第4話 佐藤ミライは立ち直った。

『誰?』『アザゼルだ。どうぞよろしく。佐藤ミライだっけ?いい名前だねー。』印象はいいおじさん。イケおじだ。ミライが戸惑っていると『アザゼルはいいやつだからよろしく。少し怒りっぽいけど。』とカルシファーが教えてくれた。『あぁ?なんか言ったか。』『言ってないですぅぅ。』カルシファーより権力があるのかそれともカルシファーの性格上ああいう立場になっているのかどう考えても後者だった。



 『なんでカルシファーと一緒に来なかったの?』ミライはもう驚いてすらいない。こうなるのには少し早い気もするが…『カルシファーがずっとミライの体にいるから行く気無くなっちゃってね。』『それはひどいです!』『悪い悪い。』『戦いますか?』『あぁそれはぼこぼこだからやめてほしい。』予想通りだ。もはやカルシファーのほうが権力的に上だったんだな。性格のせいでああなってる。ってことか。 


 このまま話していると学校に間に合わなそうなので荷物をまとめる。頭の中では2人がまだいいあっているが気にしないように心がける。『うるさい。』といえば『ごめんなさい。』というカルシファーに『あぁいまなんていった?』というヤンキーまでついてくる。面倒に感じながらミライは準備を済ませ「いってきます。」としっかり伝える。もう習慣付いたことだ。




 俺はカルマが転校する話を聞いてから二週間は落ち込んでいた。だが自分は1人じゃなく、カルシファーがいたため元気を取り戻せた。カルマはまだここらにいるが来月にはいなくなってしまう。ほんと緊急事態だ。ミライにはカルマ以外の友達はおらず、カルマがいなくなるとお芋学園生活を送らざるを得ないからな。



 ぼーっと歩いていると頭の中で人が話しているのは慣れてきたのか会話の途中の一文だけが聞こえた。『そろそろ俺の弟もくるぞ。』それを聞いたミライは登校中に道に立ち止まり…



「ええーまた人増えるのーーーーーーーー!」と大声で叫んだ。

火事でも止められそうな周囲の目線。ミライは声に出すのと、頭の中にいる人格と話すことはほぼ同じ労力で区別がついていなかった。

『ヤッベ。間違った。』かなり焦るミライの声。『聞こえなかったけど。なんか立ち止まって、そしたら通行人からやばい目で見られてたぞ。』とアザゼルは状況をわざわざ口で説明した。『なんと言ったのですか?』『また人増えるの?って。』『セリフとしては別に悪くなかったですね。だって恥ずかしいことでも言っていたら大変ですもんねー。アザゼルさん?』『黙れ。』過去に何かあったのだろうか。『と言いますか、そんなに嫌ですか?ミライさん』『はい。いやです。これ以上うるさい会話が常に聞こえてくるんでしょ?』『まぁいつかなれるよ。』もう通行人は見ておらず冷たい空気だけがそこには残っていた。

 

 

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