第2話 ワタシお見合いする。
鹿のような生き物の瞳は透明な水色。吸い込まれそうに澄んだとても綺麗な水色だった。
何故、そんなことがわかるのかって?今現在、その鹿のような生き物が、フンフンとワタシの匂いを嗅いだ後、
その場で優雅にお辞儀をしたかと思うと、伏せの状態で座り込み、鼻先をワタシの目の前に顔を置いたから…。
えっ、ちょっと待って、これ一体どういう状態?
何気に周りを見回すけれど、他に生き物は無し。
もう一度、鹿のような生き物を見る。
微動だにせず、ワタシを見つめている…
そこで冒頭に戻るわけだけれど、その澄んだ水色の綺麗な瞳には、何処までも晴れ渡る空の様な蒼色の花が風に気持ち良さそうに揺れていた。
やった!やっぱり花だった!…ちょっと現実逃避をしてみたけれど、いや、花に生まれたのは本当に嬉しいのだけれど、これ一体どういう状態なのだろうか。
鹿のような生き物は瞳を閉じることなく、余所見をすることもなく、ワタシを見つめている。
ワタシが右に揺れると鹿の顔も右に傾き、左に揺れると鹿の顔も左に傾く。
なにこれ、ちょっと可愛い(笑)
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