第4話 エリート課長、国家百年の計を語る…前に頭を抱える

「例えば…自分が孫権だとして荊州を返す約束を反故にされて、自分を犬と呼ぶような相手から『もう一回同盟をちゃんとやろうぜ!』って言われたらどうする?」


え?そんな奴と同盟なんてあり得ないでしょう。むしろ呑気な顔した使者とか来たら殴ってしまいそうです。ざけんな、テメェ!二度と来んな!ってレベルです。


「そうやなぁ、やっぱりそうなるよな。そうやって怒っとるときに魏の司馬懿から『蜀の野蛮人には腹立ちますよねー。魏は約束は絶対守りまっせ!お試しで不戦にしてみませんか?』って声かけられたら、なびいてもしゃーないで。そんくらいのことはしとる。これを挽回せなあかんっちゅーのが、激ムズやねん。」


幾多の取引を成立させてきた課長をして激ムズと言わしめる蜀と呉の再同盟。国家百年の計なんて言ってたけれど、そもそも話すら聞いてもらえない可能性が高い。だがしかし、この再同盟が成立しないと虎視眈々と呂蒙・陸遜が狙っているわけで、樊城の戦いに勝利はない。課長…どうするのかな…


「最初の交渉相手は呂蒙や。話によれば軍を掌握しとるのは呂蒙やし、まず呂蒙と対等に話せる人物を使者にせなあかん。ビビらず、相手から目を逸らさず、堂々と話せる武将。孔明以外におらんのかいな?」


そんなに難しい交渉なら諸葛孔明以外無理でしょうよ…。ていうか関羽の問題だから関羽にやらせるのが筋じゃないですかね…


「関羽って素直に謝れる男か?ちゃうやろー。素直に頭下げれる器量が一ミリでもあったら歴史は変わっとったと思うで。どうせ妄想やから関羽を目一杯貶めて良いっちゅー話なら方法はあるけどな。」


え?どうするんですか?


「あのな、呂蒙の前で関羽を棒打ちの刑にすんねん。罪状は孫権への無礼並びに呉軍への無礼としてな。呂蒙が良識ある武将なら本気かどうかを見て、数打で止める。止めなんだら蜀と戦争になるからな。なんせ関羽は劉備の義弟や。自称とは言え王を名乗る者の弟が自分たちへの無礼という罪状で打たれとったら、止めんほうがどうかしとる。そんで止めた手前、話を聞かなあかんくなるで、そこから交渉開始や。ま、こんなのはそもそも劉備が許すとは思えんけどな。それくらいせんと話すらできんっちゅう例えやな。さて、どないしよかな…」


一度退却しても課題は山積。糜芳と傅士仁と和解したとしても魏と呉の二正面作戦では勝ち目が無い。だから呉と再同盟を目指す。関羽が逆転勝利をするための絶対条件だと課長は言う。でも話すら聞いてもらえない可能性大。国家百年の計も語れなければただの妄想。ちょっと蜀の武将調べてあげよかな…

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