第14話(最終話) エリート課長、仄めかす

4拠点時間差攻略作戦。これにより関羽の運命は覆る。だがしかし、いくつもの疑問が残る形となったことに二人でモヤモヤしていた。


「まず劉備や!いったい何を考えとったのか、まるでわからん。赤壁後に荊州を借りて『益州取ったら返します』言うて、益州取ったら『益州だけだと厳しいんでもうっちょっと領土広げてから返します』ってなんやねん!!!そりゃ対蜀融和策を推進しとった魯粛でも怒るやろ。そんな状況で漢中王とか名乗っとったら俺でも怒るわ!」


確かに。友人に車貸して『旅行終わったら返すね』と言われ、返ってこないから返してって言ったら『まだ来月も予定あるから、それが終わったら返すね』と言われた気分だ。これのスケールがデカい版だとすると、孫権が怒っても仕方ない。あれ?でも蜀には孔明がいますよね?


「そこなんや。孔明がおってなんでこうなんねん。推測にしかならんけど、孔明と魯粛は事前協議しとったはずや。そこでは荊州を返すことになっとった。でも劉備が返さんかった。この時、孔明はどんな気持ちや?」


はぁ?って感じでしょうね。なんでやねーん!ってツッコミたくなるところですよね。


「そうやろ、そうなるわな。・・・・・・今、ふと思いついたことがあるんやけど、最後まで走り切れるかわからんからやめとくわ。」


なんですかその意味深な言い方は。めちゃくちゃ気になるじゃないですか。


「いや、そこは言わんとこ。他にもスッキリせえへんことあるか?」


そうですね、樊城だけを領有するってところですかね。ちょっとどころではない無理がありますよね?


「せやな。無理があるな。樊城に残された武将にとっても面白くないやろうしな。でも荊州は返さんと孫権との同盟は無理や。それはわかるやろ?」


ですね。そこはわかります。でも関羽に樊城の戦いで勝たせるために無理やり、その筋を作ったようにしか見えませんよ。


「そう見えるかー。でもな、この策は呉にとっても意味はあるんや。魏からしてみたら味方の援軍が絶対に間に合わんところに孤立しとる城があるんや。狙いやすくてたまらんやろ。罠か?罠なんか?って賢いやつは考えるやろな。呉さえ懐柔できれば樊城奪還は余裕やから呉には頻繁に魏の使者が訪れるやろな。何もせんと約束だけしてくれたらええから!ってな。そんくらい外交的にも面白くなるのは間違いないで。」


なるほど、言われてみればそういう見方もありますね。樊城の戦いに勝った後、いったいそんな面倒そうな城に誰を置くつもりなんですか?


「関羽・・・と言いたいとこやけど、さすがに無理やろな。でも有名人は置かなあかんで。一応、人質ならぬ城質やからな。そういう意味ではまず趙雲や。そして蔣琬。最後に麋竺と糜芳の二人やな。参勤交代みたいに1年ごととかに入れ替えられるのが理想やけど、そこは呉との交渉やな。1年くらい静かにしとったら緊張も緩むやろし、ずっとそのままということは言わんやろ。」


なぜ麋竺と糜芳なんですか?


「地獄の沙汰も金次第やろ?金と人脈と武力と知恵と土地勘をセットにしとったら、いざというときに死地に陥らんで済む可能性が高いからな。何かの時に蜀まで逃げ切る可能性もあると読んどる。糜芳はオマケや。」


金と人脈と武力と知恵と土地勘って最強ですね(笑)

で、課長、さっき言いかけてやめた話ですが・・・


「ん?あれか、孔明の話のやつか。いやな、もし仮にこの樊城の戦いが孔明の掌の上で起こった戦いやったとしたら・・・・・・・・・・・・」


エリート課長の考察は続く。(終)


以上で【関羽の運命はエリート課長が覆すってよ】は終わりです。

初めての長文で至るところに読みにくい箇所などがあったと思います。

最後までお付き合いいただき、心からの感謝を申し上げます。

魔術師

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