第3話 エリート課長、部長から指摘される
「な〜に〜、面白そうな話してるね〜」
部長(ポンコツ)が話しかけてきたので、課長の前だが経緯を話さずにはおられず、これまでのことを説明した。
「ふ〜ん、三国志なのね〜。でもさ〜、その流れだと関羽の運命っていうか〜、蜀の運命を変えてる感じだね〜。結局樊城の戦いで勝つってことにはならないんじゃな〜い〜?」
ポンコツなのに指摘は鋭かった。課長の考えは確かに戦略的に正しいし、戦術的にも正しい。孔明かよ!と思うほど先を見た策だとも思う。だがしかし、運命を覆すというのはやはり樊城の戦いで関羽を勝たせてこそだ。ただウチのエリート課長はそんなことわかっているだろうし、どう考えているのか、チラッと顔を見てみた。
「部長の指摘はもっともやな。だが退却は取り消さん…と言うか退却せな負け確定や。ここは一旦退くで。さっきも言ったが戦争に勝つには『天の時、地の利、人の和』が必要や。俺は別に関羽が勝たんでも樊城が落ちればそれでええんやけど、それじゃ納得してもらえんみたいやな。
関羽が樊城を落とすためにはまず『人の和』や。本来の人の和は民心を安んじて民に背かれないことを意味するが、広い意味で味方に背かれないことを最低限の人の和と考えよか。江陵と公安が呉に尻尾を振らず、呉も攻めてこんようにせんと樊城の戦いは負け確や。次の手は…せやな…」
もともと『天の時、地の利、人の和』は孟子が説いたもの。人心が安定している国は強い…みたいな意味だった………はず。課長は人の和をどう整えるのだろう。糜芳と傅士仁からしてみれば関羽からの扱いが不満で、その不満が爆発してのものだし、呉の孫権は関羽の娘を自分の息子の嫁にと政略結婚を打診したものの、関羽から『虎の子を犬の子にはやれん!』と言われたとか。さらに陸遜からは就任の挨拶で人となりを見破られてるし、Theプライドの塊な人が下手にでることなんてできない…よなぁ。と考えこんでいた。課長は…というとニヤリと笑い、机をダンと叩いて一言、
「ほな孫権に国家百年の計を説きにいこか。」
国家百年の計?何だそれ。樊城の戦いに勝つことが壮大な話になってきた…
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