【猫の日】「2月22日の22時22分22秒きっかりに捨て猫を拾うと、猫神様がその人間にものすごい幸運をもたらすらしい」という噂
黒猫虎
短編
2月22日。
2しかないこの日は、日本という国では毎年恒例の猫の日だった。
テレビでは猫の日特集として、可愛い猫たちが画面に映し出され、人々の心を癒した。
そんなこの日、日本のある小説サイトに1つの噂話が投稿された。
「2月22日の22時22分22秒きっかりに捨て猫を拾うと、
この噂話を読んだ殆どの人間は、
「そんなバカな話があるはずがない」
「キャットフード会社の
「捨て犬を差別するな」
「拾え拾え
「
など、まったく
日も
足元には小さな黒猫の子猫が「にー、にー」とじゃれ付いている。
犬山家では「犬」の字が入っている事もあり、猫を飼ってはいけないという家訓があった。
ちなみに、下の名前の「柴琉」で「スバル」と読ませるキラキラネームである。
今、まさに
小説サイトのユーザー登録はしていたのだが、今日は本当にバイトが激務だったのだ。
子猫がじゃれ付く。
「にー」
「頼むよ、困るよ、家訓でダメなんだよ……」
子猫が足を上ってくる。
「にー、にー」
「おいおい、腹へってんのか? おまえ――」
子猫は弁当にはかまわずに
――頭頂部に登頂する……。
「にー、にー、にー」
「うーっ。おまえはなんて可愛い生き物なんだっ!」
「くそっ、お前は俺がつれて帰る。もううちの子になれっ!」
この日から、
そんな
明日が休日というある夜、
手には高いシャンパン、生ハム、高級チーズ等が入ったマイバックを下げている。
「タワーマンション住みなのにマイバックってうけるー!」
この「ちょっと馬鹿にしながらボディタッチ」は
この技で何人もの男を落としている。
「このマイバックは俺のトレードマークの柴犬がプリントされていて、お気に入りなんだ」
自動で玄関の明かりが付く。
「わーっ、すご! さすがタワマン!! やるじゃん
玄関から直接見えた奥のリビングの窓から百億の夜景が眺められ、さすがの
そのとき。
「にゃーっ、ふぅーっ!」
手前のキッチンカウンターの陰から出てきた黒猫が
「きゃっ、何? 猫ちゃん? 猫飼っているの?」
しかし、ここは猫をかぶる。
――猫嫌いが猫をかぶる……。
しかし、黒猫の
「ふぅーっ、しゃーっっ!!」
黒猫の左前足が火を吹いた。
「きゃあっ!? いたーっ!?!?」
「す、すまない、ウチのクロールが……」
ちなみにクロールはオスである。
「もう、もう。なんなの! この猫! わたし、猫、だいっきらいなの!!」
「わ、悪かった。右手を出して、良く見せてくれ。治療しよう」
「この猫、許さない!!
「と、とにかく治療しよう。クロール、あっちに行っておいで……」
そう言いながら、
治療が終わると、
「
そう言うと、財布から2万円を取り出して
「えっ、何、どういう事??」
キョトンとしている
玄関の外に押し出した
「悪いな」
そのまま、ドアをバタンと閉める
「何よ、えっ、意味わかんないんだけど。
ドアをドンドンと激しく叩く
しかし、部屋の中はそれ程はうるさくない。
さすがは高級タワーマンションだった。
「にゃにゃ」
「やっぱりダメだったか」
「にゃっ」
クロールは
「やっぱりな」
隣ではクロールが、ほれ見たにゃん、という風に「にゃう」と泣き声を上げた。
「クロールよ、お前を拾ってから、俺は毎日が幸せだ。きっとお前は幸運の黒猫だ」
「にゃーっ」
「クロール様、そろそろ女性運の方も上げてもらってもいいんですよ?」
「にゃーっ」
「あ、『ち○ーる』ですね、すぐお持ちします」
そんな幸せな毎日を過ごしていた
「あー、もうお前を拾ってからちょうど今日で2年経つんだな……」
ちょうどその時、日本の時計がまた猫の日の「2月22日の22時22分22秒」を迎えた。
その瞬間、
「な、なんだぁあ――――!?」
煙が晴れると、目の前にはなにやらもぞもぞとする物体が。
そこには、「(=^・ω・^=)
「ま、待たせてしもうたな。お待ちかねの女性運の方を持ってきてやったぞ」
真っ赤になって斜め下を見ながら恥かしそうに、しかし偉そうに独り言をいっている猫耳美少女。
「あ、あなたは? というか、不法侵入ですけど??」
「なんじゃ、その言い様は!? ワシはお前に幸運をもたらしている
耳をピンと立て、尻尾もピンと逆立てて、毛も逆立てて怒っている猫耳美少女。
どうやら、やっと
「2月22日の22時22分22秒きっかりに捨て猫を拾うと、
是非、貴方も捨て猫を拾ってこの噂を確かめてみませんか?
~Fin~
【猫の日】「2月22日の22時22分22秒きっかりに捨て猫を拾うと、猫神様がその人間にものすごい幸運をもたらすらしい」という噂 黒猫虎 @kuronfkoha
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