もしや、ストーカー?
何やらご機嫌な
なんでも、
あれだけ仲がいい二人と一緒ではダメだなんて、珍しいこともあるもんだな……。
そんなわけで来てみたんだが……
「ここって、コスプレ用品の店?」
「そうよ。意外だったかしら?」
「まぁ……実際こういうことには縁がないもんだと思ってた」
「あんまり頻繁にやってるわけじゃないけど、これでも結構人気あるのよ? SNSに上げると怖いぐらいにバズるのが面白くて……」
「いや、それはそうだろうよ……」
元々がとんでもない美少女だ。
そんな彼女が本気でコスプレしたら、現実離れするに決まっている。
この写真の衣装も、地味に前世の『エイリア』だった頃のものに似せてるし、メイクとか表情とか……前世の彼女を思い出して俺もドキッとしたぐらいだ。
コメントを見る限り、
「それはそうって……
「……なんでコスプレを?」
ここで下手に返答したら、上げ足を取られて攻められるに決まっている……!
「可愛いって言ってほしかったんだけどなぁ……」
「ぅぐっ……」
「まぁいいけど……別に、これといったきっかけはないけどね? SNSとかで流れてきたのを見て気になって、私もやってみたら楽しかったって感じ」
「そんなに行動力があるタイプだったっけ」
「前世では一歩引いた感じだったけど、今世はもっと自分らしく生きたいなって」
「あー、なるほど。その気持ちは分かるわ」
俺も勇者をやっていた前世では、正義のために奔走し多くを犠牲にしてきた。『次は自分らしく』っていうのは、今の俺も思っていることだ。
「それに…………
「っ!?」
突然、耳元で囁かれた煽情的な声と艶めかしい吐息に、ゾクゾクとした快感が背筋を走る。
「ふふ……慌てちゃって、可愛い……♡ 何がいい? やっぱり前世みたいに悪魔っ娘? それとも心機一転してメイド服?
「待て待て、ちょっと落ち着け!」
どこから取り出したのだろうか、チョーカー……というよりは完全にペット用の首輪を自身の首元に当て、恍惚の表情を浮かべる
ここには俺と
テロ級だからやめてくれ。
「で、なんで
「完成形はいくらでも見ていいんだけど、過程を見られるってなんか恥ずかしくない?」
「それはまぁ……」
「それに、身内にバレてるのはなんか恥ずかしいじゃない……いや、隠しきれてないのは分かってるんだけどさ。どれだけ完璧なコスプレしても、身内だと『澄ました表情で清楚気取ってるけど、夜な夜な
「俺は今、
なんでそこだけそんなに具体的に出てくるんだよ!
余計にリアルだわ……それを俺に知らせてどうするつもりなんだ……。
「もしかしたら、そのタイミングに
「俺、
「……今日の夜10時ね?」
「言わなくていい!」
♢♢♢♢
ショップにいた時間はせいぜい30分ぐらいだったのに、やけに疲れた……。
前世の反動か、妙にグイグイ来るな本当……。
俺にはよくわからないけど、
そんな帰り道。
「……なんか、後ろを付いてきてる人がいる?」
「
前世で勇者をやっていたおかげか、そういったことには敏感だ。こっちには『気配感知』なんてないけど、なんとなく分かる。
というか……その輝くような純白のロングヘア、絶対尾行に向いてないだろ……。
「……何してるの、姉さん」
「あら、バレちゃった」
「さすがお兄ちゃん!」
「
電柱の後ろに隠れる気もなく立っていた
「
「
「はぁ……まぁいいけど」
あきれたような表情を浮かべる
「
「っ!?
「
ペロッと舌なめずりして
「い、いや、別に何も……」
「え~~、キスしたじゃない?」
(頬にだけどね……♡)
「「っ!?」」
「待っ、誤解してる! 絶対誤解してるから!」
「
「お兄ちゃん、ちょっと屈んで? さな届かない」
「だからっ、ちょっ、んぅっ———」
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