれば自身の機動力の把握は大事だと思う。
(どうやって飛べばいいんだこれ?羽ばたいてみる?)
とりあえずバッサバッサと羽を動かしてみる。
(…うん、動かないね。微風が起きたくらい)
次は少し勢いを付けてから羽ばたいてジャンプしてみる。
巣の端に行ってそこから反対側に向けて走ってジャンプして羽ばたいてみる。
(ちょっと滞空出来たか?)
どうやら現状飛ぶ事は出来ないっぽい。
少しだけ滞空出来たからもしかしたら滑空なら出来るかもだが現状の翼じゃとてもじゃないが高度を維持したり上げる事は出来ないらしい。
(うぅむ、少し跳べるだけでも機動力上がるんだがな…しょうがないか)
そう見切りを付けて次はスキルの検証をしてみる。
(まずは変質氷ブレスだな。的は…そこら辺の木でいいか)
以前使った木と同じ種類だろうか?とりあえずそこら辺に罪氷ブレスを掛けてみる。
(おぉ?ブレスがちゃんと白い!前回は冷気だけっぽくて視覚で分かんなかったしな)
言うならば前回のブレス(微)は冬の外の温度、今回のブレスは冷凍庫の温度と言ってもいい。
(ちゃんとブレスらしくなってるのは嬉しいなぁ、以前のブレスなんて一家に1匹夏のお供としていかが?みたいなクーラー扱い出来そうだったし)
これにデバフが付くのならば結構戦えるのではないだろうか?
そう思いながらも次のスキルを試してみる。
(次!爪牙技!)
またまた同じく木に向かって爪牙技である爪による切り裂きを行ってみる。
すると爪に薄くだが睡眠ガスを思わせる霧と嫉妬を表す様な黒い静電気が極微量見えた気がした。
(これは…罪の力かな?まぁとりあえず切りつけてみるか)
なんとなく予想を付けながらも木に爪を当てて切り裂いてみる。
(おぉ!野生動物が付けた跡に見える!)
以前までの木の皮に薄い引っ掻き傷ではなく、しっかりと生物が傷をつけたと見える切り傷になってるのである。
(木にこれなら低級に分類されてそうな魔物には通用しそうだな!)
純粋な火力アップは嬉しいと思いながらも次のスキルを試してみる。
(次は罪鱗強化!)
前回と同じく左前足に強化し、右前脚と比べてみる。
(これは随分と見た目に現れるな…これ他の罪も掌握したらどうなるんだ…?)
見た目は通常の鱗から嫉妬を表す幾何学模様が増え、更に怠惰の霧らしき物を纏ってる感じである。
(硬度は…音がもう違うな、これは防御力にも期待出来そう…!)
以前と同じく爪で軽く叩いて音を試すが結構違う。
強化鱗はコツン、コツンと鳴っている。
ちなみに通常の鱗はカツッ、カツッである。
(これなら防御時でも実用的な範囲で使えそうだな。軽微であれどデバフも掛けれると考えれば…かなり優秀では?)
鱗強化しても雀の涙くらいにしか強化されない強化を知ってる身からすればかなり嬉しい強化具合だ…そう思いながら次のスキル、権能の試し撃ちをする。
(次は権能か…危ない気がするが、能力の把握が大事なのはあらゆる転生ラノベで分かってる)
そう思い権能の試し撃ちを試す。
(まずは怠惰の権能、超回復を自分にかけてみるか)
すると急に身体が怠くなった。
さながら風邪の時になる怠さに似ている。
(なるほど、掌握したから怠惰じゃなく気怠げ…これが気怠げかぁ)
自分以外を対象にしたらあの感情の暴流とも言える怠惰の感情が出てくるのだろう。恐ろしい権能だと思う。
そして権能を切るとスッと怠さが無くなった。
(おぉ?これは即復帰出来るじゃん。なんと便利な…これで超回復出来るのはさすが権能と言うか…)
どうやら体力回復は1秒に体力1らしい。ただ単に今の体力が低いから1秒に1回復するのだろうか?
(次は広範囲の怠惰化かな)
そうして権能を使ってみると自身からスキル使った時に爪や鱗に纏っていた怠惰の霧が薄く周りに広がった。
(なるほど、霧の放出か。確かにこれは広範囲だな。だがこれは常に出してるとすぐに見つかりそうだな…俺が掌握できたのだから怠惰の霧をレジスト出来る存在が居ても不思議じゃない)
これは集団制圧の時だけ使ったほうが良さそうと思いながら権能を切る。
(今の俺は大罪の龍、よくよく考えれば問答無用の討伐対象扱いでもおかしくない。進化する時は特殊進化なのと大罪の力とかカッコいい!って思って選んだけどよくよく考えると人類敵対ルートまっしぐらだよな…大罪を崇める国とかないだろうか?)
まぁ大罪なんて悪印象持つ物崇めないか、と思い外を見る。
その外は徐々に明るくなっているのであった。
(さて、遂に夜明けだ。嫉妬の権能は調べれてないけど鑑定結果的に相手が居ないと使えないしな)
そう考えながらも龍の巣から身体を出す。
(さぁ、此処からは完全に自立だ。今までありがとう、白龍の巣。多分もう戻る事はないと思うけどね)
俺の目的は強くなる事だ。そしてそれはこの龍の巣に居ては甘えてしまって堕落してしまって何処か精神的にも弱くなってしまうだろう。
そう、俺がなりたいと想い願った龍の姿は「圧倒的な力」「威厳ある立ち振る舞い」「誰にも命令させれない立場と精神性」だ。
ならば早期の自立をするに限るだろう。
(まぁ多分大丈夫だ、2回の夜を明かしたが出会った魔物はスライムベビーだけ。多分そこまで強い魔物は居ないと思いたい)
そう二割の不安と八割の興奮を胸に龍の巣から1匹の幼龍が出ていったのであった。
こうして大罪の龍は解き放たれたのであった。
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