第1章 夏休み初日

第4話 和花のお願い

 夏休み初日の午前中、妹の作った朝ご飯を食べ終えた悠人は二人分の皿洗いを済ませてから自室に戻り。


 ベッドに寝転ぶとスマホを手に取って、ソシャゲのデイリーミッションをこなしつつ。


(早く頼んでおいた荷物が届かないかな)


 心の中で悠人はそう呟いた。


 悠人はネット通販であるモノを買っていて、それはこの夏休みの間に悠人が義妹と二人きりで過ごす為にはある意味必要なモノなのだが。


「……あれを買った事が和花にバレたら大変な事になるな」


 悠人はそんな言葉を呟いた。


 通販で買ったモノの中身は和花には絶対にバレたくないと悠人はそう思っていって。


 だからこそ、今日届く予定の荷物が早く届いてくれて直ぐに回収しないといけないと、悠人がそんな事を思っていると。


「コンコン」


 そんな風に悠人の部屋のドアがノックされた後。


「兄さん、今大丈夫ですか?」


 ドア越しに和花がそう話しかけて来たので。


「和花か? ああ、別に良いぞ」


 突然の事に少し驚きつつも悠人がそう答えると、和花がゆっくりと部屋のドアを開けて部屋に入って来た。そして、


「えっと兄さん、今は何をしているのですか?」


 ベッドに寝転んでいる兄の姿を観て、和花はそんな事を聞いて来たので。


「何って、ゲームだけど」


 悠人が正直にそう答えると。


「スマホでゲームという事はいつものアイドルマイスターですか?」


 和花はそう聞いて来たので。


「ああ、そうだよ、今はイベント期間中でいつもより多く周回しないといけないから少し忙しいんだ」


 スマホ画面を操作しながら悠人がそう答えると。


「兄さんは本当にそのゲームが好きなのですね、やっぱり可愛い女の子が沢山出て来るからそのゲームが良いのですか?」


 和花はそんな事を聞いて来たので。


「お前だってそういう作品は好きだろ?」


 ゲームを操作しながら悠人がそう聞き返すと。


「そうですね、私はゲームは苦手なのでやりませんが、アイスタシリーズは大好きなのでもしアニメ化したらその時は教えて下さいね、アイスタは今まで通り兄さんと一緒に観たいので」


 和花はそんな事を言ったので。


「別に良いけど、このソシャゲはリリースしたばかりだからアニメ化するのは何年も先になると思うぞ?」


 悠人がそう答えると。


「それでも良いですよ、それだけ未来に楽しみを取っておく事が出来るという事ですし、それに」


 そこまで言って、和花は一度言葉を切ってから。


「きっと何年経っても私たちは今までの様にアニメを観て笑っている様な穏やかな関係で居られると私はそう思っていますから」


 和花はそんな事を言ったので。


「まあそうだな、俺もそう思うよ」 


 悠人も和花の意見には同意した。そして、


「ところで和花、わざわざ部屋に来たって事は俺に何か用があるんだろ?」


 そう言って、悠人が話題を変えると。


「ええ、そうです、兄さんは今のんびりゲームをしているという事は今日は暇なのですか?」


 和花はそんな事を聞いて来たので。


「まあ、そうだな、スタミナを使い切ったらその後は暇になるな」


 悠人がそう答えると。


「それなら丁度良かったです、えっと兄さん」


 そう言って、和花は一呼吸置いてから。


「ゲームが終わったら私に勉強を教えてくれませんか?」


 可愛らしい笑顔を浮かべて和花は悠人にそんなお願いをした。

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