「めだかの学校」

これはまだ

大東亜戦争が始まる前の

とおい昔の話である


この山には

数えきれないほどの

赤ん坊が埋まっている

口減らしのために

産まれて間もない乳飲み子を

近くの村人達は

人知れずこの山の中に

埋めにきたのである

ここにいる子供たちは

みな飢えている

人はどうやら

死んでも腹は減るらしい

月に一度だけ

桜橋の下を流れる川に

エーセーボーロとヤクルトを流す

上にはちょっとしたバーベキュー場があり

若い家族が休日を楽しんでいた

そのなかに

母親の腕の中に抱かれた

ちいさな赤ん坊がいた

春の木漏れ日のなか

気持ちよさそうに

眠っていた

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