第7話 ワタシ生命の誕生を知る。

再び開いた八咫烏様の瞳は、普通に漆黒だった。


どんなに覗き込んでも、もう宇宙は見えない。とても残念だ。此処にいながらにして宇宙を旅できそうだったのに。


ワタシが納得するまで待っていてくれた八咫烏様は、今度は嘴を下にして、そっと、本当にそ~っとワタシに額の紅に輝くルビーの様な宝石を近づけてきた。


そして、触れるか触れないかという手前で止まる。


近すぎて八咫烏様の瞳は見えないけれど、なんなく触れなさいと言われている気がした。


ワタシは顔だと思っている花びらをそっと近づける。


そして、チョンと、ほんとに花びらの先っちょがチョンと触れた瞬間、そこを起点に光の洪水が起こった。


昔テレビで観た。宇宙誕生のビッグバン。ただ、そこからは激しい衝撃などはなく、ただただ暖かく優しい生命の光だった。


そう言えば、八咫烏様って、太陽の遣いだって聞いたことを思い出した。


太陽、つまりは生命の遣い。そっか、こうやって宇宙に生命を届けているんだね。


あれ?でもちょっと待って、生命を届けている?ワタシ花だよね?生きてるよね?でも、何か違和感が…

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