お兄ちゃん、優しくしてね……?
「おはよう、
「お、おはよう」
翌日の朝、キッチンに降りてきた俺を迎えたのは、エプロン姿の
……いつも通りの
いやっ、待て待て待て!
そんなこと気にするな俺!
昨日
むしろ、こうやって俺を惑わす
だとしたら完全に手玉に取られてるな……
「
「い、いや、なんでも……
ずいっと体を近付け、顔を覗き込んでくる
近っ……ちょっ、胸が当たってるんだが!?
「
「分かった、ちょっと様子見てくる」
とりあえず理性が残っている間に、俺はそそくさとその場を後にする。
こんな生活、クラスの奴らは羨ましがるだろうけど……俺の理性はあと何日持つのだろうか……。
♢♢♢♢
「
「んっ……」
起きてはいるようだけど……なんか元気がなさそうな声だ。
「入るぞ?」
そう一言断って部屋の中へ。
柔らかな明るい色調と、どこか甘いようないい匂いに包まれ、思わずドキッと心臓が跳ねる。
女の子の部屋に入った経験なんてなかったからつい……。
当の本人はというと、パジャマ姿のままベッドの上でぽーっとしていた。ほんのりと頬が赤く染まっていて……
「
「んっ……身体熱い……」
「ちょっと待ってろ、何か飲み物と体温計持ってくる」
「38.0度……ちょっと高めかしら」
「あらら、せっかくのゴールデンウイークなのに……」
「ぅ~~……」
「一応父さんと母さんには連絡したから、今日はゆっくり休むしかないな」
「
「
「うん、ちょっとだけ食べる……」
「分かった、少し待っててね」
部屋を出ていく
少しでも栄養を取っておいた方がいいし、
「ご飯できる前に着替えないとね?
「じゃあ、俺はその間に薬でも探してくるよ」
さすがに着替える場所に俺が居るわけにもいかない。
が……
「お兄ちゃん、待って……」
「えっ……」
服の裾を摘まんだ
今から着替えるんじゃ……?
「お兄ちゃんがいい……一人にしないで……?」
「うっ……」
上気した頬、小さな口から漏れる熱い吐息、そして涙目になって甘えてくる
なんだろう、この守ってあげたくなる感じは……。
いや、冷静になれ。
それでも男の俺がやるのはアウトだろ。
「そっか、じゃあ私が薬探してくるから!
「えっ、待っ……早っ!」
一目散に部屋を出ていった
はぁ……なんか
頭が痛くなる感覚を覚えつつ、なぜか顔を綻ばせる
「仕方ない、このまま放っておくわけにもいかないし……悪いな
「見ても大丈夫だよ、お兄ちゃん……脱がして……♡」
「言い方に気をつけなさい!」
俺が叱っても全く意に介してなさそうな
首細っ……髪さらっさらでいい匂い……肌白くてきめ細か……
いかんいかん、油断するとすぐ
いくら受け入れてくれているとは言え、
しかしまぁ……
「お兄ちゃん、優しくしてね……?」
輝く金糸の髪を邪魔にならないように両手で掻き上げて待機する
絞ったタオルで、背中から
……これは病人を看病しているだけ。
変な気は起こすなよ、俺。
指先に感じる小さな膨らみと
「終わったぞ」
「お兄ちゃん、まだ下が残ってるよ……?」
「いやっ、俺がそこまでするわけには……おい脱ぐな脱ぐな!」
「む~……だって汗かいたままだから気持ち悪くって」
「っ……せめて下着はそのままで……」
「汗かいちゃったから替えたいんだけど……」
そう言いつつ、俺の制止も聞かずに全部脱ぎ捨てる
前言撤回。
今日一日すら、俺の理性は無事で済むのだろうか……。
♢♢♢♢
「お兄ちゃん、ありがとう! まだちょっと熱はあるけど、だいぶ良くなったよ!」
「それはよかった……」
その日の夕方ごろ、朝と比べてかなり顔色が良くなった
いや、疲れたよ本当に……主に精神的に。
『食べさせて』とか、『寝かしつけて』とか、ここぞとばかりに甘えてくる
元気になってきたとはいえ、体調は万全じゃない。
明日も様子を見つつ、大事をとって家で休養になりそうだな。
と考えていた翌日。
今度は俺に風邪が移ったようで……
発熱で頭がぼーっとする俺を、
ゴールデンウイークで色々と遊びに行ったりもしたけど、俺の世話をしている時の3人が、今までで一番楽しそうだった。
─────────────────────
あとがき
土日で私自身が風邪を引きまして、その勢いで書きました……
またちょっとストック増やすために更新遅くなります(_ _)
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