第6話 ハコの学校
ハコは龍頭電気街で教師をしている。
電気街には人が集まる。子供も集まる。
最初はそんな子供相手に、少し何かを教える程度だったが、
電気街がそうであるように人は人を呼び、
いつしか、学校みたいなものになった。
電気街中心も、一応認可を通している。
天狼星の町の外にも、学歴らしいものとして通ることは通るが、
ハコはそういうこと以上に、教える・教えられることが重要であること、
人のつながりと知識知恵のつながり。
そういうことを教えていきたいと思っている。
ハコは女性。やさしげに微笑む、ちょっと背の高い女性だ。
結婚はしていないらしい。年は少しばかりとっている。
電気街の一角、学校として電気街中心から借りているところがあり、
ハコは一応肩書きは、校長先生になる。
でも、ハコはすすんで子供に勉強を教える。
学ぶことの楽しさを伝えたい、どれほど楽しいのかを伝えたい。
ハコの一途な思いは子供達に伝わって、子供達はハコを慕うようになる。
「ハコ先生」
自然と、そういう呼び名が定着する。
今日は子供達相手に、
電気のあり方を教える。
電気とは、知ってのように、化石から搾り出されるもの。
それは、昔々生きていた命が石に変わった物で、
ハコも子供達も、命の上に、生きている。
健全な電波、みんなの作ってくれる物、お仕事をする人、
そして、欠かすことのできない動力としての電気。
何一つ欠けてはいけないとハコは説く。
子供達一人一人が欠けてはいけないように、
すべてがあるがようにある。
なくなっていいものなんてない。
電気とは伝えるもの。子供達に命の重さを伝えるもの。
ハコはそう思っている。
だから、電気は大切にしなくてはいけない。
命を大切にすることにつながるし、
同じ重さの命を、みんな持っているのだと、
ハコは静かに説く。
電子音の鐘がなり、授業の終了を一応告げる。
子供達は教材をしまって、挨拶をして学校を出て行く。
ハコはまぶしそうにそれを見送る。
一体何人の子供に、ハコは教育というものをしてきただろう。
そして、そのうちの何人に、教えを伝えることができただろう。
これから何人、教えることができるだろう。
ハコは願う。命ある限り、教育にありたいと。
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