第2章 宇宙植物ケサランパサラン

第16話 はじまりのはじまり

生まれた世界は真っ暗だった。でも、何だか暖かくて安心していられる世界だった。


其処でどれくらいウトウトと微睡んでいたかわからないけど、ある日、風が吹いた。


気持ちの良い風だった。


その風はワタシの周りをグルグル回ったかと思うと、フンワリ持ち上げて移動を始めた。


待って待って…


ワタシはまだ此処にいたかったから待って欲しかったのだけれど、風は容赦なくワタシを運ぶ。


突然眩しくなって、目を閉じる。


越えてはいけない一線を越えた気がして慌てて目を開けると、其処は暗いけど、あちらこちらに小さな光が瞬く世界だった。


少しその世界に見惚れてハッとする。


振り返ると、ワタシのいた世界の入り口が小さく小さくなって、やがてシュパッと消滅した。

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