第4話 4

「なあ莉奈、頼むよ。今月売り上げ応援するって言ってただろ?」

「それは言ったけど、ドンピンなんて高価たか過ぎるよ……」

「そんな事言わないでさ。莉奈だけが頼りなんだよ。ここで莉奈がドンピン入れてくれれば、んだ!」


翔はロメオの不動のNo.3。

その翔と並んでるって事は、直弥ホントに今月はチャンスなんだ。


「直弥、アタシがドンピン入れればホントに翔に勝てるの?」

「ああ、こっちがリードしたら、もう簡単には抜かせないさ。こんなチャンスかもしれないんだよ!頼む、莉奈!俺を男にしてくれ!」


直弥、ホントに真剣だ。そうだよね……こんなチャンスめったにないんだもんね。


「わかったよ直弥。アタシ、ドンピン入れる!」

「ありがとう、莉奈!やっぱりお前は最高の女だよ!」


直弥、スゴく喜んでた。18万はイタイけど、これで直弥No.3になれるね!




今、直弥はトイレに行ってる。

なんか、安心したら急にオシッコしたくなっちゃったんだって。ちょっとカワイイとこあるね。






「直弥さん、やりましたね。ドンピンゲットおめでとうざぁ~~す」

「おう、純。さっきは、イッキありがとな。莉奈には、この調子でから」

「マジっすか!直弥さん、なかなか鬼っすね!」

「当たり前だろ、その為に呼んだんだからよ」




トイレから帰ってきた直弥は、どうしちゃたんだろう?なんか、元気なかった。


「直弥、どうしたの?ドンピン入れたのに、なんか元気ないよ?」

「ん?そうかな……別に何でもないよ。気のせいじゃないのか?」


気のせいなんかじゃない。直弥、アタシに何か隠してる……顔を見ればわかるんだからね。


「ねえ、直弥。なにかイヤな事でもあったの?アタシに話してよ」


そしたら直弥、やっとその訳を話してくれたんだけど……


「さすがだな。やっぱり莉奈の目はごまかせないか……実はさ、今、翔のところに常連の客が飲みに来てるんだけどさ……ほら、あのテーブルで翔が付いてる客……」


直弥の言う方を見たら、翔とお客さんが並んで座ってた。見たカンジ、40歳位のオバサン。


「あの客、翔のでさ、エステか何かの社長やってるんだよね。さっき、ドンピン入れてんの見ちまった…せっかく莉奈がドンピン入れてくれたのに、追いつかれちゃったよ」


そうかぁ……それで直弥、元気なかったんだ。


「でも直弥、またガンバレばいいじゃない。まだ抜かれた訳じゃないんだから!」


アタシ、一生懸命直弥を励ましたんだよ!


それなのに……


「なあ、莉奈。一生のお願いだ!ドンピンもう一本入れてくれっ!」


えっ!そんなのムリだよ直弥!気持ちはわかるけど、アタシにはムリ!


「ムリだよ直弥。それに、まだ今入れたドンピンだって空いてないし」

「そんなの全然問題無いから!このボトルは、俺と純で責任持って空けるし!」


直弥も必死。翔との勝負が懸かってるから。


でも、やっぱりドンピン2本はムリだよ………


「やっぱり、ムリ。ごめんなさい、直弥………」


その後の、直弥が言った言葉。


スゴくショックだった。


「そうか………所詮、お前はその程度の女だったんだな。もう、帰っていいよ」



それ、サイテーだよ。直弥………



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