背中の痣

左側の背中に赤い大きめの痣がある。


小さいころから医者にかかると、触診時に必ずそこを軽く触れられて

「ここ、痛くないですか?」

「痛くないです」

「軽く押してみるけど、それでも大丈夫?」

「特に痛みはありません」


はじめは、そこに痣があるのをしらなかったので、医者のその問いは診察の一環で誰にでも訊いているのだろうと思っていた。

ある時旅行で大浴場の鏡がコの字型になって合わせ鏡のようなところで、初めてまじまじと自分の背中をみて痣をしった。


医者は背中の痣を見て虐待とか疑っていたんだろうなとちょっと思った。

「背中の呼吸聴診器で聴かれる触診時に、背中少し押して痛くないですか?って毎回きかれるんだ」

話したとき、親が微妙な顔をしていた。虐待を疑われているんだろうなと親も思っていたのだろう。そんなことはなく、普通の親子関係だったが。



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