05 クアランサ“ユニオン・デ・アモリオス”
クアランサ、首都ルンボリアの北西約200キロにある中規模の工業都市です。
先住民族であるカリオワ族とエストリリオ人の文化が交わる美しい街で、古き良き伝統と新しいアート、コロニアルな建築とモダンな施設が共存し、街全体に独自の魅力を添えています。
街の中心に広がる広場では、カリオワ族の伝統的な舞踏やエストリリオ人の音楽が交互に披露され、観光客や地元住民が文化の祭典を共に楽しんでいます。多彩な色使いの布地や、手工芸品の市場が、両文化の美意識を感じさせ、街を彩ります。
コロニアルな建築物が街全体を彩り、中にはカリオワ族のアートが取り入れられた施設も点在しています。エストリリオ人の影響を受けたカフェやレストランでは、両文化の要素が見事に融合された料理が提供され、食べ物も文化の一環となっています。
この街では、毎年9月に「ユニオン・デ・アモリオス」(Unión de Amoríos)というフィエスタが行われます。これは、「愛と結びつきの統合」を意味し、カリオワ族とエストリリオ人の間に築かれた和解と友情の物語を象徴しています。
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昔々、美しい土地に住むカリオワ族は、静寂な森や清らかな川に囲まれた神聖な場所で平和に生活していました。しかし、ある日、新しい土地を求めてやってきたエストリリオ人との出会いが、平穏な日々を一変させました。
最初は争いが始まり、雲り立つ空には険悪なムードが漂っていました。激しい戦いの末、双方とも痛ましい犠牲者の数となってしまいました。
ここで、カリオワ族の賢明な族長は人的被害を憂慮し、戦いに終止符を打つべくエストリリオ人のリーダーのもとに赴きました。彼の姿勢に感銘を受けたエストリリオ人のリーダーは、無用な戦いを終わらせ、代わりに共に生きる道を選ぶことを提案しました。
和解の儀式が行われ、争いの歴史が封印された瞬間、新しい共存の時代が幕を開けました。エストリリオ人は、カリオワ族の伝統を尊重し、土地を共有する約束を守りました。共に喜びを分かち合い、困難を乗り越える中で、両者の絆は深まり、統合されたコミュニティが築かれました。彼らの歩みは、争いではなく共生が持つ力強さを象徴しているのでした。
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太陽が傾き始める頃、フィエスタが行われる広場がにわかに活気づいてきました。
屋台が多く出店され、カリオワ族の伝統的な料理と、エストリリオ人の美食が並んでいます。どの屋台が一番美味しかったか、コンテンストも行われています。数百年で、戦いの舞台は戦場からキッチンに変化したようです。
夜になりました。月の明かりが広場を照らし、ユニオン・デ・アモリオスのメインイベントが始まります。
先住民族の舞踏者たちが中央に集まり、美しい伝統的な舞踊を奏でます。その舞は、土地の神聖なエネルギーと歴史を背負った優雅な動きで広場を満たしていきます。
すると、静寂が破られ、エストリリオ人たちが舞台に登場しました。彼らはカリオワ族の踊りに合わせて、陽気な音楽を奏ではじめます。ギターの弾き語りとトランペットの響きが共に調和し、舞踏者たちに合いの手を入れ始めます。異なる文化の結びつきが音楽と舞踏を通じて息づき、広場には歓喜の雰囲気が広がるのが伝わります。
舞台上では、カリオワ族の優雅な動きとエストリリオ人の情熱的な音楽が交錯し、新たな舞台が生まれていきます。見物人たちは、異なる文化が織りなす美しいダンスに魅了され、やがて、その場にいる全ての人が一つになる瞬間が訪れました。
ユニオン・デ・アモリオスのメインイベントは、カリオワ族の伝統的な舞踊に合わせて、エストリリオ人が陽気な音楽を奏で、異なる背景を持つ人々が共に喜びと愛に包まれる美しいシンフォニーとなるのです。
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