ゴールデンウィークが終わって……

「ふぅ……」



 ようやく4時限目の授業が終わり、昼の時間に入った。


 昨日までのだらけた生活が終わったと思ったら、いきなり6時間の授業だからな……意外と疲れた。


 慣れ・・が大事だと改めて思い知ったよ。


 しかし……まさかゴールデンウィークの最後の方が全部風邪で潰れるなんてな……。ショッピングとかカラオケとか行って遊べたけど、何か色々上書きされた気分だ。



「はぁぁぁぁ…………」



 思わず大きなため息を漏らす。

 麗那れいな達……俺が風邪で強く抵抗できないことを良いことに、ここぞとばかりに迫ってきやがって。


 我慢するのにどれだけ苦労したことか……。


 風邪でぼんやりしていたにも関わらず、その時のことは鮮明に記憶に残っている。それほど刺激的で、ふとしたタイミングで思い出してしまうような───












加賀人かがと、着替えなきゃだよね? 手伝ってあげる。ほら、脱いで? さぁ早く! さあっ!』


『ちょっ、落ち着け! 目が怖いぞ新那にいな! やめっ───』












『さなもお兄ちゃんに食べさせてもらったから、お返ししてあげるね! えっ、口移しがいいって? 仕方ないなぁ……♡』


『言ってない、言ってないぞ紗那さな! ちょっ、待っ───』












加賀人かがと君、知ってる? 温まる時って、人肌と触れあうのが一番なのよ?』


『知ってるけど、何で脱いで……ちょっ! 柔らかっ───じゃなくて! 沈んでるから離れ……ムグッ───』













 …………怒涛の一日だった。

 結局、麗那れいな新那にいなにも風邪が移って、残りのゴールデンウィークは遊びに出ることはできなかったのだ。



 とりあえず気を紛らわそうと、教科書をしまって弁当を取り出す。


 この学校にも学食はあるけど、麗那れいな達が毎日作ってくれる弁当を残すわけにもいかない。


 めっちゃ美味いし、栄養も考えられてるからか以前より健康になった気がする。



「うっす、一緒に食おうぜ」


「俺も……ちょっと机借りるか」


「おう、晴翔はると琉生るいか。別にいいぞ」



 俺が弁当箱を広げたところで、晴翔はると琉生るいが来た。二人とも俺の隣の席の机を勝手に動かして、そこに座るようだ。



「二人とも購買のパンだけかよ。栄養片寄るぞ」


「うるせぇな! 皆が皆お前みたいに弁当作ってくれる彼女持ちだと思うなよ!」


「お前の一言一言が非リアへの致命傷になるのを忘れるなよ!」


「おぉう、カッコ悪いな……」


「その弁当、あの娘・・・が作ったやつ?」


「いや、今日のは麗那れいな……姉さんが作ったやつだな」


「姉さんって、あの女神か……まさかお姉さんと新那にいなさんが交代で作ってくれるってことか!?」


「たまに紗那さな……妹が起きてると作ってくれるな」


「いっ……いなぁ~~~~~~~っ!」


「マジの歯ぎしり初めて見たわ」



 こいつら……血涙流しそうな反応してるけど、悪いやつではないんだよな。



「あの時のメンバーで集まってんのか? 俺も混ぜろよ」


加賀人かがとくん久しぶり~」


「お、剣哉けんやゆい


「出たなリア充!」


「さらに俺らを追い詰める気か!?」


「……何言ってんだこいつら?」


「弁当を作ってくれる彼女が欲しいってさ」


「なるほどね。あー、ゆいの作ってくれた弁当最高だわ」


「はっ? 死ね」


剣哉けんやにそんなこと言わないで……私悲しい……」


「ぅっ……ご、ごめん。これはズルいだろうが剣哉けんや!」


「俺らはお気持ち表明もできないってのか!?」


「www」



 ゆいの潤んだ声に怯んだ晴翔はるとが、思わずすぐに謝罪する。剣哉けんやは爆笑だし、ゆいも笑いが堪えられてないからは演技だったんだろうな……。


 可哀想に、目の敵にしているリア充から弄ばれて……



加賀人かがと、風邪はもういいのか?」


「ダメだったら学校休んでるわ」


「それもそうか、良かった。……で、ゴールデンウィークの間でどこまで進んだよ?」


「いきなり何の話だ?」


「何って……分かるだろ? だってあんな女性と同棲なんて……そういうこと・・・・・・だろ」


「ブッ! ゴホッ、ゴホッ!」


剣哉けんやさぁん? いきなり何を言い出すんですかぁ?」


「いやぁぁぁっ、聞きたくないぃっ!」



 こ、米が変なところに入ったっ……。気兼ねなく話せる仲だからってブッ込んできたなこいつ……!


 女子がいる前でなんて話題振ってきやがる!



「いやだって気になるだろ? 俺も彼女がいるわけだし、男女が一つ屋根の下、何もないはずが───」


「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」


「そういったことは何もねぇよ。期待外れで悪かったな」


「───えっ、マジで?」


「えっ、あれだけ可愛い新那にいなちゃんに、あれだけアピールされて? 何も?」



 剣哉けんやゆいが心底驚いた表情を向けてくる。


 いや、まぁ事故で・・・見えちゃったり、見せてきたり……事故で・・・触れちゃったりはあるけど、俺は手を出してないし、向こうもそれ以上はしてこない。


 一応、一線を引いてる……んだと思う。



「大体何でそんなこと聞くんだよ」


「何でって、俺らは……ね」


「うん、そうだね♪」


「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ」」



 互いに見つめ合い、顔を赤らめて微笑む剣哉けんやゆい


 こいつら、ゴールデンウィークにゴールデンなウィークを過ごしやがったんだ……!



「……やっぱ加賀人かがとって男が好きなのか?」


「んなわけないだろうが! 前にも言ってたなそれ」


「呼んだ?」


「呼んでないぞ、あおい。早く自分の沼に帰れ! ハウス!」


「ワンワンッ!」


「でもさ、普通だったらそういう気になるのは当たり前だろ?」


「ね、私だったら、新那にいなちゃんぐらいの美人にくっつかれたらすぐに襲い掛かるけど」


「おい誰か今のあおいにツッコんでやれよ」


「お前らなぁ……一応家族だぞ?」



 それに、前世と前前世の記憶がある俺からすると、彼女達が二回りも年下の女の子だ。さすがにっ手を出すのはダメだろう。



「これってさ……」


「うん、多分そうだよね……」



 何やらひそひそと話す剣哉けんやゆい

 チラチラ俺を見てくるあたり、なにか企んでいるのだろう。


 お互いにコクッと頷き合った二人は、改めて俺の方に向き直った。



加賀人かがと、今日お前んち行っていいか?」




─────────────────────

あとがき


ところで、エロ……攻めた表現はどこまで許されるんですかね?

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