第4話

あらかた今回の顧客情報を頭に入れ俺は紹介所を出て屋敷に向かった



屋敷に向かう途中の桜がどことなくこれから起こることに対して

「頑張れよ」と言ってくれているかのように俺の横をすり抜けていく



本来ならば自分の好きな桜を見ながら優雅に歩きたいところだが

生憎そんな穏やかな気分ではいられない





さあ、見えてきた。




住宅街を抜けた丘の上に晴海邸は建っている

まるで街全体を監視しているかのような佇まいだった



「はぁ、今回は大したことがないと良いんだが...」



晴海邸を目の前に俺は軽く身なりを整えて気持ちばかりの深呼吸をする



このチャイムを鳴らしたらもう後には引き返せない

俺は気だるさと少しの緊張を持って晴海邸のチャイムを鳴らした











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