「判決は?」「ギルティ!」
「———明日からゴールデンウイークに入りますので、遊ぶのもいいけど課題もしっかりやるように! では終わりましょう」
「起立! 気を付け、ありがとうございました!」
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
帰りの挨拶が終わり、今日からゴールデンウイークに入る。そして、それは今日から
当然俺も引っ越しの手伝いはするから、今日ばかりは早く帰るつもりだ。
挨拶が終わってすぐ、俺は荷物を担いで──
「
「まぁまぁ、そう急ぐなって」
「一旦こっち座れよ」
教室を出る前、にこやかな笑顔を浮かべた
にこやかな笑顔とは裏腹に、妙に強い力で座らされた俺は、彼ら彼女らに囲まれる。
「な、なんだよお前ら……」
「これより被告
「単刀直入に聞く……昨日仲良さそうにしてたお姉さんは誰なんだよ」
「その話かよ……」
昨日は、
俺が手を引かれて帰ったのも。
「あんな人とどうやって知り合った!?」
「しかもめっちゃ好感度高かったし!」
「
「いやだから……『姉さん』だって朝も答えただろ?」
「「「信じられるかぁっ!」」」
「どう見たってあの人外国人、よくてハーフだろ?」
「お前と血が繋がってるわけ無いだろうが!」
確かに、ルヴィリエ……
その血を受け継いでいる
それだけ見れば確かに、『姉さん』だと言っても誰も信用しないか。
「めんどくさいから正直に言うけど、親父が再婚して『姉さん』になったんだよ」
「つまり……義姉ってコト!?」
「まぁ、そうなるな」
「そ、そんな……」
「あんな綺麗な人と同棲だなんて……勝ち目がないじゃん……」
「血の繋がりがないなら
俺の言葉を聞いた何人かの女子が崩れ落ちた。そして男子陣も……
「クソがっ」
「超絶美人ハーフの義姉だと!? そんなの、お前っ……!」
「神は幾つのものをこいつに与えるつもりなんだっ……!」
「あの笑顔で朝起こされるだけじゃねぇ。風呂場でばったりご対面だとかもあるってことだろ!?」
「んなことあるわけ───」
ふと脳裏に甦る、
まさかラッキースケベ以上のことをすでに経験しているなど、こいつらは夢にも思うまい。
「───あるわけないだろ」
「ねぇなんで今言い淀んだの!? ねぇ、教えてっ!」
「何かあったんだな!? そうなんだなっ!?」
「や、やめっ」
俺の様子を目聡く見抜いた女子が、俺の肩を掴んでガクガクと揺さぶる。
あぁぁぁっ、頭が揺れるぅ。
「つーかそれでも変じゃね? 突然姉弟になったら、普通は気まずい感じになるだろ。向こうからあんなにベタベタしてくるか普通?」
「何なら今日も迎えに来てるからな」
誰かが発したその一言に、俺を囲んでいたクラスメイトの視線が一斉に窓の外へと向く。そこにできている人だかりの中心には、その部分だけ輝いて見えるような美人と……
「一緒にいる幼女は何者……?」
「
「
すまんが真面目に付き合ってられないから、皆が外を見ている間に逃げさせてもらった。ゴールデンウィークを挟むから、次に学校に来る時には多少は収まってくれてるだろう。
♢♢♢♢
「
人だかりの向こうに俺の姿を見つけたらしい
周囲の目が一斉に俺の方へ向くが、柔らかい笑顔を浮かべて小さく飛び跳ねながら手を振る
そんな人だかりの間を縫って、こちらへ走ってくる小さな姿が一つ。
輝くような金糸のツインテールを靡かせ、小さな身体を懸命に動かして走るその女の子は、そのままの勢いで俺の懐へと飛び込んできた。
「お兄ちゃん!」
「
「えへへ……♪︎」
ぎゅっと抱き着いて俺の腹の辺りにスリスリと顔を押し付ける
周囲の目が余計に鋭くなった気がしたけど。
「
「さなも嬉しいもん♪︎ ダメ……?」
くっ……あざといっ……!
10歳の幼女だからまだいいけど、中身が前世で敵だった悪魔だと思うとさらにあざとい!
潤んだ瞳で俺を見上げる
仕方ない……俺がそうであるように、
「まったく……これでいいか?」
「わっ! えへへ、お兄ちゃん大好き♡」
……普通の幼女だと考えれば、微笑ましいものか。
「
「見せびらかしているわけじゃないけど、それには賛成だ」
女優顔負けの美貌を持つ
俺に対する周囲の目がかなり歪んできたのが俺にも分かる。
降りようとしない
「……世の中って不条理だよな……」
誰かが呟いたのはその言葉は、その場に居た全員の気持ちを代弁していた。
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