第15話 ワタシ夢を見る。

ワタシが花なのはワタシが花で在ることを望んだから。


では、鹿さんがワタシの知っている動物に似ているのは果たして偶然だろうか。


ワタシはつい先程生まれたような気がしていたけれど、本当にそうだろうか。


意識が浮上したのがつい先程のことで、実はそれ以前から既に生まれいて、鹿さんはワタシが目覚めるのを待っていた?


ワタシは花だ。


というか、意識は植物だ。


望んだ環境になるまで何時まででも眠っていられる。


それこそ、何千年でも、何万年でも。


環境が整い芽を出し、花になるまで成長したとしても、意識は眠っていた可能性もある。


鹿さんや此の世界や此の世界の生物がワタシの知識にあるものと似ているのは、本当に偶然なのか。


目が覚めた時、目の前に拡がっていった景色が、ワタシの望んだ通りだったのは果たして…。


大草原で目覚める前、ワタシは夢を見ていた。


広大な宇宙をタンポポの綿毛の様なフワフワの種子で旅をしていた。


風の吹くまま気の向くままに。


宇宙に風は無いけれど、常に誕生と消滅を繰り返す宇宙にはエネルギーが溢れている。


様々なエネルギーが縦横無尽に、それぞれの法則に従って流れを作っている。


ワタシはその色とりどりの流れに乗って旅をしていた。


気に入った星を見つけたら根を下ろすつもりで。


中々見つからなくて、うっかり寝てしまった気がする。


膨大な宇宙エネルギー渦巻く流れの中に身を任せたまま(笑)

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