ゴブリンのエルフブリーダー
ぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺし
第1話「売られたエルフの女」
私の名前はララ。魔界にある、とある森の中で暮らしているエルフだ。
今日は私の成人の日、晴れて一人前のエルフとして、集落の仲間の一員となる日だ。
「じゃあ、ララ。私は用事があるから留守番をお願いするわね」
「うん!今日は私の成人の儀式があるんだから、早く帰ってきてよね!」
そう言ってママは出て行った。用事とは何のことだろう?今日は私にとっての大事な日だ。早く帰ってきて、立派になった私を見てほしいものだ。
☆
しばらくして、ママが戻ってきた。そんなに時間も経っていないけど、たいした用事でもなかったのだろう。
「おかえり、ママ……」
私に向けられた冷たい視線。今まで見たこともない冷めた顔のママが、私を見下ろしていた。
そして、ママの後ろから私を覗く緑色の矮小な身体が一つ、私を見ていた。ゴブリンだ。
「ゴブリン…?どういう事……?」
頭の中が真っ白になる。どういう事か理解ができない。どうしてゴブリンが私のお家に……?っていうか、どうしてママとゴブリンが一緒に……?どうしてゴブリンなんかがエルフの集落に入ってきてるの……?
「ヘヘ、コイツがそのエルフカ?」
「そうよ。さ、早く連れて行ってちょうだい」
「ヘヘヘ、イわれなくても。さあ、オマエ、ハヤくコイ!!!」
「え!?なに!!?いや!!!ママ!!!」
ゴブリンがおもむろに私の腕をつかむ。必死になって助けを請おうとママの顔を見た時、私の思考は固まった。
「ママ……?」
ひどく冷たい目をしていた。まるで汚物でも見るかのような、ひどく冷たい眼だった。
「オマエはウられたんダ。クルミイッコ分のネダンでナ。オレにとってはケッシテヤスくはないカイモノだったが、トモカク、オマエはイマからオレのモノダ!」
「そんな……!いや!!!ママぁ!!!助けてえ!!!」
「………」
ゴブリンに無理やり家から連れ出される。怖くて必死に抵抗するけど、その様子をママは黙ったままじっと見ていた。
私は売られた……。けど、どうして……?どうして私は売られたの……?しかもクルミ一つ分って……。何か悪い事でもしたって言うの……?
「イヤだ!!!放してっ!!!誰か……!!!誰か助けてよお!!!ママぁ!!!」
私の声が村の中に空しく木霊する。集落のヒト達も物珍しそうにぼーっと私たちの様子を見ているだけだ。
「そんな……!どうして私が……!うっ……うぅぅぅぅ……!」
ゴブリンに引きずられながら、私は集落から連れ去られていった。私は、ゴブリンに売られたのだ。
ゴブリンのエルフブリーダー ぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺし @Compecci
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゴブリンのエルフブリーダーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます