「鷗」

彼は

もはや飛べないのか

ただじっと

遠くを見つめている

片方の羽は傷つき

足には釣糸が絡まり

釣針が刺さったまま

痩せ細り

傷だらけのからだで

水平線のむこうに

沈みゆく夕日を

一人静かに

見つめていた

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