戦いが始まりそうな予感……
「つ、疲れた……」
「あはは、ごめんね
ようやく服の購入を終えた俺は、疲れきった様子でとぼとぼと歩いていた。
というのも、
今までずっとファッションにあんまり興味がなかった俺は、求められる感想を口にするだけでも相当な苦労だった。
購入するものを何着か決めて会計を済ませると、次はメンズコーナーへと連れていかれ、今度は俺の服を選ぶというのだ。
3人揃って超真剣な表情で議論してるから、『適当でいい』なんて言えるはずもなく。ただ彼女達にされるがままに俺は着せ替え人形と化していた。
それもつい先ほど終わり、俺はようやく解放……じゃない、休憩することができたのだった。
「お詫びにコーヒーでも買ってくるから、
「ありがとう、そうするよ……」
「あっ、じゃあ私も行くわ。
「へーい」
近くの休憩スペースに腰を降ろすと、
そして
……適度な重さと暖かさが心地よい……。
「お兄ちゃん、疲れちゃった?」
「ちょっとね……普段こんなに時間をかけて買い物することなんてないからさ」
「……そういうの正直に言っちゃうと、女の子はムッとなるよ?」
「それは彼女だった場合だろ、俺達は今兄弟姉妹なんだから」
「む~~~~っ」
頬を膨らませてむくれる
「さなは楽しかったよ? お兄ちゃんが可愛いって言ってくれたし!」
「逆にそれしか言ってないけど」
「でも本音でしょ?」
「それは、まぁ……」
「だからいいもん♪︎」
背中越しにこちらを見上げる
『んぅっ♪︎』と声を漏らして目を細め、気持ち良さそうにする
……
いや、ダメだ。
そうだったのなら、彼女達の思う壺。
そもそも10歳の
「───あれ、もしかして
「っ……!?」
ふいに聞こえた声に、俺は顔を上げてそちらの方を見る。そこにいたのは、俺が所属する学年でカーストトップの、ギャル2人組であった。
「何、
「違うけど、ほら、噂の彼じゃん。1組の
「あーね、私も聞いたことはあるわ。確かにめっちゃイケメンじゃん」
俺を見ながらそんなことを話している二人は、3組の
明るく染めた髪、ピアスにカラコン……普段から制服を着崩しているぐらいなのだから、私服ともなるとなかなか目のやり場に困る感じだ。
正直、俺からしたら苦手な人種だ。
前世、前々世での記憶もある俺は、軽々しく他人と付き合ったり別れたりということに忌避観を持っている。『付き合うならお互いに好きになってから』と言うぐらいだからな。
偏見ではあるけど、
そんな俺の内心を知りもしないのだろう。
「ねぇ、1組の
「休日に会うなんて奇遇だね? 今日暇なの?」
「……まぁ、見ての通りだよ」
「お兄ちゃんのお友達?」
眉間に皺を寄せ、警戒心を顕わにする
ぎゅっと強く手を握ってくるあたり、
「妹? ふーん……家族で来てるみたいな?」
「暇ならさ、うちらと遊ばない? うち、
「……冗談だろ?」
見るからに、今は
まさか
何を考えてるんだこいつらは。
「あれ、
「だったら余計にうちらと遊ぼうよ! 絶対楽しいと思うんだよね。妹さんは家族に預けておけばいいでしょ? ほら、行こうよ!」
「あっ、ダメッ!」
「おい、止め———」
無理やり俺の手を取ろうとする
女の子相手に強く拒否もしにくく、対応に困っていたその時。
「
「
タイミングがいいのか悪いのか、飲み物を買いに行っていた
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