家族会議
「お帰りなさい、お義父さん」
「あぁ、ただいま……3人揃って出迎えだなんて珍しいね」
その日の夜、仕事から帰ってきた父
普段であれば勉強していたり母親の手伝いをしている時間のため、こうして3人が玄関まで来て出迎えることは少なかった。それがこうして3人揃っているとなると……
「何かあったかな?」
「うん……ちょっと
「
「まぁ、
「それもあると思うけど……」
苦笑いする
「……何か気になることが?」
優しい表情を浮かべてそう問いかける
聞いていいことなのか……聞いてしまって、お義父さんの嫌な思い出を蒸し返さないか……。でも何も聞かないままなら、
静かに待ってくれている
意を決した
「気分を悪くしたらごめんなさい……。
「……あぁ、そういう……」
「もしお義父さんさえよければ、そのあたりの話を聞かせてもらえないですか……?」
眉を八の字にして困った表情を浮かべた
どう見ても、
……確かに、家族になったのに隠し続けるのも良くないのかもしれない。
「よし、今日の夕飯の後、一度みんな集まろうか。そこでしっかり話をしよう」
「お義父さん、ありがとう」
「構わんよ。
何でもないように振舞って生きてきた
♢♢♢♢
「……つまり、実の母親は
目に灯る光は、明らかな『怒り』。
ここに居ない人物にいくら怒りをぶつけたところで、何も変わらない。
だが、
「落ち着いてくれ。私にも悪いところがあるんだからな……」
生まれたばかりの赤ちゃんの世話など、母親一人で全て熟すなど到底不可能だ。かといって、このままでは仕事もなくなってしまう。
しかしそれは、妻からすれば『一番大変な時期に仕事ばかりで非協力的な父親』と映り……徐々に二人の溝が深まっていくことになる。
「……仕事が忙しかったなど、言い訳に過ぎない」
確かに経営を安定させるまでは多忙を極めた。
しかしそれは現実から……妻の状態から目を逸らし、
「何より、
「それもう何回も聞いたって。親父は間違ったことしてねぇよ」
父親は知る由もないが、
「でも
「もちろん、
母親の不貞に気づいていたとしても、当時の
だから
なんも知らない幼児を演じて、両親を騙して。
「なんてことを……。それは……人を信用しなくなって当然ね」
「…………」
不倫など言語道断。
それを自身の子が知る中で続けていたともなれば、人ですらない鬼畜の所業だ。
幼少期の
もし
「
「そうは言っても……
「『信用している』だなんて、軽々しく言えないでしょ?」
「覚悟はできてるから……お兄ちゃん、お願い」
「……分かった。親父、悪い。ちょっと席外してもらえるか?」
「……分かった」
前世の話など、親父に聞かせられるものではない。
俺が親父に頼むと、親父は嫌な顔せず従ってくれた。
親父が部屋を後にし、残ったのは俺と悪魔だった4人のみ。
じっとこちらを見つめる4人の目に少し気圧されながらも、俺は深呼吸を一つ。
そしてゆっくりと口を開いた。
「俺を裏切るつもりも、傷つけるつもりもないとしても……俺は考えてしまうんだ。俺を捨てて何処かへ行ってしまうんじゃないかって……」
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