閑話 その4
「えっ、
「はい、少し体調管理が甘かったですね」
創黎学園初等部。
そして、とんでもない美少女が多いことでも有名である。
片親で、母親の職業がファッションデザイナーというのは、この学園内では見劣りするのは当然だった。
だが、入学から一度も『1位』を譲ったことがない学力、持ち前のコミュニケーション能力、さらには男子どころか女子も、先生すら惹きつけてしまう美貌で学園のマドンナ的な立ち位置を確立していた。
家では甘えたがりのお兄ちゃん子だが、甘えた表情を見せるのは
「もう体調は大丈夫なのですか?」
「えぇ、しっかり休んだのですぐに良くなりました。心配してくれてありがとうございます」
「ほっ……
「それはさすがに誇張しすぎでは……」
「そんなことはないですわ! この学年だけじゃなくて、中等部や高等部にもファンがいらっしゃいますもの!」
「ファンってそんな……」
「
突如、
対する
そう、
そのため
「
「俺は事実を言っただけだぞ? 俺は今まで風邪なんか引いたことないからな!」
「チッ……知らねぇよバカ……バカは風邪ひかないって本当なんだな……」
「
「あら、ごめんなさい」
幸い、彼女の舌打ちと罵倒は、
「どうしてあんたは
「風邪で遊べないなんて、弱っちい奴じゃん。俺だったらそんなことにはならないのに」
「授業が始まるまでにはきちんと直して、欠席せずに来てるんだから十分でしょ」
「休みの日に風邪ひく方がもったいないじゃん。遊びにも行けないし、ゲームもできないし……いいことないだろ?」
「あら、良いことならありましたよ?」
「えっ———」
思わぬ反応に
その瞬間の彼女の表情があまりにも艶やかで、少女とは思えないほど蠱惑的なものだったからだ。
「い、いいことって……?」
「私の大好きな
「なっ……!?」
「大好きって……
「もちろん……
「ぅぐっ」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「あの噂、本当だったのですね……」
「
「さすが
「な、なぁ
内閣総理大臣も輩出した由緒ある『竜宮院家』の一人息子は、これしきの事で折れたりしないのだ!
「どうと言われても……良いところを上げるとキリがないです……♡ 私が甘えると優しく受け止めてくれますし、間違ったことをしたら叱ってくれますし……風邪を引いたときなんて、食事も着替えも、寝るときだって付きっ切りで看病してくれました……♡」
「ぅぐぇっ」
「着替えに寝るときなんて、それって———」
「ひゃ~~……///」
既にギリギリだった
しかも、クラスメイトの前では初めて見せるような『恋する乙女』な表情は、あまりにも破壊力が大きいっ……!
「で、でもそいつの家柄は———」
「しかし、私が風邪を移してしまったみたいで……お兄ちゃんは断るのですが、申し訳なくて……もちろん私も看病しましたよ。朝から晩までずっと、ね♡」
「くっ、風邪なんか引くような弱そうなやつのどこが———」
「はっきり言わないと分かりませんか。私が好きなのはお兄ちゃんだけです、後にも先にもずっと……あなたも他の男性も元から眼中にありませんから」
「 」
告白前に撃沈した
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