勝手に前夜祭
まえがき
この作品、ストーリー的なものは全く考えていませんので、こんな感じで続いて行きます。
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「何してくれてるんですか、
「つい、溢れそうだったから……」
「溢れそう? ……って、何が?」
「……こっちの話よ。それより、さっきみたいに『姉さん』って呼んでくれないの?」
「ぅ……」
俺と
あれだけの生徒に注目されてる状態で抱き着いてきたもんだから、嫉妬やら怨嗟やらの視線が俺に突き刺さり、中には舌打ちも聞こえてきた。
その上、『お姉さん? そんな冴えない奴のどこがいいんだよ』と突っ掛かってくる奴まで登場し、
結果として、凍えそうなほど冷たい視線を浴びせながらの『あんたが
静まり返る周囲を無視し、満面の笑みを浮かべて『さ、帰ろう?』と俺の手を取った
この時、俺は
「もっと穏便に済ませてくれよ……」
「ああいう奴にははっきり言わないとダメでしょ。
「…………」
今、小声で『ゴミ共が……』と呟いたのは聞かなかったことにしよう。
「それに、あなたも自慢できるでしょ? 『俺の女はこんなに美人なんだぞ』って」
「俺の女ってなんだ! 俺の女って!」
「……まだ分からない?」
「えっ———」
何を———と言う前に、
風に当たり、冷えた指先が
簡単に折れてしまいそうで……そんな危うい彼女が自分の手の中にあるという事実が、何か背徳的な感情を芽生えさせる。
「私はあなたのモノだって……嫌なら、このまま首を絞られても私は本望よ?」
「っ———」
蠱惑的に熱を帯びる
「……そんなのはやめてくれ」
「そう……どうしようもなく優しくて、私達を惹き付けて止まない。前世からあなたはそうだったわね」
「あくまで前世だろ、今の俺は『
「……ふふ、本当に優しい。なら、
「ちょっ……!?」
首から離した俺の手を、
「
「っ~~~~!! しませんっ! 姉弟でしょうがっ!」
「あらら、残念」
勢いよく手を引き離した俺に、
「で、なんでわざわざ学校まで来たんだよ」
「なんでって……お義父さんが今日遅いんでしょ? 私が夕飯作ろうと思って、買い物もしてきたのよ?」
「……そのバッグの中、買い物だったのか……」
「そ、今日もお邪魔するわね。安心して? 内緒で来たことが
嬉しそうに目を細める彼女を見て、背筋に冷たい何かが走ったのは気のせいではないはず。
メチャクチャ美人なのに、どう拗らせたらこうなってしまうんだろうか。
積極的でストレートすぎるところに目を瞑れば、全然嫌ではないんだけどなぁ。
♢♢♢♢
「手際がいいな」
「これぐらい出来て当然よ」
帰宅してしばらく、あっという間に
テキパキと調理をこなす
……美しい白い髪を結い上げ、エプロン姿となった彼女に少し見惚れてしまったのは内緒にしておく。
「すぐに帰るわけじゃないだろ? せめてお茶ぐらいは飲んで行ってくれよ」
「あら、ありがとう。なんだかんだ言って歓迎してくれるじゃない」
「さすがに女の子に夕飯だけ作らせて帰らすなんて、それはないだろ」
「私は都合の良い通い妻でも全然いいけどね?」
「俺が良くないんだって」
「明日には同棲生活が始まるくせに……」
湯気が立つアールグレイの香りに頬を緩め、ゆっくりとティーカップを傾ける
初対面が
「この紅茶、すごく良いわね」
「俺も親父も結構好きでな。こだわってみると結構奥深いし……なんかいいだろ?」
「ふふ、何そのふわっとした理由……でも、私も分かるわよ。気持ちが落ち着くし、リラックスもできるからね」
「そうそう、一応成績上位を取らないとだからさ。勉強の合間に紅茶でリフレッシュするのが日課になってるな」
「ちゃんと勉強しててえらいわね、
「マジ?
「『
「年上だから呼び捨てはちょっと……」
「家族になるんだから気にしない……というか、あなたに呼び捨てで呼ばれるって———ふふっ」
「せめて『姉さん』で頼む!」
「んっ……もう一度呼んでくれる?」
「……姉さん」
「あぁっ、んっ……♡」
「変な声出さないで……」
「あなたに『姉さん』って呼ばれるのが嬉しくて……♡」
「そ、そうですか……」
頬に両手を当てて照れる
……というか、あれ?
なんか普通に話が弾んでたな?
なんだ、俺も普通に会話できるじゃないか。
……普通にしてれば、
「———可愛いな」
「えっ?」
「あっ……! い、今のなしで!」
「バッチリ聞いたわよ……本当、そんなに私を悦ばせてどうしたいのかしら?」
紅茶を飲み干した
「いやっ、今のは言葉の綾でっ、いやそれも違うけどっ———」
「ふふ、冗談よ。私もそろそろ帰らないと」
俺の焦る姿を見てクスクスと笑う
「紅茶、ありがとう。美味しかったわよ」
「そ、それは良かった」
「明日は
「……よろしく」
手を振りながら家を出ていく
それだけが心配でたまらない。
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