「修羅と雨」
どうすることも
できなかった
たすけられなかった
まだ子猫であった
かけがえのない友であった
それは突然だった
上級生の飼い犬に
目の前で噛み殺された
なぶり殺しだった
何もできず
恐怖に足が竦み
体が動かない
ただ泣き叫ぶことしかできなかった
泣きながら土に埋めた
わたしはその時
かつてない感覚におそわれ
わたしの中で
なにかが切れる音がした
奥深くに眠っていたなにかが
—— コロシテヤル
翌日、激しい雷雨の中
ランドセルから
我を失っていた
犬は眠っている
握りしめ鉈を振り上げたその時
凄まじい雷鳴と共に
ある意識が
稲妻の如く
我が身を突き抜けていった
唐突にわかってしまった
——……ナンテコトダ
降りしきる雨の中
ひとり
立ち尽くしていた
底知れぬ虚しさに
ちいさな修羅は
なすすべもなく
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