第7話 電装技師

電気装備、略して電装。

それは、電気動力の装備をつけることにより、

身体の能力を上げるようなことを指す。

電装技師によって、装備は作られ、何度も試験動作をして、組み込まれる。

高価な上に、手入れも大変だ。

でも、龍頭電気街において、電装技師の割合は、増える一方だ。

電気自体、配給制だから、どうしても限りがある。

その限りある電気を電装に回すというのだから、

電装に切り替えるというのは、相当覚悟と金がないといけない。

当然のように、電装技師も電気街中心で許可を得ないと営業できない。

人を攻撃するような電装をできるだけつけない、

電装の出力は限られた圏内にとどめる。

いろいろな制約は当然のようにある。


そして、電装技師にも非合法なのがいる。

時々電気街中心でも会議に出される、闇電装技師の存在だ。

電気は配給制であるが、電流のよどみからできる、

磁気には今のところ制約は少ない。

掃除された磁気は、電気街中心が買い取って動力の一端にしているが、

闇電装技師は、電気街中心よりも高額で磁気を買い取り、

違法電装の動力源に当てている。

もともと、磁気は電気のよどみからできるもの。

健全な電波にも障害がでる。

定期的に掃除するのはそのためであるが、

磁気動力の電装は、心を蝕むこともある。

心がゆがみ、よどむという。


闇電装技師のギムレットは、

そういう連中を何人も見てきた。

もともと腐っているのか、腐っているから闇になんて来るのか、

ギムレットはわからない。

しかし、ギムレットは金を詰まれれば電装をつくった。

こういう連中は、あとの手入れなんて考えない。

その場しのぎで生きている、頭の悪い連中だ。

それではそいつらで金を得ているギムレットは何者か。

ギムレットは考えて、苦笑いする。

そいつら以下のバカヤロウだ。


ギムレットは電装に身を固めていて、

多分男だろうということしかわからないほど、正体不明である。

ギムレットは今日も電気街のどこかで電装を作っている。

あとでどうなるかなんて、ギムレットは知りたくもなかった。

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