俺の名前はなんだ?

「なむさん」

「せっぱ」


「俺の名前をいえ」

「しらない」


「俺の名前はなんだ?」

「・・・・・・」


連日同じようなやり取りをした夢をみた。

はじめて見たときは、着物に刀を差していたからサムライかと思った。

違う日は、軍服でサーベルを携帯していた。


自分が生まれる前に亡くなった祖父がいた。

そういえば祖父の名前ってしらない。

「じいちゃんの名前ってなんていうの?」

「一郎だけど。なんで聞くの?」

「あったこともないけど、なんか気になってさ。いつなくなったの?」

「戦争で引き揚げの船のなかで病気になってなくなったんだよ。」


軍服をきて名前をきいてきたのは、祖父だったのだろうか?

でも祖父だったら、一番初めに名前を答えられなかったからといって、

背中から切りかかってきたりしないだろう。


生まれつきの痣がある背中の場所が、夢で切り付けられたのと一致する。

その一致を考えたら、なんだかゾクゾク寒気がした。







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